Lactobacillus casei var.
rhamnosusに属する菌株の血清学的性状を,冷トリクロル酢酸(TCA)で抗原を抽出し,寒天ゲル内沈降反応で調べた。
L. casei var.
rhamnosusの大部分の菌株は血清学的にはgroup Cに属したが,その他に独自のtype (T)抗原,特にT
1とT
3をもつていた。しかし2菌株はT
1抗原を欠き,T
2とT
3抗原をもちgroup Bに属した。またT
1, T
3抗原はもつが,group BにもCにも属さない菌株も存在した。Group Bに属する2菌株(I-138株とYIT 9009株)はrhamnoseを〓酵するが,45Cでの増殖の悪い菌株であり,さらにYIT 9009株はlactoseを〓酵せず,
L. casei var.
alactosusとしての性状も示す菌株であつた。
L. casri var.
rhamnosusの菌株の細胞壁とそのTCA抽出物との糖組成は,おもにrhamnoseとglucoseであつて,そのほかにhexosamineとgalactoseからなつていたが,group抗原を欠いた2株のTCA抽出物にはgalactoseがほとんど含まれていなかつた。
ゾーン電気泳動もしくはSephadex G-200によるゲル〓過によつて分画したgroup C抗原画分にはrhamnoseが含まれず,主としてglucoseと少量のgalactoseから構成されていた。またgroup B抗原画分はrhamnose, glucose, galactoseで構成されていた。一方C-16株のT抗原画分(T
1とT
3抗原を含む)の糖組成はrhamnoseとglucoseであつた。
T
3抗原に関する反応の阻止試験においてglucose (β-glucoside)がもっとも良い阻止効果を示し,glucosamineとN-acetylglucosamineも比較的良い阻止効果を示した。しかしT
1抗原とT
2抗原の反応を阻止する糖は認められなかつた。
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