音声言語医学
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49 巻, 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 藤原 百合, 山本 一郎, 前川 圭子
    2008 年 49 巻 2 号 p. 101-106
    発行日: 2008/04/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    EPGを用いた構音訓練の目標として示す日本語音韻のEPGパターンを得ることを目的に, 正常例の構音動態を分析した.顎口腔機能に異常がない成人5例を対象とし, 日本語5母音と歯茎音・硬口蓋音・軟口蓋音をWinEPGシステム (Articulate Instruments Ltd.) を用いて記録した.各音について最も舌と口蓋の接触が多いフレームを選択し, 5名の被験者の累積頻度パターンを作成した.また, 舌と口蓋の接触が前後方向いずれに偏っているかを示すCenter of Gravity (COG) 値の平均値を算出した.結果, 累積頻度パターンは個人間の共通部分が明らかとなり, 変動の許容範囲も示せるので, 視覚的フィードバック訓練の有用な目標パターンとなった.COG値は構音点の前後方向の違いを具現しており, 構音場所の誤りを定量的に評価する指標となりうることがわかった.
  • ―成人吃音1症例を対象に―
    酒井 奈緒美, 森 浩一, 小澤 恵美, 餅田 亜希子
    2008 年 49 巻 2 号 p. 107-114
    発行日: 2008/04/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    吃音者は変換聴覚フィードバック (AAF) 条件下で発話すると吃音が減少することが知られており, 特に遅延聴覚フィードバック (DAF) は訓練で利用されてきた.一般に訓練効果の日常への般化は困難であるため, 近年は日常で使用できる小型のAAF装置が開発されているが, その効果は主観的データや訓練室内のデータによって報告されているのみである.そこでわれわれは日常場面での耳掛け型DAF装置の客観的効果判定を目指し, DAFの即時効果がある成人1症例に対して, 約4ヵ月間電話場面で装置を適用した.その結果, 発話速度と吃頻度の低下が観察され, 日常場面における耳掛け型DAF装置の有効性が客観的に示された.また主観的評価からも, 回避傾向, 発話の自然性などの側面における改善が報告された.さらに4ヵ月間の使用後, 装置を外した条件下でも吃頻度の低下が観察されたことから, 一定期間の装用効果はcarry overする可能性が示唆された.
  • 三盃 亜美, 伊集院 睦雄, 宇野 彰, 辰巳 格
    2008 年 49 巻 2 号 p. 115-123
    発行日: 2008/04/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    本研究では小学生が音読を学習する過程をシミュレーション・モデルの音読学習に反映させた場合とそうでない場合に, シミュレーション・モデルの音読成績が配当学年に影響されるか否かを検討することで, 小学生の音読モデル構築を試みた.音読学習時に成人用モデル構築と同様の方法で学習単語を入力したモデル (一括入力モデル) と, 小学生の音読学習に近づけ配当学年順に入力したモデル (配当学年順入力モデル) を構築し, 学習終了後に単語属性 (一貫性, 頻度, 配当学年) を操作した漢字二字熟語を入力した.その結果, 一括入力モデルでは配当学年の影響が現れず, 健常成人の音読特徴を示していたのに対し, 配当学年順入力モデルでは配当学年の影響が認められ, 健常児童の音読特徴と類似した.小学生の音読を対象にシミュレーション研究を行う際には, 小学生の音読学習環境に類似させて, モデルに音読学習を行う必要があることが示唆された.
  • 田内 光, 白坂 康俊
    2008 年 49 巻 2 号 p. 124-125
    発行日: 2008/04/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
  • ―インクルーシブ教育について考える―
    山中 冴子
    2008 年 49 巻 2 号 p. 126-131
    発行日: 2008/04/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    2006年12月に採択された「障害者権利条約」の教育条項は, 誰をも排除しないインクルーシブな社会の形成に向けて, インクルーシブ教育を原則とした.インクルーシブ教育は, 子どもの姿から教育を構築するという理念であり, 不断の改革プロセスである.インクルーシブな社会の形成が意図されているとはいえ, 全面的な発達を目指す教育の目的に沿って, 個の教育的ニーズの尊重が最優先されねばならない.したがって, インクルーシブ教育が真にインクルーシブなものになっているかどうかは, そこでの教育が子どもの教育的ニーズに照らして適切なものになっているかどうかという実質的側面から問われる必要がある.従来の教育実践で蓄積されてきた子どもを主人公とするための子ども観や発達観を, 「合理的配慮」を生かした教育条件整備を通して励ますことは, インクルーシブ教育と矛盾するものではなく, むしろ子ども中心の教育を保障するための基礎となる.
  • 南雲 直二
    2008 年 49 巻 2 号 p. 132-136
    発行日: 2008/04/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    People with disabilities experience two kinds of distress. One originates directly from their disability or disabilities, and the other derives from the social treatment accorded to them as a disabled individual. The palliative method for coping with the former type of distress is acceptance of one's disabilities, although this may involve numerous methodological difficulties. The palliative method for dealing with the latter form of distress is social acceptance of persons with disabilities. Many approaches have been devised to secure such social acceptance, and collectively these have resulted both in improved social participation by persons with disabilities and, as a by-product, easing of the distress originating from their disabilities.
  • 坂本 祐之輔
    2008 年 49 巻 2 号 p. 137-142
    発行日: 2008/04/20
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    埼玉県東松山市では, 障害のある人とない人を分けてきたこれまでの社会の仕組みを改め, すべての人が同じ場所で育ち・学び・遊び・働き・暮らすことができるノーマライゼーションのまちづくりを推進しています.このまちづくりの一として, 平成19年度より東松山市では全国の自治体に先駆けて, 実質的に障害児が普通学校へ進学することを疎外する役割を担っていた「就学支援委員会」を廃止しました.
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