理学療法学
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21 巻, 1 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
報告
  • 田島 徹朗, 堀切 豊, 川平 和美, 田中 信行
    原稿種別: 本文
    1994 年 21 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 1994/01/31
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    脳卒中片麻痺患者に対し,呼吸機能検査を行った。全般に肺活量の低下と横隔膜運動の低下がみられた。これに対し,通常の片麻痺訓練プログラム群(対象者 : 12名,平均年齢 : 59.3 ± 10.0歳)と呼吸訓練(ビン吹き訓練)を加えた群(対象者 : 12名,平均年齢59.3 ± 11.3歳)との%肺活量について比較検討を行った。
    その結果,通常の片麻痺訓練プログラムのみの施行では,ADL能力の改善にも拘わらす%肺活量の変化はみられなかった。また,これに対し,呼吸訓練を同時に施行した群では,%肺活量の著しい改善を示し,呼吸訓練の有効性が示唆された。
  • ―外来での伸展運動と入院による従来法との比較―
    青木 一治, 平野 孝行, 寺西 智子
    原稿種別: 本文
    1994 年 21 巻 1 号 p. 7-12
    発行日: 1994/01/31
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    腰椎椎間板障害患者に対する腰椎伸展運動の効果を検討するため,腰椎伸展運動を導入する以前に,入院により保存的療法を行った患者34名と,導入後,外来で初診時に腰椎持続伸展療法を行い,翌日から家庭で腰椎伸展運動を行った69名を対象とした。対象はともに発症後2週間以内の急性患者とした。治療効果は,体幹屈曲時の指床間距離と疼痛の有無,SLRテスト,腰痛や下肢痛の変化について検討した。治療後3週間で,腰痛や下肢痛が『消失したもの』と『時にあるもの』を加えると,入院群は52.9%,外来群79.7%となり,腰椎伸展運動は入院治療群に比べても有効な治療法であった。また,症状が軽快せず,手術に移行するかどうかもこの治療法である程度予測可能であることがわかった。
  • 金沢 善智, 上村 佐知子, 久保川 登, 篠原 英二
    原稿種別: 本文
    1994 年 21 巻 1 号 p. 13-18
    発行日: 1994/01/31
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    本研究は,自宅で暮らす障害者が安全に屋外移動を行う環境を考えるための基礎資料を得ることを目的とし,歩道上に設置されている斜路の屋外移動動作に対する阻害性について調査・検討したものである。方法は東京都北区赤羽病院の周辺地域の斜路を実測調査するとともに,健常人による斜路の通過テストをおこなった。その結果,屋外移動を阻害している斜路は存在し,それらは斜路の勾配と長さからある程度推測的な判定ができることがわかった。また,安全な屋外移動を考えるには,理学療法士などの医療スタッフだけでなく,行政の協力が不可欠であるなどの知見を得た。
  • 亀井 隆弘, 広田 美江, 梶原 秀明
    原稿種別: 本文
    1994 年 21 巻 1 号 p. 19-23
    発行日: 1994/01/31
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    Duchenne型筋ジストロフィーに対する治療の中で,運動療法が有効であるかどうかを明らかにするため,週5回を原則に運動療法を行っている入所中と,ほとんど運動療法を行っていない春休み・夏休み・冬休みの長期外泊中で,運動機能の変化の仕方に差があるか比較検討した。当院に入所した,または入所中のDMD患者のうち,10名に3m四ばい移動時間を,11名に3mずりばい移動時間を,32名に握力を1年間を通して測定した。1年間の変化としては四ばい移動時間が平均9.6秒,ずりばい移動時間が平均21.5秒増加し,運動機能の低下がみられた。しかし,握力に関してはほぼ変化がなかった。
    また,1年間を長期外泊中と,入所中の2つに分け,各測定項目につき,1ヶ月当り平均変化率を計算して比較した。その結果,四ばい移動時間・ずりばい移動時間・握力とも,長期外泊中に悪化傾向が強まることが明らかになり,運動療法その他,病院内の身体活動が運動機能の維持に役立っていることが示唆された。
  • 山本 克己, 中尾 芽生子
    原稿種別: 本文
    1994 年 21 巻 1 号 p. 24-28
    発行日: 1994/01/31
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    在宅における理学療法指導をより適切に実施するために,保健婦との同行訪問例の中から,脳血管障害の者169人について基本動作能力,生活意欲,生活空間,介護者の状況を評価し,それらの関連を考察した。
    基本動作能力が高ければ,生活空間や生活意欲も高かった。しかし歩行可能者のように動作能力が高い者であっても,生活意欲が低い場合には,生活空間が狭くなる傾向がみられた。主介護者の介護意欲も生活空間,生活意欲に影響を及ぼすものと考えられる。このような結果によりそれぞれの要素は互いに相互効果的な影響を与えあうものと考えられた。
  • 網本 和, 杉本 諭, 深井 和良
    原稿種別: 本文
    1994 年 21 巻 1 号 p. 29-33
    発行日: 1994/01/31
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    片麻痺例の基本動作において,いわゆる健側の上下肢によって支持面を押すため正中軸をこえて麻痺側方向へ転倒するPusher現象は左半個無視にともなうことが多い。
    そこで脳血管障害による左半側無視22例を対象に,坐位・立位・歩行におけるPusherスコアを操作的に定義し,その重症度を規定した。
    Pusher現象は,坐位よりも歩行時に顕著であった。Pusher現象は,半側無視の重症度とは必ずしも関連せず独立した症候である可能性があり,経過と共に変化する例があった。
短報
  • 加藤 哲也, 坂口 勇人, 苗村 美樹, 遠山 佳代, 青木 賢次
    原稿種別: 本文
    1994 年 21 巻 1 号 p. 34-36
    発行日: 1994/01/31
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    過去5年間の本学理学療法学科卒業生153名を対象に,3年次臨床実習成績の結果から,実習不合格者の要因を分類し,2年次学業成績と3年次臨床実習成績との関連性を検討し,以下の結果を得た。
    ①3年次臨床実習成績が全3施設での合格者は125名(81.7%),1施設以上での不合格者は28名(18.3%)であった。
    ②3年次臨床実習不合格者の要因として最も多かったのは,能力的要因と人格的要因の問題が組み合わさった場合であった(44.4%)。
    ③2年次学業成績と3年次臨床実習成績の合否判定には関連性がなかった。
紹介
  • ―脳卒中地域ケア推進事業を通して―
    山本 和儀, 伊藤 晴人, 野村 典子, 森山 雅志, 林 伸子, 山本 純子, 吉岡 善隆, 山本 正弘
    原稿種別: 本文
    1994 年 21 巻 1 号 p. 37-40
    発行日: 1994/01/31
    公開日: 2018/09/25
    ジャーナル フリー
    平成2年度から国において制度化された「脳卒中情報システム」に大阪府が「ねたきり」を防止することを目的に訪問リハを導入し,「脳卒中地域ケア推進事業」を制度化した。大東市でも平成2年度からモデル事業として実施したことにより,対象者の把握が拡大し早期把握,早期ケアの実施,保健・医療・福祉の連携の円滑化,通所リハへの移行によるねたきり防止といった効果が得られた。また,ニーズに応じて,失語症者に対するケアを開始している。今後の高齢社会に向けて,脳卒中予防と併せてタイムリーな地域での総合的,継続的なリハサービスを推進するために,地域の社会資源として理学療法士の果たす役割が期待される。
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