地質調査研究報告
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67 巻, 2 号
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論文
  • 石原 舜三, 大野 哲二
    2016 年 67 巻 2 号 p. 41-58
    発行日: 2016/06/20
    公開日: 2016/09/01
    ジャーナル フリー
    標記地域の花崗岩類分布域は南から領家帯・山陽帯・山陰帯に分けられる.領家帯では花崗岩のほか花崗閃緑岩が分布するが,山陽帯と山陰帯では少量の斑れい岩–閃緑岩を伴うものの主体は花崗岩である.全岩帯磁率は山陰帯で最も高く,南方に低くチタン鉄鉱系の値となり,領家帯で最少となる.ジルコンU-Pb 年代は,領家帯が最も古く97.8~95.3 Ma,山陽帯が92.3~85.6 Ma,山陰帯が39.8 ~33.5 Maである.化学組成上はNa2O/K2O が山陰帯の花崗岩類で最も大きく,領家帯の岩石で最も小さい.これは火成岩起源で同比が大きく堆積岩起源で同比が小さい起源物質の性質を反映しているものと思われる.アルミナ飽和指数は1.0 は超えるが,1.1 を超えるSタイプは存在しない.カリ長石のKを置換するRbとPb は山陰帯で最も乏しく,領家帯とその北縁の山陽帯で富んでいる.この傾向はδ18O の傾向と同様であって,そのマグマの生成に堆積岩地殻物質が関与したことを示している.
概報
  • 荒岡 大輔, 昆 慶明, 江島 輝美
    2016 年 67 巻 2 号 p. 59-65
    発行日: 2016/06/20
    公開日: 2016/09/01
    ジャーナル フリー
    ジルコンのU-Pb年代測定法は,火成岩の固化年代を幅広い年代で高精度に決定できる手法として有用である.そこで本研究では,高感度・高解像度イオンマイクロプローブSHRIMPを用いたジルコンのU-Pb年代測定法,およびSHRIMP測定用の試料調製法を産業技術総合研究所にて立ち上げた.まず,高電圧パルス選択性粉砕装置SELFRAG Labや重液等を用いて岩石試料からジルコンを効率的に単離した.その後,単離したジルコンを樹脂封入し,鏡面研磨,洗浄,金蒸着,カソードルミネッセンス像の観察を行うことで,SHRIMP測定用の試料調製手順を確立させた.また,古生代から原太古代にかけての年代値をもつジルコン標準試料3種(R33,OG1,91500)について,SHRIMPによるU-Pb年代測定を行った.全ての測定結果が先行研究の年代値と誤差範囲内で一致していたことから,産業技術総合研究所のSHRIMP において正確なU-Pb年代測定法を確立できた.
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