【背景】本邦の食物アレルギー診療は『食物アレルギー診療ガイドライン2005』の発刊を契機に大きく発展した.しかし,最近でも学校給食によるアナフィラキシーの死亡事故が報告され,取り組みが不十分であることを再認識させられた.経口負荷試験による食物アレルギーの正しい診断が社会に求められるが,その医療体制は十分でない.本研究は,施設間の違いがある経口負荷試験に対して,共通プロトコルを採用したデータベースを使用し,多施設の経口負荷試験ネットワークを構築することを目的とした.【方法】負荷プロトコルを共通化した上で,経口負荷試験の詳細な情報を漏れなく順序立てて入力できるデータベースをFileMaker
®で作成し,これをもとに経口負荷試験ネットワークを構築した.【結果】2012年10月から2014年4月の間に,12施設がネットワークに参加し,1,044件の負荷試験が登録された.【結語】共通プロトコルは経口負荷試験ネットワークの構築に重要な役割を果たし,食物アレルギー診療体制の充実に貢献すると考えられる.
抄録全体を表示