本研究は脳性麻痺成人を対象に,関節可動域と年齢,性別,姿勢反射,運動能力,麻痺のタイプ,癲癇との関連性について分析した。
関節可動域は四肢6箇所の関節,13方向を両側で測定した値をもとに主成分分析を行い,ここで得られた第一主成分が可動域の大きさ(拘縮の程度)を反映したものと解釈できたことから,このサンプル得点と前記要因との関連性について,数量化Ⅰ類を用いて検討した。その結果,発達的に運動能力もしくは姿勢反射の獲得水準が低いものほど可動域の制限は大きく,また痙直型はアテトーゼを随伴する症例に比して関節可動域の制限が大きいことが明らかにされた。
以上のことは,脳性麻痺成人の関節可動域は運動能力もしくは姿勢反射の程度と麻痺のタイプに強く影響されていることを示唆するものである。
抄録全体を表示