地質調査研究報告
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論文
  • 阿部 朋弥, 水野 清秀, 納谷 友規
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 75 巻 1 号 p. 1-19
    発行日: 2024/03/12
    公開日: 2024/03/14
    ジャーナル フリー

    西三河平野地下に分布する更新統の年代層序を構築するために,5地点のボーリングコア(GS-HKN-1,TKNo.1,GS-NSO-2,ISJ,N214コア)に含まれるテフラについて,記載岩石学的特徴と火山ガラスの主成分・微量元素組成に基づき,それらの広域対比を明らかにした.GS-HKN-1コアのHKN1-v27テフラとGS-NSO-2コアのNSO2-v27テフラ,ISJコアのISJ-v30テフラは笠森10(Ks10)テフラ(MIS 13 ~ MIS 14)もしくは笠森18(Ks18)テフラ(MIS 15)に対比された.TK No.1コアのTK1-v18テフラとTK1-v23テフラは,それぞれ阿蘇3(Aso-3)テフラ(MIS 5e)と加久藤(Kkt)テフラ(MIS 9)に対比された.N214コアのN214-v30テフラは,阿多鳥浜(Ata-Th)テフラ(MIS 7)に対比された.各テフラの年代とMISとの対応から,GS-HKN-1コアのユニット7 とGS-NSO-2コアのユニットN2-1,ISJコアのユニット1 はMIS 13 ~ MIS 15,TK No.1コアのユニットCはMIS 9,N214コアのユニット1 はMIS 7,TK No.1コアのユニットBはMIS 5eに形成された可能性が高い.これらの結果から,本平野地下の更新統は,地点ごとで含まれる更新統の年代が異なる複雑な地下層序であると推定される.

  • 納谷 友規, 阿部 朋弥, 水野 清秀
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 75 巻 1 号 p. 21-59
    発行日: 2024/03/12
    公開日: 2024/03/14
    ジャーナル フリー

    愛知県西三河平野で掘削された3本のボーリングコア,GS-HKN-1,GS-NSO-2,TK No.1コアに産出する珪藻化石群集を明らかにした.各コアから産出する珪藻化石群集は,海生および汽水生珪藻を主体とする群集と淡水生珪藻を主体とする群集の繰り返しからなる.各コアにおいて珪藻化石群集帯を設定して(それぞれ下位よりHKN1-1 ~ 8 帯,NSO2-1 ~ 4 帯,TK1-1 ~ 6帯), 各群集帯の珪藻化石群集の特徴を記載するとともに古環境を推定した.海生および汽水生珪藻を主体とする珪藻化石群集からなる海成層の年代や酸素同位体ステージ(MIS)との対比を検討した結果,西三河平野では過去およそ100万年間に,少なくとも9層準の海成層が挟まることが示された.各時代の浅海生珪藻化石の消長に着目すると,Cyclotella stylorumが前期更新世の末期,Lancineis rectilatusがMIS15 もしくはMIS17,Diploneis cf. bombusがMIS11の産出を最後にそれよりも上位では消滅し,Paralia fenestrataがMIS19よりも上位から産出することが明らかにった.これらの珪藻化石の生層序はこの地域の地下更新統の層序対比に有効である.各コアから産出した主な珪藻化石の顕微鏡写真を,同定の根拠とした文献・図版を付記して示した.

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