1972年から1973年に三浦半島一円の百日咳患者から百日咳菌67株とパラ百日咳菌10株を分離し,薬剤感受性を測定した。また,1952年から1953年に東京周辺で分離し,数代以内に凍結保存した百日咳菌25株とパラ百日咳菌9株についても同時に薬剤感受性を測定したところ,次のような成績が得られた。
1) 百日咳菌92株の各種薬剤に対する最小発育阻止濃度(MIC)範囲はそれぞれpenicillin (PC)≤0.1-0.8units/m
l, aminobenzylpenicillin (AB-PC)≤0.1-0.4mcg/m
l, methylphenylisoxazolylpenicillin (MPI-PC) 0.8-12.5mcg/m
l, cephalexin (CEX) 12.5-100mcg/m
l, sulfamonomethoxine (SA)≤0.1-3.1mcg/m
l, streptomycin (SM) 0.2-3.1mcg/m
l, chloramphenicol (CP)≤0.1-0.8mcg/m
l, tetracycline (TC)≤0.1-0.2mcg/m
l, nalidixic acid (NA)≤0.1-3.1mcg/m
lであつた。
2) パラ百日咳菌19株の各種薬剤に対するMIC範囲はそれぞれPC 6.3-50units/m
l, AB-PC 0.8-3.1mcg/m
l, MPI-PC≥300mcg/m
l, CEX 100-200mcg/m
l, SA≤0.1-1.6mcg/m
l, SM 25-100mcg/m
l, CP 0.4-0.8mcg/m
l, TC≤0.1-0.4mcg/m
l, NA 0.8-3.1mcg/m
lであつた。
3) 百日咳菌とパラ百日咳菌のMICはCEX, SA, CP, TC, NAについては同程度の感受性であつたが,PC, AB-PC, MPI-PC, SMについては明らかに異なつていた。
4) 百日咳菌およびパラ百日咳菌のいずれからも薬剤耐性菌は検出されなかつた。
5) 百日咳菌およびパラ百日咳菌の両者とも新鮮分離株と保存株との間における各種薬剤に対する感受性の差異はみとめられなかつた。
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