音声言語医学
Online ISSN : 1884-3646
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58 巻 , 3 号
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原著
  • 飯村 大智
    58 巻 (2017) 3 号 p. 205-215
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル 認証あり

    吃音が就労にさまざまな影響を与えることが国内外の研究で指摘されており,合理的配慮の必要性が求められているが,吃音者に必要な具体的な合理的配慮については十分に検討されていない.そこで本調査では吃音者182名を対象に就労や合理的配慮に関する質問紙調査を実施した.結果,吃音は就労に大きな影響を及ぼし,電話,大人数での会話,発表,朝礼などを困難としていることが示された.具体的な配慮については,「吃音の正しい知識をもってもらう」「吃音のある自分を受け入れてもらう」「苦手な場面や言葉があることを理解してもらう」「言葉以外で評価してもらう」などが挙げられた.また,年齢が低い人ほど就労で困難を抱え,これらの配慮を必要としていることが示された.本研究より,吃音者の就労の実態と必要な合理的配慮に関する一つの知見を示すことができたと考えられる.

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  • 前田 恭子, 増山 敬祐
    58 巻 (2017) 3 号 p. 216-222
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル 認証あり

    喉頭全摘出後のvoice prosthesisを用いた代用発声は,音声獲得率が高く術後早期から音声コミュニケーションが可能になることが利点である.2011年6月から2013年6月までにProvox® 2による音声再建を行った14例に対し,術式ごとVHI-10,MPT,発話明瞭度,サウンドスペクトログラムを用いて音声機能評価を施行した.T-E(下咽頭粘膜縫縮)群ではMPTが長いほど発話明瞭度が良好であったが,T-JT-G(遊離空腸および胃管再建)群では関連しなかった.サウンドスペクトログラムでは,T-E例ではより周期的な倍音成分が観察され,T-J例では非調和成分が強く,T-G例では周期的成分はやや粗雑で非調波成分と重なって観察された.全例退院までに音声獲得可能であったが,T-E群の2例で通院中に咽頭収縮筋の過緊張による発声困難を発症しリハビリテーションを要した.再建術式により獲得される声質は異なり,音声生成過程を考慮したリハビリテーションが有用と思われた.

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  • 宮田 恵里, 宮本 真, 友田 幸一
    58 巻 (2017) 3 号 p. 223-227
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル 認証あり

    当科音声外来で治療した音声障害患者のうち,音声治療を単独で施行した患者の訓練期間および訓練回数について患者全体で検討した結果,訓練期間3.5ヵ月,訓練回数6.0回が一つの目処となる可能性についてすでに報告した.今回同じ対象を疾患ごとに音声治療終了群,ドロップアウト群に分けて検討したが,全体で検討した訓練期間および訓練回数の結果と大きな差を認めなかった.
    以上の結果から音声治療を終了するかドロップアウトするか否かは,疾患に関係なく訓練期間3.5ヵ月,訓練回数6.0回を目処と考えることができると思われた.

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  • 堀江 真由美, 玉井 ふみ
    58 巻 (2017) 3 号 p. 228-236
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル 認証あり

    話しことばのプロソディを手掛かりにして,感情を表す音声の種類別に発話者の感情を理解できる年齢を調べた.119名の幼児・小学1,2年の児童を対象に調査した.課題に使用する会話文は,幼児同士が日常的に使用している語句を用いた.課題に用いた短い会話文の音声は,プロソディを変化させた.異なるプロソディとしては【受容】【強がり】【拒否】【ふざけ】の4種類を用いた.その結果,【受容】については年中児以降で成人と同等ほぼ100%理解でき,【強がり】【拒否】については約90%理解できるようになるのは【強がり】で年中児,【拒否】で年長児であった.【ふざけ】については年少児で8%,就学後で90%以上が理解していた.【ふざけ】は就学前と就学後に理解の差があったことから,【ふざけ】の音声は幼児期からの人の気持ちを理解する客観的評価に使用できると考えられた.

