この20年間で,地中熱ヒートポンプシステム(GHP)は世界的に広まっている.一般的に,地中熱ヒートポンプシステムは,熱帯地域において冷房に利用することは不利であると言われているが,場所によっては地下を冷熱源として使える場合も考えられる.本研究では,上記の可能性を評価するため,タイ・チャオプラヤ平野において地下温度構造の現地調査を実施した.
現地調査の結果,上部チャオプラヤ平野と下部チャオプラヤ平野とでは,その地温勾配に大きな差異のあることが明らかとなった.上部チャオプラヤ平野の地温勾配は,全体的に1.0℃/100m 以下と小さいのに対し,下部チャオプラヤ平野では,平野の周辺では小さく,中央部で4.0℃/100m 以上と大きくなる傾向を示した.以上の結果は,チャオプラヤ平野において地中熱利用ヒートポンプシステムの導入を想定した場合,全体的に地温勾配の小さい上部平野の地下が冷熱源として利用できる可能性を示唆している.
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