私は, 細菌, 免疫, 細菌毒素, 臨床感染症等, 多くの研究分野の共同研究者とともに, 1980代半ばから, 病原性細菌が産生するスーパー抗原活性を持つ細菌毒素について解析を続け, 下記の事柄を明らかにしてきた。1) 黄色ブドウ球菌が産生するトキシック症候群 (toxic shock syndrome, TSS) 毒素 (TSS toxin-1, TSST-1) は強いT細胞活性化因子であり, 主要組織適合 (MHC) クラスII分子に結合してT細胞を活性化する。2) TSSの発症機序にTSST-1のT細胞活性化が関与する。3) 新生児TSS様発疹症 (NTED) がメチシリン耐性黄色ブドウ球菌 (MRSA) による新興感染症として出現した。4) 新生児T細胞のTSST-1応答性は, 成人T細胞と比較して極めて未熟性を示す。5) A群レンサ球菌毒素 SpeA (streptococcal pyrogenic exotoxinA) はスーパー抗原活性を持つ。6)
Yersinia pseudotuberculosis 感染症の原因毒素として, スーパー抗原活性をもつ毒素
Y. pseudotuberculosis-derived mitogen (YPM) を産生する。
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