複雑で多様な課題が顕在化する中、日本が直面する困難を乗り越え、持続的な成長を実現するためには「新たな力」が不可欠です。科学技術・イノベーションは、その「新たな力」の源泉です。JSTは、科学技術政策の中核的な実施機関として、これからもその責任を果たし、社会とともに前進してまいります。
AI(人工知能)活用の急拡大など、コンピューターにはさらなる処理能力が求められている。電気信号を用いてデジタル処理を行う従来のコンピューターの進歩が限界を迎える中、膨大でタイプが異なる複雑な計算処理を可能にするものとして脚光を浴びているのが量子コンピューターだ。だが、その実用化には正確な計算を行うための「誤り訂正」をはじめ、数々の難題が立ちふさがっている。これらの難題を解決するため「光量子コンピューター」の実用化に挑んでいるのが、東京大学大学院工学系研究科の古澤明教授だ。
つらい脊椎疾患を早期に癒やす新規の「脊椎間スペーサー」と呼ばれる金属医療デバイスを開発する。この世界初・日本発の挑戦に、大阪大学大学院工学研究科の中野貴由栄誉教授とインプラントメーカーの帝人ナカシマメディカル(岡山市)らの研究グループが成功した。金属と患者自身の骨である「自家骨」を使う従来の治療法は、骨の癒合に時間も患者への負担もかかる。こうした課題を、骨の強度は基質配向性が決めるという発見と微細なハニカムツリー構造を精緻に作る金属3Dプリンター技術で見事にクリアした。
社会実装につながる研究開発現場を紹介する「イノベ見て歩き」。第17回は、超分子の特性を生かし、多種多様なバイオ化合物を細胞内に効率的に導入できる「変幻自在ポリマー」の開発と実装に取り組む、熊本大学大学院生命科学研究部製剤設計学分野の東大志准教授に話を聞いた。
【研究成果】ハムスターの培養細胞内に葉緑体を移植 「貪食」を利用、光合成可能な動物細胞の作製に道
【研究成果】感度・堅牢性を両立した人工嗅覚センサー 運用コスト削減、医療や食品分野に寄与する可能性
【研究成果】体温付近で接着力が1000倍変わるゲル ムール貝の「足糸」に注目、医療機器応用へ貢献
【研究成果】新方式の「メモリー暗号化」でデータ保護 大容量でも安全・効率的に、復旧処理を数千倍高速化