地質調査研究報告
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61 巻 , 7-8 号
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論文
  • 及川 輝樹, 古川 竜太, 下司 信夫, 正田 浩司, 田村 糸子, 大石 雅之, 星住 英夫
    2010 年 61 巻 7-8 号 p. 233-243
    発行日: 2010/07/30
    公開日: 2013/07/09
    ジャーナル フリー
     浅間火山では2009年28月2日午前1時51分から午前8時にかけて小規模な噴火が発生した.この噴火による降灰域は南東方向に広がり,秩父市,羽村市,府中市,稲城市,川崎市,横浜市などに及び房総半島まで達した.我々は,埼玉県,東京都,神奈川県においてアンケート調査を行ない,この噴火の降灰域・降灰量を明らかにした.その結果を現地調査の結果とあわせて解析すると,1 g/m2以上の降灰量があると,ほとんどの人は降灰を認識していたことが明らかとなった.しかし,降灰量1 g/m2未満の地域においては,しばしば降灰に気づかない例が認められた.また,降灰量が判明している地点の写真との比較を基に降灰量を答えてもらう質問によって,半定量的な降灰量調査が行えることが示された.つまり野外調査による降灰量調査をアンケート調査によって補完することで,より広域で正確な降灰分布・量の調査が行える.
  • ― マレー半島東方沖マレー堆積盆におけるケーススタディ ―
    森田 澄人, 後藤 秀作, 松林 修, 棚橋 学
    2010 年 61 巻 7-8 号 p. 245-270
    発行日: 2010/07/30
    公開日: 2013/07/09
    ジャーナル フリー
     CO2地中貯留のポテンシャル評価を目的とし,南シナ海マレー堆積盆をモデルに数値シミュレーションを実施した.まず既知の地質及び地球物理情報を利用したベースンモデリングからマレー堆積盆の地質形成史を復元して現在の地質性状の最適化を行った.次に貯留層になりうる層準においてCO2注入シミュレーションを実施し,その安定性を評価した.
     その結果,マレー堆積盆ではCO2が超臨界となる約720 m以深の様々な砂岩層トラップにおいて安定してCO2を貯留できる結果を得た.また,各貯留層トラップにおいて貯留量の指標となる最大のCO2コラム高は,深度が大きいものほど高くなり,各トラップにおいてCO2の最大許容量は常に天然ガスのそれよりも高いコラム高を示した.本シミュレーションでは断層の影響を含んでいないが,既に天然ガス集積が認められているトラップであれば,その最大コラム高の範囲内で超臨界CO2を安定的に貯留できる見込みである.
  • -新潟・山形県境金丸地域における例-(コロイド特性把握の研究-その2)
    金井 豊, 上岡 晃, 関 陽児, 奥澤 康一
    2010 年 61 巻 7-8 号 p. 271-287
    発行日: 2010/07/30
    公開日: 2013/07/09
    ジャーナル フリー
     地下水中のウラン系列核種とそのコロイド挙動等について検討するために,新潟・山形県境に位置する金丸地域において採取された地層水や地表水中のウラン系列核種およびコロイド挙動を調べた.地層堆積物中のウラン濃度は,ウラン濃集層の方が基盤花崗岩よりも1桁以上高濃度であったが,地層水では基盤花崗岩中の方がウラン濃集層よりも高濃度であった.ウラン濃集部ではウランが外部から移動し濃集固定しているのに対し,花崗岩ではウランを溶出しやすい環境にあり,ウラン供給源としての働きを有すると考えられた.地層水中のウラン系列核種は,U-234/U-238放射能比>1を示す試料がほとんどであり,ウランが溶出していることを示唆していた.表層もしくは浅層で採取された掘削後初期の溶液試料では,Th-230/U-234放射能比>1の試料が幾つか認められた.溶液中ではTh-230/U-234放射能比>1にはなり難いことから,量的にはわずかであろうが,固体状での存在形態,例えば懸濁物質やコロイド態が推測された.この原因として,ボーリング掘削に伴う泥水・掘削片等の懸濁物の混入や地層水移動の可能性,更には外気との接触によってpH,Eh等の変化に伴いコロイド生成が生じた可能性が考えられる.
概報
  • 伊藤 忍, 山口 和雄, 横倉 隆伸, 加野 直巳, 大滝 壽樹, 住田 達哉
    2010 年 61 巻 7-8 号 p. 289-299
    発行日: 2010/07/30
    公開日: 2013/07/09
    ジャーナル フリー
     2003年宮城県北部の地震の震源域北西部で,2005年と2008年に反射法地震探査を実施した.2008年に実施した南方の測線の断面図では石巻湾断層が明瞭に見られた.しかしながら,2005年に実施した北方の測線の断面図には,明瞭には見られなかった.2回の調査の諸元はほとんど同じである.しかしながら,断層の明瞭度の違いは,両者のわずかな違い,最大重合数やスイープ周波数の違いに起因している可能性がある.また,浅部の凝灰岩の厚さに起因している可能性もある.更に,断層面の本質的な不均質,例えば,地震波速度の不均質や断層破砕帯の幅の不均質に起因している可能性もある.
  • 桑原 拓一郎
    2010 年 61 巻 7-8 号 p. 301-306
    発行日: 2010/07/30
    公開日: 2013/07/09
    ジャーナル フリー
     栃木県喜連川丘陵で掘削された後期更新世以降のテフラ-土壌累積層の植物珪酸体群集は,氷期-間氷期サイクルに対応する.本テフラ-土壌累積層から得られた植物珪酸体群集に対して,タケ亜科珪酸体群集の出現率の変動に注目して,下位より群集帯A~Cを設定した.群集帯AとCは,ネザサ節などのメダケ属珪酸体が優勢,もしくはミヤコザサ節などのササ属珪酸体が劣勢であり,相対的な温暖期を示す.一方,群集帯Bは,ネザサ節などのメダケ属珪酸体が劣勢,もしくはミヤコザサ節などのササ属珪酸体が優勢であり,相対的な寒冷期を示す.群集帯A~Cは,時間指標テフラの層準を基準にして海洋酸素同位体ステージ(MIS)に当てはめると,MIS1~5に対応する.
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