農業施設
Online ISSN : 2186-0122
Print ISSN : 0388-8517
ISSN-L : 0388-8517
19 巻, 1 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 回分操作による実験
    岩渕 和則, 松田 従三
    1988 年19 巻1 号 p. 5-9
    発行日: 1988/07/30
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    畜産廃棄物をメタン発酵処理する場合, これに混入している敷料などの夾雑物はほとんど分解されることなく残存し, 特に牛糞において顕著である。そこで牛糞を固液分離した搾汁液を原料とすることによって消化特性の改善を図ることを考えた。
    本研究では, この搾汁液を用いて発酵温度を20, 25, 30, 35, 40, 45, 48℃の7段階に設定し, 実容積0.5lの発酵槽による回分操作実験を行い, メタン発酵終了後のVS (VS-min), COD (COD-min), 分解VSあたりのガス生成量を求めた。
    この結果VS-minは2.3~2.6%, COD-minは33.7~37.6g/lであった。このことより, メタン発酵で分解される搾汁液中の有機物は42~45% (重量) であることが判明した。また, 分解VSあたりのガス生成量は発酵温度35℃以上よりも, むしろ30℃以下で多くなった。しかし, メタン率は低温度ほど低くなる傾向にあった。
  • 穀類の破壊荷重と粒子破壊強度に及ぼす要因
    坂井 直樹
    1988 年19 巻1 号 p. 10-15
    発行日: 1988/07/30
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    単粒の穀粒を供試した一軸圧縮試験を行い, 破壊荷重Pbの水分依存性を調べた。供試の各種子とも水分の増加に伴いPbが減少する傾向が認められたが, 水分変化に対するオオムギ種子の応答は他のものほど敏感ではなかった。Pbと加圧面積の測定値から求めた粒子破壊強度はもみと玄米が高く, ダイズ種子が最低, オオムギとコムギ種子がその中間に位置する値であった。また, Pbに関する温度処理の実験から, ダイズ種子のPbはやや温度に敏感であったが, 玄米・オオムギ・コムギ種子のPbは-20~80℃の各温度レベルで最大24時間静置という条件の範囲では, ほとんど処理の影響を受けないと判断された。この場合, 発芽率の測定からみた種子の生死ということはPbに直接影響していないものと考えられた。
  • 乳牛舎の環境特性
    瀬能 誠之, 中村 善光, 沢口 勝一, 皆川 秀夫
    1988 年19 巻1 号 p. 16-21
    発行日: 1988/07/30
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    農業施設空間内における浮遊粉塵と浮遊微生物は空気環境の質的な評価要因として重要なものとされる。このため乳牛舎における舎内環境の基礎資料とすることを目的に浮遊粉塵濃度と浮遊微生物濃度を測定した。各牛舎内の浮遊粉塵濃度は殆どが0.2mg/m3以下の値を示し, 浮遊微生物濃度は一般細菌で1~200CFP/lの範囲であった。乳牛舎における微生物環境の指標としては一般細菌を対象とすることが適当であると考えられた。吸入性粉塵単位量に付着する微生物の数は5.0×104~2.2×107CFP/mgの範囲と推定された。
  • 斎藤 高弘, ウァン ジョウカイ, 藍 房和, 青山 友雄, 船田 周, 渡辺 兼五, 東城 清秀
    1988 年19 巻1 号 p. 22-28
    発行日: 1988/07/30
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    全自動野菜移植機を開発するためには機械適応性の高い苗を育苗することが重要である。この研究は適切なブロック苗の育苗法を確立するためにキャベツ苗を用い, 土壌硬度と灌水量が苗の生育に及ぼす影響, 灌水量と根系の生長がブロック強度に及ぼす影響ならびに試作機でのブロック苗の機械適応性を検討した。
    最初に土壌硬度とブロックの保水性に関する実験を行ったところ, 軟らかいブロックは水分蒸発速度が硬いブロックに比べ大きく, 保水性が小さいことが認められた。生育初期においては, 土壌硬度が植物生長に大きな影響を及ぼす因子となるのに対し, 移植適期には, 軟らかいブロックは十分な水分を保持できず, 苗が水分ストレス状態となるので灌水量が大きな生長支配因子となることがわかった。灌水量によるブロックの膨張, 水分の蒸発に伴う収縮過程で土壌硬度は増加していくが, 特に灌水量の多い区ではブロック硬度の増加が顕著である。また播種後37日の計測では根系の生長により約5kgf/cm2の土壌硬度の増加が確認された。
    以上から, 初期ブロック硬度は2~5kgf/cm2の貫入抵抗のものを用い, 根系の初期生長を促進させ, 水分ストレスを避けるため毎日灌水量6ml/株与えて育苗し, 移植時まで根系の土壌保持力によってブロック硬度を増加し, 機械への適応性を高める方法が有効であるといえる。
  • 市川 忠雄, 野附 巌, 鎌田 寿彦, 前間 千秋, 上野 克美
    1988 年19 巻1 号 p. 29-40
    発行日: 1988/07/30
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    フリーストール型休息場を備えた放し飼い式乳牛舎 (以下フリーストール牛舎と略す) の各施設の合理的な配置並びに各部の適切な寸法を明らかにするために, わが国において成牛60頭以上をフリーストール牛舎で飼育する酪農家を北海道 (14), 関東・東山 (10) および九州 (4) から計28戸をそれぞれの地域の指導者の推薦により選定し, これらの牛舎の配置や構造等の測定および使用状況の調査を行った。その成績の概要は以下の通り。
    1) フリーストール牛舎のフリーストールの配列は, 建物の両側壁面内に沿って2列に配列されているものが最も多く, 単列, 3列および4列のものは少なかった。飼槽は休息場内に設置されているものと, 別棟として外に設置されているものがほぼ同数であった。専用搾乳室はいずれも休息場に接して直角に建設され, 内部は4ストール複列のヘリンボーンタイプのものが最も多かった。
    2) フリーストールの寸法についてみると, ストール長, ストール幅, 仕切柵高さおよび牛床面の通路面からの高さはそれぞれ2,200-2,400mm, 1,200-1,250mm, 1,000-1,100mmおよび200-300mmのものが最も多かった。
    3) 設計頭数 (牛舎設計時の収容予定頭数) 1頭当たりの施設総面積は最小6.7m2, 最大15.4m2, 平均12.6m2であり, このうち最も広い面積を要しているのは休息場内の牛用通路で全体の27.8%, つづいてストール部が23.0%, であった。残りの約50%は給餌場, 搾乳室, 待機場および牛乳処理等のためのものであった。
    以上の調査結果ならびに文献検索あるいは使用者の意見などを総合し, 成雌乳牛の体重を650-700kgと仮定した場合, わが国における今後のフリーストール牛舎の標準として下記のようにものが適当と判断された。(1) 長さ×幅を2,400×1,200mmとし, 通路面からの高さを250mmとしたストールを畜舎の両側壁内面に沿う形で2列に配列する (2) 専用搾乳室はヘリンボーン式とし, フリーストール配列の一端に接して直角に設置する (3) 収容牛1頭当たりの牛舎総面積は12-13m2とする。
feedback
Top