音声言語医学
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63 巻, 1 号
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総説
  • ―共鳴・構音不全に対するアプローチ―
    南都 智紀, 田中 康博, 中谷 謙, 福永 真哉, 椎名 英貴, 苅安 誠
    2022 年 63 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/01/28
    ジャーナル 認証あり

    Dysarthria患者のリハビリテーションとして,共鳴不全と構音不全に対して報告されている訓練やアプローチを紹介し,その有効性について説明する.共鳴不全に対して非言語性訓練が行われてきたが,訓練効果に関しての科学的根拠は示されていない.声量,姿勢,訓練音の選択は,鼻咽腔閉鎖機能に影響を与える要素であるため,今後の訓練効果の検証が望まれる.非言語性口腔運動エクササイズについては,発話への効果は乏しいとされており,訓練の適応症例について慎重に検討されなければならない.構音訓練については,運動学習理論を考慮したうえで,発話課題の順序や難易度設定を考慮することが望まれる.発話速度の調節や訓練環境への配慮もコミュニケーションの実用性を高めるアプローチとして重要と考えられる.今後は,効果検証されていない取り組みや治療技法について訓練効果の検証が求められる.

原著
  • 髙﨑 純子, 春原 則子, 宇野 彰
    2022 年 63 巻 1 号 p. 7-12
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/01/28
    ジャーナル 認証あり

    小学校通常学級に在籍する児童629名と発達性読み書き障害(DD)児38名を対象に,特殊音節を含むカタカナ非語書取の特徴とそれにかかわる認知機能を検討した.通常学級在籍児群における非語書取の平均正答率は,学年が上がると高くなるが,小学6年生でも約8.1%の児童が誤った.DD群の平均正答率は,いずれの学年も通常学級群に比べ低く,DDにとって困難な課題であることが示唆された.また,カタカナ単語の書取は全問正答できても,非語の書取で誤るDD児がいた.両群を合わせた重回帰分析の結果,カタカナ非語書取には音韻能力や視覚認知力,自動化能力がかかわっていることが示された.通常学級在籍群において,非語書取で成績の低い児童のうち5割以上は,これらの認知機能のいずれかで低下を認めた.本カタカナ非語書取課題は実施が簡便であることから,その他の課題と組み合わせることによりDD検出のための有用なツールになりうるのではないかと考えられた.

  • 大森 史隆, 水本 豪, 橋本 幸成
    2022 年 63 巻 1 号 p. 13-22
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/01/28
    ジャーナル 認証あり

    慢性期失語症例に対し,仮名1文字の書取訓練(40分/回,計35回,約4ヵ月半)において単音節語からなる漢字1文字をキーワード,漢字1文字を初頭に含む複合語等をヒントとして用いた.その結果,平仮名44文字中,書取可能な文字数が9文字から31文字に増加した.仮名1文字の書取には,キーワードの書字やヒント想起の可否がかかわっていた.仮名1文字の書取の成否に影響を及ぼす文字特性を検討した結果,キーワードとして用いた漢字の画数が有意であった.書取可能となった平仮名31文字を組み合わせて2文字単語20語の書取訓練(40分/回,計14回,約2ヵ月)を実施した結果,書取可能単語数は3語から17語に増加した.両訓練は,モーラ分解・抽出の必要がない単音節の漢字1文字単語をキーワードとして用いたため,音韻処理障害のある本例に有効であった.訓練に際しては,漢字の画数に留意し,文字数の少ない単語を用いる必要性が示された.

