日本調理科学会誌
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42 巻, 6 号
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総説
報文
  • 金親 あつ美, 高木 稚佳子, 大越 ひろ, 藤井 恵子
    2009 年 42 巻 6 号 p. 378-385
    発行日: 2009年
    公開日: 2014/12/26
    ジャーナル フリー
    豆乳を用いた含泡食品を健康面の観点から開発することを目的に,豆乳の泡沫特性を調べた。撹拌温度40℃で得られた豆乳泡沫は,撹拌温度10℃および25℃で得られた豆乳泡沫よりも起泡性および泡沫安定性が優れていた。卵白の場合では,撹拌温度を上げると起泡性は高くなったが,泡沫安定性は低下した。豆乳に塩化ナトリウムまたは塩化カルシウムを添加すると,起泡性および泡沫安定性が向上した。撹拌速度が650rpmで調製した豆乳泡沫の方が,950rpmで調製した泡沫に比べて硬かった。
  • ―中鎖脂肪(MCT)と機能性糖質甘味料を用いて―
    大喜 多祥子, 花﨑 憲子, 倉賀野 妙子, 和田 淑子
    2009 年 42 巻 6 号 p. 386-393
    発行日: 2009年
    公開日: 2014/12/26
    ジャーナル フリー
    本研究では,生活習慣病に配慮しつつ,嗜好性にも優れたビスケットを提案するために,MCT(中鎖脂肪)のビスケットへの配合量と血糖値への影響を検討した。
    材料は,小麦粉100 g,ベーキングパウダー2 g,卵黄3 g,機能性糖質甘味料(フラクトオリゴ糖:マルチトールを1:2)50 g,MCTと水48 gとした。
    MCT:水を1:1に配合したビスケットは,甘味が強く,口当たりと風味が好まれ,総合評価において最も好まれたことから,最適配合であると考えられた。最適配合ビスケット摂取後の血糖上昇曲線下面積は,「長鎖脂肪・砂糖ビスケット」に比べ約 20%小さかった。最適配合ビスケットの見かけのGI値は,白米飯を100とした場合約66と推定され,最適配合ビスケットは低GIビスケットであるといえた。
  • 奥田 玲子, 石村 哲代, 金谷 昭子
    2009 年 42 巻 6 号 p. 394-403
    発行日: 2009年
    公開日: 2014/12/26
    ジャーナル フリー
    米粒組織から遊離した炊飯液中の固形成分が,米飯粒表面付着層形成に関わる主要なファクターの一つになっているのではないかとの観点から,炊飯過程における炊飯液固形成分量と,それに対応する付着層固形成分量の量的変化を追跡し,固形成分による付着層形成のメカニズムの解明を試みた。また米粒組織と付着層の境界を明らかにして光学顕微鏡観察をおこなうとともに,SEMによる米飯粒表面付着層の詳細な観察をおこなった。
    その結果,付着層の形成は糊化開始温度付近から始まり,炊飯の進行につれて炊飯液の固形成分量は次第に減少するが,それに伴って固形成分の集積による付着層の増加がみられるという,炊飯液固形成分の付着層形成機構への関与が明らかになった。また光学顕微鏡による米飯粒付着層の厚さの測定およびSEMによる表面観察より,日本穀物検定協会による食味評価ランクが高い品種の米飯粒は全体的に均一で厚く滑らかな付着層に覆われており,食味と付着層形成状態との関連性が示唆された。
ノート
  • ―残渣入りパウンドケーキの嗜好性と抗酸化性の検討―
    永塚 規衣, 小松 あき子, 原田 和樹, 長尾 慶子
    2009 年 42 巻 6 号 p. 404-409
    発行日: 2009年
    公開日: 2014/12/26
    ジャーナル フリー
    廃棄物のゼロミッションに貢献するために,鮭の頭から“煮こごり”を調製した後の残渣を再び食品に活用しようと試みた。残渣を添加したパウンドケーキを焼成し,本学調理科学研究室の学生・職員29名に対しての官能評価並びに活性酸素のペルオキシラジカルの捕捉活性を測定した。
    その結果,醤油・砂糖で味付けした煮こごり残渣中には高いペルオキシラジカル捕捉活性が残存していたが,その残渣を添加したパウンドケーキの嗜好性並びにペルオキシラジカル捕捉活性は残渣添加量を8 wt%,20 wt%と増加しても有意差はなく同程度であった。残渣に黒ゴマを添加したパウンドケーキの官能評価を行ったところ,魚臭がマスキングされ,総合的に好まれる結果が得られた。また,ペルオキシラジカル捕捉活性も残渣のみのパウンドケーキに比べてゴマ添加により有意に増強されることが明らかとなった。
    以上の結果から,“煮こごり”残渣は単独利用よりも調味料や副材料と上手く組み合わせることで,栄養・嗜好性並びに抗酸化性に優れた食品として再利用できる可能性が示唆された。
資料
  • ―家庭でのしつけとの関連をふまえて―
    古郡 曜子, 菊地 和美
    2009 年 42 巻 6 号 p. 410-416
    発行日: 2009年
    公開日: 2014/12/26
    ジャーナル フリー
    本研究は,平成2年前後に生まれた学生を対象とした保育所・幼稚園における「食の思い出」アンケート調査をまとめたものである。調査時期は2008年4~5月に実施し,有効回答数は732人,調査対象者の平均年齢は18.5歳であった。アンケート調査の結果は以下のとおりであった。食生活の出来事における思い出の回答では,「印象に残っていること」は「いただきます・ごちそうさまという挨拶」を多く挙げていた(74.5%)。通園先における「食事が楽しかった」という回答が82.2%であり,「楽しい思い出」の質問には,みんなで食べたこと,お弁当に関すること,食べ物の栽培をしたことなどを回答していた。一方,幼児期の家庭における「食事のしつけ」の記憶数は,平均4.0±2.2個であった。「現在,食事のマナーが身についていると思う」と回答した学生は,幼児期の家庭における「食事のしつけ」の記憶数が多いという,関連性がみられた。
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