理学療法学
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40 巻, 6 号
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研究論文
  • -Geriatric Nutritional Risk Indexを用いた検証-
    櫻田 弘治, 高橋 哲也, 花房 祐輔, 熊丸 めぐみ, 齊藤 正和, 大浦 啓輔, 湯口 聡, 田原 将之, 上坂 建太, 森沢 知之
    2013 年 40 巻 6 号 p. 401-406
    発行日: 2013/10/20
    公開日: 2017/07/05
    ジャーナル フリー
    【目的】術前栄養状態と心大血管手術後のリハビリテーション進行の関連を検討すること。【方法】待機的に心大血管手術を施行した連続479例(男性:317例,女性:162例,年齢:67±13歳)を対象とした。術前Geriatric Nutritional Risk Index(以下,GNRI)を重症度リスクとして4群に分類し,術後リハビリテーション進行(座位・起立・歩行開始病日)や自立歩行遅延との関係を後方視的に調査した。さらに,術前GNRIが心大血管手術後の自立歩行遅延の予測因子となるか検討した。【結果】術前GNRI重度リスク群は他のすべての群に比べて慢性心不全の患者の割合が有意に多かった(p<0.05)。また術前GNRI重度リスク群は,起立開始病日と歩行開始病日が遅延し(p<0.05),さらに自立歩行遅延例の割合も有意に多かった(p<0.05)。心大血管手術後の自立歩行遅延の規定因子のひとつとして術前GNRI(p<0.0001)が抽出された。【結論】術前GNRIは心臓血管手術後のリハビリテーション進行と関連がある。
  • -大規模データを用いた検討-
    林 悠太, 鈴川 芽久美, 波戸 真之介, 石本 麻友子, 金谷 勇歩, 島田 裕之
    2013 年 40 巻 6 号 p. 407-413
    発行日: 2013/10/20
    公開日: 2017/07/05
    ジャーナル フリー
    【目的】本研究の目的は,通所介護サービスを利用する要介護認定を受けた高齢者(以下,要介護高齢者)を対象に,日常生活活動(activities of dally llving:以下,ADL)の低下因子を,運動機能の側面から検討することである。【方法】対象は通所介護サービスを利用する要介護高齢者2,695名(平均年齢81.9±6.7歳,男性916名,女性1,779名)とした。ADLの評価はFunctional independence measureの運動項目13項目を用い,すべての項目が6点以上である者を自立群,1項目でも5点以下の項目がある者を介助群として対象者を2群に分類した。運動機能は,握力,chair stand test 5-times (CST-5),開眼片足立ち,歩行速度,timed "up & go" testの5項目を測定した。自立群と介助群間における運動機能の比較を行い,有意差が認められた項目を独立変数,自立の有無を従属変数として多重ロジスティック回帰分析を行った。【結果】多重ロジスティック回帰分析の結果,単変量解析で有意差が認められた5項目の運動機能すべてにおいて,ADLと有意な関連が認められた。要介護度の重症度別(軽度群,重度群)で検討したところ,軽度群では握力,CST-5,歩行速度,TUGと有意な関連があり,重度群でも歩行速度と有意な関連があった。要介護高齢者では歩行速度が強くADLと関連していた(軽度群:オッズ比2.56, 95%信頼区間1.57-4.16, P<0.01/重度群:オッズ比2.36, 95%信頼区間1.12-5.50, P<0.05)。【結語】要介護高齢者において,歩行速度がADLと強い関連を示しており,ADL低下予防のための介入を検討する際に,重要視すべき機能であることが示唆された。
  • 加茂 智彦, 鈴木 留美子, 伊藤 梢, 杉本 辰重, 村越 亜美, 西田 裕介
    2013 年 40 巻 6 号 p. 414-420
    発行日: 2013/10/20
    公開日: 2017/07/05
    ジャーナル フリー
    【目的】本研究では地域在住要支援・要介護高齢者の身体機能・認知機能・栄養状態をサルコペニアと非サルコペニアで比較し,サルコペニアに関連する要因を検討した。【方法】対象は地域在住要介護高齢者72名とした。測定項目は四肢骨格筋肉量,Mini Mental State Examination (MMSE), Short Physical Performance Battery (SPPB),握力,Mini Nutritional Assessment Short Form (MNA-SF), Barthel Index (BI),上腕周径,下腿周径,ウエストとした。【結果】サルコペニア群において,非サルコペニア群と比較し,年齢,BMI, SPPB,握力,MNA-SF, BIが有意に低い値となった。多重ロジスティック回帰分析の結果,サルコペニアにはMNA-SF (OR=5.94, 95% CI=1.62〜21.81)が関連した。【結論】地域在住要介護高齢者のサルコペニアに関連する主要因は,栄養状態であり,加齢,認知機能は関連が少ないことが示唆された。
  • -若年者と高齢者の比較-
    平井 達也, 牧迫 飛雄馬
    2013 年 40 巻 6 号 p. 421-428
    発行日: 2013/10/20
    公開日: 2017/07/05
    ジャーナル フリー
    【目的】高齢者の運動学習に伴う主観的判断の正確性について若年者と比較・検討することを目的とした。【方法】対象は健常若年成人群14名と健常高齢群16名であった。課題は上肢到達運動による標的の空間位置の学習課題であり,20試行を1セッションとして,初期テスト1セッション,学習試行9セッションを行った。課題開始前の学習容易性判断を5段階で求め,試行中の学習判断として次のセッションの成功率を予測させた。また,試行後の成績判断として全試行の成功率を判断するよう求めた。【結果】課題の成功率は両群ともに課題の進行に伴い有意に向上した。学習容易性判断は両群で有意差はなかった。一方,次のセッションの成功率を予測させた学習判断の正確性は若年群では向上したが,高齢群は向上しなかった。また,成績判断は,高齢群は若年群と比べ不正確であった。【結論】高齢者では若年者に比べて,運動学習に伴う主観的判断の正確性が低下している可能性が示唆された。
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