農業施設
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24 巻, 1 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 荷受籾の変動確率モデルについて
    華 岩, 小中 俊雄, 瀬能 誠之
    1993 年24 巻1 号 p. 1-6
    発行日: 1993/07/20
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    共乾施設の導入・運営においては, 地域条件, 気象条件, 生産条件など多くの不確定要因が存在するため, その適切な計画策定に難しい面がある。この問題を解決するためには, 実際の荷受状況を把握するとともに, これに基づいた適切な情報を得ることが必要になる。そこで, 実在するカントリエレベータの荷受に関する調査を行い, 実態に即したシミュレーションモデルの検討を行った。荷受状況の変動要因についての調査結果から, 統計解析の手法を用いて荷受実態を総合的に分析し, 検討を行った。また, 荷受籾の荷口数, 荷受重量および荷受籾の水分変動について, 変動要因を解明したうえで, 近似的な確率・数学モデルを設定した。
  • 籾水分の変化及び品質
    上出 順一, 赤瀬 章, 岩渕 和則
    1993 年24 巻1 号 p. 7-13
    発行日: 1993/07/20
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    最大堆積量150tonの大規模貯留乾燥ビンを用いて, 籾の累積混合貯留乾燥実験を行なった。この方法は, 一つの貯留乾燥ビンに生籾を累積的に継ぎ足し投入し, 攪拌混合しながら仕上げ水分まで乾燥する方式である。20日間の貯留乾燥によって所定の水分まで均一に乾燥され, 水分のばらつきは標準偏差で1%以下であった。また, 品質面においても, 胴割れ, 発芽率, 胚活性度, 脂肪酸度等にも異常は認められず, 食味試験の結果も自然乾燥あるいは火力乾燥と比較して劣らなかった。
  • 流動床型メタン発酵槽の動力学的評価
    北村 豊, 前川 孝昭
    1993 年24 巻1 号 p. 15-20
    発行日: 1993/07/20
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    酢酸を基質とする合成廃水を投入して, メタン発酵プロセスのみで進行するように制御した流動床型メタン発酵槽について, 有機物負荷 (Lvs) や希釈率 (D=1/HRT) をそれぞれ3系列設けて実験を行った。その結果, 0.38 (/day) 以下の希釈率で操作された流動床型メタン発酵槽は, 85%以上の基質除去率を示したが, 希釈率が0.38を越えると汚泥滞留時間 (SRT) は10日以下にまで減少し, 基質除去率は低下した。菌体の保有能力の指標であるSRTの減少は, 希釈率操作の増加による担体保有菌体濃度の減少と懸濁液中菌体濃度の増加の結果であった。一方, 流動床型メタン発酵槽に適用できるように展開した動力学モデルを用いて実験データを検証した結果, 求められたメタン菌の増殖定数ならびに動力学定数により, 流動床型メタン発酵槽は, 基質の消費や増殖の活た処理性が小さい菌体ながら, それを大量に保有することによって基質消費速度を維持して, 安定し能力を発揮することが確認された。以上の結果から, 消費・増殖活性の小さなメタン菌であっても, 希釈率の操作の影響を受けない, 菌体の大量の保有方法の開発により, 発酵プロセスの高速化が可能であることが示された。
  • TWIN (温度-風速積算値) の導入と製氷制御への利用
    小綿 寿志, 佐藤 義和, 奈良 誠
    1993 年24 巻1 号 p. 21-30
    発行日: 1993/07/20
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    アイスポンドにおける積層式製氷を自動化する目的で, まず低温実験室内および屋外のアイスポンドにおいて, 水膜の凍結に要する積算寒度を異なる風速の下で測定した。室内実験の結果, 氷上気温から求めた水膜の凍結に要する積算寒度は, 氷上風速の増加に伴い指数関数的に減少することが明らかとなった。アイスポンドにおける実験では, 地上1.5mの気温および地上3mの風速を用いると, 地上風速と水膜の凍結に要する積算寒度との間に同様の傾向が認められ, その関係式を得た。また熱収支解析により, このような関係は風速の増加とともに総括熱伝達率が増加することに主に起因することを明らかにした。
    次に, 水膜の凍結速度に対する風速の貢献度を数値化し, これを積算寒度に乗じた値を, 温度-風速積算値 (TWIN) と定義した。単位厚さ水膜の凍結に要するTWINは, 8.6K・h・mm-1-waterと求められた。以上の結果, TWINを用いて水膜の凍結時期を推定することが可能となり, 製氷時の散水間隔を自動制御するため, 製氷モードと融雪モードとからなる製氷制御プログラムを開発した。
  • 福田 直也, 池田 英男, 奈良 誠
    1993 年24 巻1 号 p. 31-38
    発行日: 1993/07/20
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    光質がレタスの養水分吸収に及ぼす影響を検討するために, 品種‘岡山サラダナ’を簡易人工気象室の中で, 明暗各12時間を組み合わせて24時間水耕法により栽培した。用いた光源は白, 赤, 黄, 緑, 青で, それぞれを光合成有効放射束密度で250, 125, 62.5μmol・m-2・s-1の3段階の光強度となるように設定した。また, 別に強光下 (250μmol・m-2・s-1) でレタスを15日間水耕法で栽培し, 光質が葉の汁液中ならびに乾物中の無機要素濃度におよぼす影響について調査した。
    1) 養水分吸収量は, いずれの光源でも強光下で多く, 弱光下で少なかった。また, 光強度が変化するとき, 吸収量の変化が最も大きかったのはCaであり, 最も小さかったのはPであった。白および緑色光区では, 光強度の変化に伴って養水分吸収が影響を受けたが, 黄, 赤色光区では影響が小さかった。青色光区は両グループの中間であった。
    2) レタスの養水分吸収におよぼす光質の影響は, 一般に強光下で明瞭であり, 弱光下では不明瞭であった。吸水量は白色光区および青色光区が多く, 以下緑, 赤, 黄色光区の順で減少し, 黄色光区は白色光区の70%程度と少なかった。無機要素の吸収もおおむね白, 青色光区が多く, 黄色光区で少ないなど, 吸水量と同様な傾向がみられる場合が多かった。
    3) 植物体の栄養状態を把握するために行った汁液分析において, NO3-N濃度は光質の影響を最も強く受け, 白, 青色光区で高濃度であり, 黄色光区で低濃度であった。これに対し, K濃度は光質の影響はほとんど受けなかった。汁液中Ca, Mg濃度は, 中肋では白, 青色光区で高く, 黄色光区で低いなど, 養水分吸収と同様な傾向を示したが, 葉身では内外部葉とも赤色光区で高くなった。汁液中のPは青色光区での高濃度が目立った。
  • 脂肪酸度変化の予測
    三輪 精博, 後藤 清和, 村瀬 克典
    1993 年24 巻1 号 p. 39-44
    発行日: 1993/07/20
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    現在, 日本農業は, 米の生産コストの大幅低減が緊急課題となっている。しかし, 消費者は, 高品質あるいは良食味米を望んでいるため, これら相反する命題を満足させるための方法を見出す必要がある。そこで, 著者は, 省エネルギと品質維持の観点から, カントリエレベータにおける籾貯蔵の最適化を検討することにした。籾含水率と温度を種々の条件に設定した貯蔵試験を行い, 品質の指標として通常よく利用される脂肪酸度の変化を積算温度との関係で表した。
    第2報以下では, 実際の籾サイロにおける貯蔵条件と品質の測定結果を述べ, さらに品質を維持する技術について検討を加える。
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