  • 湯浅 哲也, 加藤 靖佳
    2022 年 63 巻 1 号 p. 23-33
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/01/28
    ジャーナル 認証あり

    本研究の目的は,特別支援学校(聴覚障害)小学部より高等部までの児童生徒を対象に,文章音読での発話速度の特徴を横断的に分析し,学部間および裸耳平均聴力レベルとの関連や発達的傾向を解明すること,人工内耳装用時期,発話速度に対する自己評価との関連を検討することにある.その結果,裸耳平均聴力レベル80〜99 dB群および人工内耳装用群は小学部低学年より中学部のほうが1モーラ当たりの持続時間および文中ポーズ時間が短縮することが示唆された.また,発話速度に対する自己評価と1モーラ当たりの持続時間について,全体的に有意な関連を認めた.したがって,1モーラ当たりの持続時間が長い発話を示す聴覚障害児は,自己評価でも発話速度が遅いと自覚していることが明らかになった.

  • 赤松 裕介, 廣田 栄子, 尾形 エリカ, 山岨 達也
    2022 年 63 巻 1 号 p. 34-42
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/01/28
    ジャーナル 認証あり

    小学校就学前にCI手術を受け,当科にて聴覚管理を行っている先天性重度聴覚障害児123名を対象に,小学校低学年(1-3年生)時の読書力検査(教研式読書力診断検査)と聴取能検査(福田版明瞭度検査単音節語表)の結果を後方視的に解析した.
    読書力偏差値は大きな個人差を認めたが,症例の54%で健聴児平均以上を示し,CI装用下の単音節聴取能と有意な相関を示した.読字力領域では,おおむね健聴児平均以上の良好な傾向を示し,語彙・文法・読解鑑賞領域で低下した.発達障害例,蝸牛神経低形成例は読書力に影響を与えることが示されたが,内耳奇形例と4歳以上手術例に必ずしも読書力の低下を示さなかった.聴取能の予後不良因子を除いた標準例の読書力偏差値は症例の61%(平均偏差値49.8)で健聴児平均以上を示し,動作性知能指数と単音節聴取能の関与が示された.今後,教育環境や家族要因などについても検討を行うことが必要と考えられる.

症例
  • 大森 美代, 宇野 彰
    2022 年 63 巻 1 号 p. 43-49
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/01/28
    ジャーナル 認証あり

    対象症例は,言語障害特別支援学級に在籍する発達性読み書き障害児2名である.1名は言語発達障害の併存を認めた.2名はともに知能は正常であり,音声言語の長期記憶も良好であり,練習して文字を習得したいという意思が明確である,という3条件を満たしていたため,宇野ら(2015)の聴覚法を用いてひらがな,カタカナの指導を実施した.その結果,約10週間後に両名ともにひらがな,カタカナがほぼ完璧に習得でき,その後も維持できていた.家庭学習が困難な読み書き障害児に対して,自立活動の時間の活用と専門教員の育成により,効果的な指導が言語障害児特別支援学級において可能であることが示唆された.

  • 兒玉 成博, 湯本 英二, 宮本 卓海, 田代 丈二
    2022 年 63 巻 1 号 p. 50-57
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/01/28
    ジャーナル 認証あり

    一側喉頭麻痺に対する治療として,外科的治療や保存的治療がある.今回,一側喉頭麻痺に対して音声改善術を施行後,音声治療のvocal function exercise(以下,VFE)を追加し,音声治療の効果について検討した.
    対象は,音声改善術後さらなる音声の改善を希望されVFEを施行した3例であった.評価項目として声帯振動(規則性,声門間隙),空気力学的検査(MPT,MFR),音響分析(F0,声域,jitter,shimmer,NHR),声の自覚評価(VHI-10)を用いた.評価時期は,術前,治療前,治療後とした.
    空気力学的検査の値は,3例とも治療後に正常範囲まで達した.音響分析の声域は,治療前後で3例中2例が改善したが,jitter,shimmer,NHRの値は正常範囲まで改善しなかった.症例1では声帯振動の声門間隙が高値であり,また,VHI-10の値は,症例1と症例2で高値であった.
    一側喉頭麻痺術後にVFEを施行することで,発声機能をある程度改善できる可能性があるが,本人の満足いくまで改善しない場合もある.

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