順天堂医学
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23 巻, 2 号
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目次
特集 臨床栄養―過栄養と低栄養―
原著
  • 添田 昇
    1977 年 23 巻 2 号 p. 192-209
    発行日: 1977/06/10
    公開日: 2014/11/22
    ジャーナル フリー
    正常ラットおよび実験的ネフローゼ症候群ラットから糸球体基底膜 (GBM) をとり出し, 化学組成の変化について検討した. 実験的ネフローゼ症候群の作製は, Wister系雄ラットにダウノマイシンの静注および抗ラット家兎血清静注の2つの方法によった. GBMは種々のふるいで糸球体をとり出した後, 超音波処理で分離精製した. その純度は位相差顕微鏡で検し98-100%であった. GBMのimmune complexは, 0.02Mクエン酸緩衝液 (pH3.2) で除去した. アミノ酸分析は酸加水分解後JLC-5AHを用いて自動分析した. アミノ糖は酸加水分解後溶出液に8%メタノールを含んだ0.5Mクエン酸ナトリウム (pH6.09) を用い, KLA-5型で自動分析した. 糖は1Nメタノール塩酸でメタノリーシス後TMS化し, Perkin Elmer Model 900BとShimazu GC-4 BM PFEを用いて自動分析した. Daunomycin nephrotic rat (DMNラット) 腎は光顕上微少変化群を呈し, nephrotoxic nephritic rat (NTNラット) 腎は, 部分的に軽度の毛細管係蹄壁の肥厚を伴った増生性変化を呈した. 正常ラットGBMのアミノ酸組成ではbovine tendon collagenと比べて, ヒドロキシプロリン, プロリン, グリシン, アラニン, リジン, アルギニンが少なく, アスパラギン酸, スレオニン, セリン, グルタミン酸, バリン, メチオニン, イソロイシン, ロイシン, チロジン, フェニールアラニン, ヒドロキシリジン, ヒスチジン, シスチンが多く含まれていた. しかし, ヒドロキシプロリン/プロリン比およびヒドロキシリジン/リジン比はGBMで高く, GBMではプロリンとリジンの水酸化が活発に行なわれていることを示唆していた. 総糖量はGBMに多く約8%であった. 以上よりGBMはコラーゲン類似の物質である. DMNラットGBMでは, 4-ヒドロキシプロリン, グリシン, メチオニン, ヒドロキシリジンの減少, セリン, グルタミン酸, バリン, ロイシン, アルギニンの増加, 糖ではN-アセチルグルコサミンが増加したが, 総糖量には変化はなかった. NTNラットでは, 4-ヒドロキシプロリン, グリシン, イソロイシン, シスチンが有意に減少し, アスパラギン酸, スレオニン, セリン, グルタミン酸, アラニン, ロイシン, チロジン, ヒドロキシリジン, リジンが有意に増加していた. 糖組成では, フコース, N-アセチルグルコサミン, N-アセチルガラクトサミンが減少, N-アセチルノイラミン酸が増加していたが, 総糖量にはほとんど変化はなかった.
  • 山崎 博通
    1977 年 23 巻 2 号 p. 210-229
    発行日: 1977/06/10
    公開日: 2014/11/22
    ジャーナル フリー
    腎不全におけるcyclic nucleotidesの動態を明らかにするため, 血中および尿中のadenosine 3', 5'-monophosphate (cAMP) とguanosine 3', 5'-monophosphate (cGMP) を慢性腎不全患者, 酢酸ウラニル注射による実験的急性腎不全家兎で測定し, またこれらのnucleotidesと血漿グルカゴン, 一部で副甲状腺ホルモンとの関連性についても検討し次の知見を得た. (1) 臨床および実験的腎不全において, 血漿cyclic nucleotidesはともに増加し, 尿中排泄は減少する. (2) 血漿cyclic nucleotidesは血清クレアチニンと正の相関を示し, クレアチニンクリアランスとは負の相関を示す. また両nucleotidesの腎クリアランスは腎不全で低下する. (3) 腎不全で, 血漿グルカゴンは高値を示し, 血漿cAMPとの間に正の相関を示す. また透析患者で, 血漿PTHは血漿cAMP, cGMPのいずれとも相関しない. このことはグルカゴンが血漿cAMPの変動に影響を及ぼしている可能性が示唆される. (4) 透析患者で, 平均血圧と血漿cGMP間に正の相関が認められ, 高血圧のmechanismにcGMPが関与している可能性が示唆される.
