理学療法学
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50 巻, 6 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
研究論文(原著)
  • 黒石 涼太, 山田 拓実, 平川 峻也, 眭 凱淇
    2023 年 50 巻 6 号 p. 233-238
    発行日: 2023/12/20
    公開日: 2023/12/20
    [早期公開] 公開日: 2023/11/22
    ジャーナル フリー

    【目的】腰痛者は横隔膜の呼吸時の運動距離が少なく,運動距離の改善が腰痛の治療につながる可能性がある。本研究の目的は腰椎角度変化による横隔膜の運動距離の違いを明らかにすること。【方法】健常若年男女27名を対象にした。腰椎角度3条件(中間位,前弯位,後弯位),呼吸2条件(安静呼吸,深呼吸)で横隔膜の動きをmagnetic resonance imaging(MRI)で撮像した。横隔膜前部,中部,後部の運動距離を比較した。【結果】安静呼吸時,横隔膜前部の運動距離は後弯位が,中部と後部では中間位と後弯位が,それぞれ前弯位よりも有意に大きかった。深呼吸時,横隔膜前・中・後部全てで中間位と後弯位が前弯位よりも有意に運動距離が大きかった。【結論】腰椎を他動的に前弯位にすると横隔膜の呼吸時の運動が妨げられることが推測された。背臥位での横隔膜のトレーニングは腰椎前弯位ではなく,中間位もしくは後弯位で行うことでより効果的にトレーニングを行うことができる可能性がある。

  • —病院職員を対象とした横断研究—
    岸本 俊樹, 北畠 義典, 石橋 英明
    2023 年 50 巻 6 号 p. 239-245
    発行日: 2023/12/20
    公開日: 2023/12/20
    [早期公開] 公開日: 2023/11/22
    ジャーナル フリー

    【目的】病院職員におけるロコモティブシンドローム(以下,ロコモ)とプレゼンティーズムとの関連を検証する。【方法】病院職員329名(平均年齢39.4歳)を対象とした。評価項目をロコモは立ち上がりテスト,2ステップテスト,ロコモ25, プレゼンティーズムはWork Functioning Impairment Scale(WFun)とする横断調査を実施した。統計解析はロコモとプレゼンティーズムとの関連についてχ2検定とロジスティック回帰分析にて検証した。【結果】ロコモ25のみがプレゼンティーズムと有意な関連が示された(p<0.001)。また,性別,年齢,Body Mass Index(BMI),職種で調整した後でもロコモ25はプレゼンティーズムと関連していた(オッズ比:3.50, 95%CI: 1.93–6.51)。【結論】病院職員におけるロコモ25とプレゼンティーズムとの関連が示され,日常生活動作の困難さや将来の運動機能に対する不安が労働遂行能力の低下と関連していることが示唆された。

症例報告
  • 藤原 克哉, 井上 順一朗, 吉川 遼, 原田 理沙, 酒井 良忠
    2023 年 50 巻 6 号 p. 246-250
    発行日: 2023/12/20
    公開日: 2023/12/20
    [早期公開] 公開日: 2023/11/10
    ジャーナル フリー

    【目的】両側大腿骨骨転移に対して両側大腿骨髄内釘固定術を施行された患者に対して,骨転移キャンサーボードの実施により術後早期の疼痛コントロールや合併症の予防が可能となり,早期離床・日常生活動作の獲得につながった症例を経験したので報告する。【症例紹介】肺腺がん,両側大腿骨骨転移,脊椎転移,腸骨転移を有する80代女性であった。両側大腿骨髄内釘固定術の施行後に全身治療を実施予定であった。【治療プログラムと経過】安静度は術後翌日より全荷重可能であり,1回40分,週5日の運動療法を経過に応じて実施した。骨転移キャンサーボードでは治療方針や安静度,疼痛コントロールや在宅復帰に向けた退院調整について,術前と術後の2回協議された。【結果】術後合併症の発症はなく,疼痛は術後の骨転移キャンサーボードにて協議された疼痛コントロール方針の実施により改善が得られた。また,疼痛の緩和に伴い身体機能および日常生活動作の改善が早期に達成でき,早期の全身治療の開始および自宅退院が可能となった。【結論】骨転移キャンサーボードの実施は,大腿骨骨転移に対する外科的治療を検討されるがん患者の症状のコントロールや身体機能・日常生活動作の早期改善に対して有用である可能性がある。

実践報告
  • —皮膚剪断力軽減目的のダブルインサート法—
    齊藤 大樹, 四辻 英樹, 沼尻 一哉, 上野 友之, 武田 竜太朗
    2023 年 50 巻 6 号 p. 251-255
    発行日: 2023/12/20
    公開日: 2023/12/20
    [早期公開] 公開日: 2023/11/22
    ジャーナル フリー

    【目的】断端の未成熟や植皮瘢痕・潰瘍部分,骨の突出部の影響で皮膚トラブルを生じやすい状態であった左下腿切断術を施行された症例に対し,ライナーやソケット形状に工夫を施し早期練習用Patella Tendon Bearing(PTB)式仮義足を作製することを目的とした。【方法】ソケット内でのピストン運動により植皮瘢痕部の皮膚トラブルを認めたため,皮膚剪断力の軽減を狙ったコポリマーライナーとPEライトインサートの二重構造からなるダブルインサート用いてソケットに装着する方式を考案し,早期義足練習を行った。【結果】歩行後における創部滲出液の流出減少を認め,日を追うごとに皮膚の治癒傾向を認めたため,断端皮膚面の剪断力が軽減されたと示唆された。【結語】皮膚脆弱性を認める下腿切断例に対して,早期に練習用下腿義足を作製する際は,ダブルインサート法を選択の一手にできると考えられた。

総説
シリーズ「栄養と理学療法のポイントを考える」
シリーズ「理学療法を取り巻く社会環境の変化とニーズの再考」
編集委員会・編集後記
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