農業施設
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18 巻, 3 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 村上 里美, 佐瀬 勘紀, 竹園 尊, 小滝 正勝, 金子 伯男
    1988 年 18 巻 3 号 p. 4-11
    発行日: 1988/03/30
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    開放型鶏舎の床形態 (高床式, 平床式), 屋根形態 (モニター屋根, のこぎり屋根), モニター形状の差異と温度差換気性状の関係を縮尺1/7の模型実験によって明らかにした。相似則は模型と実物におけるアルキメデス数を一致させる方法を採用した。12種類の開放型模型鶏舎について, 高温無風時の鶏舎の内外気温差分布, 及び鶏舎内気流分布を調べた結果, 次のような鶏舎設計に有用な知見を得た。平床式鶏舎の方が高床式に比べ, 飼養空間部での平均内外気温差がモニター型で26%, のこぎり型で11%高かった。また側壁および床面の開口面積が同じ場合, 鶏舎内外気温差に対する屋根形態 (モニター屋根, のこぎり屋根) の影響は小さく, 内外気温差は屋根開口部面積に依存すると推察された。ただし, モニター屋根の場合モニター高さをモニター開口幅の1/2より高くしても屋根開口部面積増加の効果は少なかった。
  • 豚体表面における物質伝達率
    川西 啓文, 長島 守正
    1988 年 18 巻 3 号 p. 12-22
    発行日: 1988/03/30
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    前報において牛体表面における汗の物質伝達率を求めたのに引き続き, 本報では豚体表面における汗の物質伝達率を求めた。
    測定は牛体の場合とほぼ同じ測定方法で行ったが, 実物の胴部の物質伝達率測定については, Nishi らが人間の各部における対流熱伝達率を測定するために使用したナフタリン球を使用する方法で行った。
    その結果, 豚体全体の物質伝達率は, 牛体の場合と同様, 気流速によって影響を受けるが, 気流に対する豚体方向には影響されないことがわかった。なお, 暑熱時, 豚体表面を水でぬらすことは, 豚体からの放熱に非常に有効であることが推測できた。なお, 豚体表面における汗の物質伝達率よりも, これをルイスの関係式で変換した対流熱伝達率が豚体の場合, 重要である。
  • 田原迫 昭爾, 繆 冶煉, 林 純男, 吉原 国彦, 朝隈 寛治
    1988 年 18 巻 3 号 p. 23-33
    発行日: 1988/03/30
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    ヒートポンプ除湿乾燥機を試作し, 米麦について通気乾燥を行い, 乾燥能率, 乾燥むら, 乾燥に要するエネルギおよび経費, 胴割れ率等について実験, 調査した。
    その結果, 過乾燥を防ぐため, 仕上げ時に通気相対湿度を, 米では60%, 麦では50%で行った場合, 乾燥時間は2日~3日を要するが, 水分蒸発に要する乾燥エネルギは従来の火力乾燥に比べて1/2~1/4程度で, 乾燥経費も安価であるとの結果を得た。また乾燥による胴割れ増加はほとんどなく, 特に早期米では火力, 天日乾燥に比べ非常に少ないことが明らかになった。
  • 冬期条件における模型実験
    池口 厚男, 相原 良安, 山口 智治, 佐瀬 勘紀
    1988 年 18 巻 3 号 p. 34-48
    発行日: 1988/03/30
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    前報と同様の模型を用いて冬期の換気条件を想定し, 吹出温度差, 換気量及びダンパ角度が吹出気流の降下位置及び吹出気流温度分布, 舎内温度分布に与える影響を明らかにした。
    吹出気流の降下位置は, 換気量の影響を受けるが, 本実験の換気回数では, すべての場合, 側壁側通路上に降下した。吹出気流温度分布のパターンは, ダンパ角度の影響を受けたが, 舎内温度分布とダンパ角度の間に有意差はなかった。すべての実験において吹出口付近を除いて無次元温度が0.8以上の空間が多く, 測定点間の無次元温度差は, 0,1から0.2であった。冬期換気条件において15回の換気回数でも温度分布には問題はない。従って一般に言われている5, 6回の換気回数において, 空気衛生環境が望ましくないという状態が生じた場合, これを良好にするため換気回数を5, 6回以上にすることができると考えられる。