  • 今野 秀夫
    1977 年 23 巻 2 号 p. 230-251
    発行日: 1977/06/10
    公開日: 2014/11/22
    ジャーナル フリー
    先天性股関節脱臼は, 非観血的療法 (リーメンビュゲル) で, 高率に自動整復が得られているが, すべて整復され解決された訳ではない. 脱臼症例中で10-30%は自動整復が得られない. 著者はこの現状に鑑み, 治療前の単純X線写真から予後を予測する手掛りの一つとして, 臼蓋底肥厚に着目した. すなわち治療前のX線写真が計測に適するように, 正確に撮影されており, かつ治療後3年以上経過していて一応中間成績が判定できる症例159例を抽出して, 臼蓋底の厚さ, 臼蓋の深さ, 臼蓋の長さ, および脱臼度との関係を調べ, 臼蓋嘴・臼蓋・臼蓋底の三者を組み合せて臼蓋の形態的分類を試み, それらと治療成績の関係を明らかにした. その結果, 臼蓋底の厚さは脱臼側の臼蓋底が健側に比して厚くなる. 臼蓋底の実測値が3-4カ月, 6カ月群に於いて2mm以上, 12カ月群に於いて3mm以上の症例に観血的治療例が多い. 臼蓋の長さと臼蓋の厚さの関係では脱臼側は健側に比し臼蓋の長さの短縮と臼蓋底が厚くなり, その程度が著しいものが難治な傾向にある. また高度脱臼ほど臼蓋底肥厚が認められる. X線的臼蓋の形態では, 著者の分類による臼蓋底正常角凹型, 次いで臼蓋底正常角扁平型が経過が良いが, 臼蓋底肥厚丸凸型, 臼蓋底肥厚欠損凸型に難治なものが多い. 臼の浅いものが観血的整復例が多い. 臼蓋底肥厚に対処する方法の一つとして関節内へ突出した臼底を堀削することを案出し, 少数例ながらその方法で治療して骨頭の変形が予防できた症例を示し, なお堀削時に得た臼蓋底組織の病理的所見を検討した.
  • -分離とそれらの2, 3の性質の検討-
    高森 建二
    1977 年 23 巻 2 号 p. 252-261
    発行日: 1977/06/10
    公開日: 2014/11/22
    ジャーナル フリー
    ヒト静脈血とウサギ動脈血およびウサギ腹腔滲出液からの多形核白血球の分離法と, 得られた白血球の2, 3の性質を調べた. 1. ヒト静脈血からの白血球の回収率は40-60%で, その93-96%が多形核白血球であり, 白血球の生存率は95-98%であった. ウサギ腹腔滲出液から得られた白血球は, 93-97%が多形核白血球で, 84-90%の生存率を示した. 一羽めウサギから2-8×108個の多形核白血球を得ることができた. 2. トリス溶液を白血球浮遊液として用いた場合には著明な凝集を起こしたが, 細胞培養液として広く用いられているリン酸緩衝塩類溶液では, 白血球の凝集はみられなかった. 3. ウサギ多形核白血球はヒト多形核白血球より, 機械的刺激に対して不安定であった. 4. ヒトとウサギ多形核白血球に含まれる酵素量を比較したところ, β-グルクロニダーゼ, ペルオキシダーゼ, リゾチームおよび乳酸脱水素酵素は, 両者間に大きな差異は認められなかった. しかし酸性フォスファターゼは, ヒト多形核白血球の方が約12倍多く, アルカリフォスファターゼは逆にウサギの方が約6倍多く含まれていることが示されたが, フォスファターゼ全体としては, 両者間に差異はみられなかった. 5. ウサギ腹腔滲出液から調製した多形核白血球と動脈血から調製した多形核白血球の間には, 膜の安定性および酵素量において差異は認められなかった.
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てがみ
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