1)
Vibrio cholerae classical type NIH 41 Ogawa (NIH 41 Ogawa と略す) 死菌を, 母ウサギに免疫し, この母ウサギ12羽から出産した子ウサギ82羽 (平均産子数6.8羽) 中72羽について, V. cholerae生菌の幼若ウサギ腸内接種試験 (Duttaテストと略す) を行つた結果, 50羽の子ウサギが生き残つた。Duttaテスト以後, 生き残つた子ウサギについて接種菌の排菌の有無を, NIH41 Ogawaの型因子血清を用いて調べた結果, 50羽中31羽に排菌がみられ, そのうち3羽は2週間排菌陽性であつた。これら排菌陽性および排菌陰性ウサギの両者を2~3ヵ月間飼育した後, 腸管結紮ループ試験 (Deテストと略す) を行つた結果, 排菌陰性群にくらべて排菌陽性群に, Deテスト陰性の反応が多かつた。なお, DuttaテストよりDeテスト実施までの期間, 凝集素価, 溶菌素価の上昇はみられず, 血中抗体価はDuttaテスト後の排菌の有無に関係なく低く評価された。
2) 上記の死菌免疫母ウサギから生まれた子ウサギ中10羽は, Duttaテストを行わず飼育し, 2~3ヵ月間飼育後, Deテストを行い, 陽性であつたウサギの腸管ループ内容源液を用いて, さらに他のウサギでDeテストを行うと100%陽性であつた。この陽性腸管ループ内容炉液について, vascular permeability factorを調べたが, 陰性であつた。
3) 病理組織学的に, 生菌によるDeテストの強陽性例は, 壊死性のはく離および化膿性の病変が著明であるが, 抽出抗原 (コレラトキシン) によるDeテストの強陽性例は, 腸管の膨満が著しく, 壁の圧平, 伸展が著明で, 壊死性化膿性の病変はみられなかつた。
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