  • 市川 忠雄, 野附 巌, 青木 康弘, 市川 意子, 藤島 通
    1988 年 18 巻 3 号 p. 49-57
    発行日: 1988/03/30
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    ミルカーの真空度, 拍動波型および真空度・拍動波型の両方を異常とした場合の乳房衛生に及ぼす影響を, 乳中体細胞数 (SCC) および電気伝導度 (EC) を指標として調べた。真空度異常は通常の真空度を5cmHg高くした40cmHg高真空度で, 拍動異常は拍動比と移行速度を変化させた異常波型で, 真空度・拍動異常は両者を同時に異常としてそれぞれ3週間搾乳した。実験は, 筑波大学農林技術センターで搾乳するホルスタイン種15頭 (延べ42頭) を使い, 真空度異常, 拍動異常, 真空度・拍動異常の順で行った。各実験の前にそれぞれ10日間の前対照期 (C期) を, 後に実験の影響が少なくなるまでの回復のための後対照期をとった。試料はC期中に2~3回, 実験期は毎週2日連続して午後搾乳時に前搾り乳を採取して, SCCは Fossomatic で, ECはECメーターで測定した。また, 各分房の感染状況を知るため, 各期の終わりに2日連続して採取した資料について菌数ならびに菌種同定を行った。データの解析は, (1) 3回の実験に共通して供試した11頭43分房について, 主要病原菌感染の有無およびC期のSCCレベルに基づいて4区に分け, 各期ごとに分散分析を行った。(2) 次に, 全供試牛15頭59分房について, 枝別れ分類による分散分析を行った。
    SCCは, 真空度異常の感染分房区と低細胞分房区において, 処理期はC期よりも有意な増加を認めた。また, 真空度・拍動異常では細胞数20~50万の分房区を除いたすべての分房区において有意な差が認められた。しかしながら, 拍動異常ではいずれの分房区にも差が認められなかった。一方, ECは真空度・拍動異常のときの感染分房区に有意な上昇を認めたが, それ以外には差が認められなかった。次に, 枝別れ分類による分析結果についてみると, SCCは真空度異常においては分房間に, 拍動異常および真空度・拍動異常においては個体間および分房間に有意な差が認められた。ECは, どの処理においても個体間に差が認められたが, 分房間には差が認められなかった。
    以上のように, 搾乳設備の異常はSCCに対しては分房間にも個体間にも有意な差がみられたことから, 乳房への悪影響は明らかであり, ミルカーの保守点検の必要性が再確認された。
  • 小倉 祐幸, 向井 隆司
    1988 年 18 巻 3 号 p. 58-62
    発行日: 1988/03/30
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    新たに普及型として開発した, 単棟ハウスの内部にウォーターカーテンを設けた試験ハウスと, 無加温単棟ハウスの冬期保温性を比較検討した。試験ハウスは室内サーモスタットにより井水を間欠散水する方式, 対照ハウスはハウス内に二重トンネルを持つ慣行方式で, いずれもイチゴの開花期に当る。夜間外気温平均+4.4℃~-4.5℃のとき, 試験ハウスは散水量2.7~7.2l/m2hrで室温8℃以上, 地温10℃以上を安定的に保ち, なお散水熱源には余裕があった。
  • 乳房付着物の定量的測定法
    佐原 傳三, 相原 良安, 市川 忠雄
    1988 年 18 巻 3 号 p. 63-68
    発行日: 1988/03/30
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    乳房清拭作業における作業の出来高の評価法を確立するために, 乳房清拭時の清拭効果を定量化する方法を検討した。すなわち, 牛の乳房に付着する汚物は, 大部分が牛糞であるとみなし, 種々の牛糞の溶解液について溶解前の牛糞重量との関係を調べ, 乳房洗いに用いた水の汚れ具合から, 乳房付着糞量を推定する方法を検討した。その結果, 乳房洗いに用いた水を濾過したときに得られる濾紙上の付着乾燥糞重量と濾過液の化学的酸素要求量 (COD) より, 洗い落とされた糞の重量を推定できることを明らかにした。
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