ヌードマウスに実験的に生ぜしめた病巣から分離した増殖らい菌の次代マウスへの継代性およびヌードマウスによるらい菌移植実験の再現性を検討し,以下の結果から,ヌードマウスの実験らいが確立され,らい研究の動物モデルとして利用できることが示された。
1) 初代発症ヌードマウスの実験的らい病巣の菌は,次代接種ヌードマウスにおいて著明な経時的増殖を示し,病理組織学的に初代マウスにおけると同様らい腫らい病像を呈し,ヌードマウスにおいて継代可能であることが確認された。
2) 由来の異なる5名の患者らい腫材料を接種したヌードマウスでは,5材料はともに菌接種足蹠において顕著な増菌を示し,うち4材料は全マウスに4.5∼5mm程度の足蹠の腫脹をきたし,らい腫の病巣を形成した。
3) 10
4の菌量接種では1ヵ年半以上もの長期間を要した発症が,10
5∼10
6の菌接種によりかなり短縮されて,早いものでは8ヵ月後に足蹠の腫脹を伴つて発症し,1足当り1.1×10
10の菌が算出された。
4) ヌードマウスのらい病巣から分離された抗酸菌は,いづれも培養陰性,D-dopa oxidase activity陽性であつた。
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