日本調理科学会誌
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最新号
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総説
報文
  • 坂本 薫, 森井 沙衣子
    原稿種別: 報文
    2025 年58 巻5 号 p. 239-248
    発行日: 2025/10/05
    公開日: 2025/10/07
    ジャーナル 認証あり

     加熱熔融特性の異なる砂糖が加熱調理品に与える影響について,水分の有無に着眼して調べるため,150℃程度の温度帯から融解するグラニュ糖(W糖)とその粉砕糖(WP糖)を用い,キャンディとクッキーを調製した。W糖とWP糖ではDSC曲線に差があった。水を加えず調製したキャンディではWキャンディよりもWPキャンディが着色したが,水分を含むクッキーでは結果が逆転し,Wクッキーの方が苦味も増した。焼成前のクッキー生地では砂糖が溶け残っていたが,焼成後には小麦澱粉の粒構造を包み込むように固まっている様子が観察された。生成還元糖量にも差が生じたが,水分がない状態で加熱した調理品と水分を含む調理品では,加熱に伴う砂糖の分解状況が異なるためと考えられた。砂糖のカラメル化やアミノカルボニル反応により起こる着色物質や苦味物質の生成に差が生じ,色や味に影響すると考えられた。砂糖の融点の違いは調理品の品質に違いをもたらすが,その違いは,共存する水分とその量に大きく影響を受け,一様ではないことがわかった。

  • 齋藤 公美子, 佐多 綾花, 武智 多与理, 三亀 啓吾, 畠中 芳郎, 髙村 仁知
    原稿種別: 報文
    2025 年58 巻5 号 p. 249-261
    発行日: 2025/10/05
    公開日: 2025/10/07
    ジャーナル 認証あり

     我々はグルテンフリー米粉パンを高温水で調製する製パン法を開発し,パンの品質を向上させることを報告してきた。本研究では,米粉パンの老化に対する高温水添加の影響について検討した。5℃および50~80℃で調製したパンを0~48時間保存し,糊化度,水分含量,硬さの経時変化を比較した。60~80℃の高温水でパン調製した時,中アミロース米粉および高アミロース米粉において保存48時間後の糊化度,水分含量は高く保持された。内相の硬さ測定においては,低中高アミロース米粉それぞれの最適加水温度で硬化が抑制された。また外因性酵素を添加した場合も,高温水での調製により高い老化抑制効果が認められた。さらに,サイズ排除クロマトグラフィーおよびデンプン-ヨウ素複合体吸収スペクトルを用いたデンプン構造の分析を行ったところ,冷水よりも高温水で調製したパンの内相におけるデンプン鎖長は短くなった。これより,高温水による老化抑制効果は,米粉内在性酵素によるデンプンの加水分解が関与していることが推察された。

ノート
  • 鈴野 弘子, 秋山 聡子, 池田 昌代, 杉原 たまえ
    原稿種別: ノート
    2025 年58 巻5 号 p. 262-269
    発行日: 2025/10/05
    公開日: 2025/10/07
    ジャーナル 認証あり

     ブレッドフルーツ(BF)果実を利用した新規加工食品の開発を目的として,BF果実を粉末化し,それを用いてポン・デ・ケージョを調製し,その品質と官能特性を検討した。

     ポン・デ・ケージョの体積は,BF粉末の置換量が増えるにつれて減少した。また,テクスチャーは置換量が多くなるほど硬くなり,崩れやすくなった。分析型官能評価における食感の評価は,物性測定値と概ね一致した。嗜好型官能評価の味と総合評価は,BF粉末の置換量が少ない方が好まれた。しかし,タピオカでんぷんの50%をBF粉末に置換したポン・デ・ケージョの嗜好性は低くはなかった。これらの結果から,BF粉末の一つの利用法が見出せた。

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