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  • 大森 蕗恵, 石毛 美代子, 小林 武夫, 廣田 栄子, 鈴木 雅明
    58 巻 (2017) 3 号 p. 237-245
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル 認証あり

    目的:内転型痙攣性発声障害(ADSD)に対するBT治療は重要な治療の一つであるが,経時的な治療効果は明らかではない.そこでADSDに対するBT治療後の対象者の自覚的評価から治療効果を検討した.
    方法:ADSD 13例(男性2例,女性11例)に対し後方視的研究を行った(発症年齢24.8±7.9歳,範囲11-40歳).対象者による声の状態の評価から経時変化を検討した.帝京大学倫理委員会の承認を得た(帝倫13-256号).
    結果:BT治療の効果は1.8(±0.8)日目に発現し,2.9(±2.0)週目に最大効果に達し,6.3(±2.9)週目まで維持された.副作用の出現率は97.4%であった.患者は8.6(±2.8)週目に効果減退を自覚し,10.1(±3.3)週目に再治療を希望した.副作用は2.5(±1.3)日目に出現し,軽度のものを含め2.8(±1.5)週目まで持続した.治療間隔は3.1(±0.7)ヵ月であった.
    結論:BT治療の効果を経時変化により明らかにした.あらかじめ治療後の経過を患者に伝えることにより,治療中断例の減少や治療に対する不安の軽減を図ることができると考えられた.

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  • 大西 博美, 宇野 彰, 春原 則子
    58 巻 (2017) 3 号 p. 246-252
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル 認証あり

    小学1年生から6年生までの発達性読み書き障害児38名を対象に,1モーラ表記文字と仮名,漢字単語単独提示の音読課題と速読課題を実施した.その結果,単独課題での音読に誤りがなく音読開始時間や速読での所要時間が延長していた児童が8名,逆のパターンを示した児童が3名いた.また,速読課題にて同学年典型発達児の2 SD以上の音読所要時間を示した35名のうち,単独提示課題でも音読開始時間が2秒以上遅延した児童が25名(71%)いた.今回の結果から,音読の正確性と,単独提示課題での音読開始時間あるいは速読課題の所要時間で測定した流暢性は独立に障害される可能性が示唆された.また,単独提示課題の音読開始時間を測定することによって70%以上の児童における音読所要時間の遅さを予測することが可能であった.

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  • 髙山 みさき, 大西 英雄, 城本 修
    58 巻 (2017) 3 号 p. 253-259
    公開日: 2017/09/25
    ジャーナル 認証あり

    われわれはfunctional Magnetic Resonance Imaging(fMRI)を用いて,平仮名および片仮名の読字処理ルートと,表記妥当性が音読に及ぼす影響について検討した.健常成人29名に対して,平仮名もしくは片仮名で表記した表記妥当性が高い単語および表記妥当性の低い単語の音読課題を実施した.片仮名高妥当性課題は左右眼窩野,左紡錘状回,左中後頭回,左鳥距溝に,低妥当性課題は左中前頭回,左紡錘状回,左角回,右上前頭回,右上内側前頭回に活動を認めた.平仮名高妥当性課題では,左中眼窩野,左右中側頭回,左角回,左右中後頭回,右前方帯状回に,低妥当性課題は左中眼窩野,左紡錘状回に賦活を認めた.平仮名,片仮名はともに背側経路で処理され,読字処理に関与する脳部位は共通することが示された.さらに,表記妥当性は視覚的な認知や情報の統合に影響を与え,妥当性が低いほど処理負荷が強いことが示唆された.

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症例
  • 谷 亜希子, 川瀬 友貴, 多田 靖宏
    58 巻 (2017) 3 号 p. 260-264
    公開日: 2017/09/25
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    Werner症候群は遺伝性の早老性疾患で,早老性外観,白内障,皮膚の萎縮・硬化などに加え,音声障害も診断項目の一つである.今回,声帯萎縮と診断した患者が,遺伝子検査を行いWerner症候群と診断された.
    42歳女性.30年来の嗄声を主訴に受診した.粗糙性,気息性が強く,両声帯は瘢痕様で発声時の声門間隙を認めた.声帯萎縮と診断し保存的治療は効果が乏しく外科的治療は希望がなかった.皮膚の硬化や手指の拘縮に対し精査が行われ,遺伝子検査の結果,診断にいたった.
    Werner症候群では音声障害は80%の患者で自覚するといわれている.声帯萎縮に準じて治療されることが多いが確立した治療法はない.代謝異常や悪性疾患の合併もあり,音声障害についての積極的な治療の介入は難しいことが多いが,患者の希望に対応していくことが必要である.若年性の声帯萎縮症例ではWerner症候群の存在を念頭におき診断・治療を行う必要がある.

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