農業施設
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28 巻, 3 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 荷受け過程の検証および荷受けホッパの配置
    後藤 清和, 三輪 精博, 服部 利充
    1997 年28 巻3 号 p. 125-133
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    前報で, 種々の荷受け要素により荷受け部の稼働効率を求める式を作成し, 各要素の影響を検討した。本報においては, ダブルタンク方式およびシングルタンク方式のカントリーエレベータを4ヵ所選び, 実際に荷受け過程を測定し, その式の妥当性を検証した。また, 荷受け部の稼働効率を低下させている原因について考察を加えた。その結果, 計量終了の確認や次の荷口への移行時間に施設間でかなりの差があり, これらが荷受け部の稼働効率に大きな影響を与えていることがわかった。次に, 荷受けホッパの配置 (通り抜けまたはUターン方式) は, 荷受け過程に影響を与えないことが事例調査の結果明らかとなった。
  • 劉 蛟艶, 小島 孝之
    1997 年28 巻3 号 p. 135-142
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    本研究は, 佐賀県産イチゴ“とよのか”を供試材料として, その輸送および貯蔵条件 (温度, 湿度および振動) がイチゴの呼吸速度, 力学的性質, 糖度, およびアスコルビン酸含量などにどのように影響するかを調査した。
    設定温度に品温が一定し, イチゴの呼吸速度が安定した後に, 振動を加え, その後3日間貯蔵した。
    振動貯蔵区, 無振動貯蔵区のイチゴ果実には, 3日間の貯蔵で外観および内部品質において大きな差異が現れた。
    呼吸速度は貯蔵温度が高くなるほど大きくなるが, 振動が加わるとさらに大きくなった。
    アスコルビン酸含量, 糖度および果実硬度は貯蔵温度が高いほど早く低下し, 振動によりさらに加速された。
    貯蔵温度をより低温にすることで, これらの影響を小さく抑制することができた。
  • 花粉管培養における標準培地の組成および培養条件
    任 順栄, 院多本 華夫, 張 振亜, 前川 孝昭
    1997 年28 巻3 号 p. 143-148
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    本研究はコンポストの抽出液を注入した寒天培地に花粉を培養し, その花粉管の生長状況からコンポストの腐熟度を評価する簡便でかつ精度の高い方法の確立を目指した。そのために, 供試花粉に対する培地の寒天量とショ糖およびホウ素濃度, pH値並びに培養の温度と時間について検討した。
    トマト, カボチャ, スウィートコーン, ナスおよびナツツバキについて実験を実施した結果, ナスおよびナツツバキがコンポストの腐熟度の判定に適していると判定された。ナスおよびナツツバキに最も適した培地は, 寒天濃度0.8%-ショ糖濃度10%, 最適pH値についてはナスでは6.0~6.5, ナツツバキでは6.5~7.0であった。これに加えて, 最適ホウ素濃度については, ナスでは8~24ppm, ナツツバキでは4~16ppm, 培養温度は25℃~30℃であった。培養時間については, ナスでは16時間, ナツツバキでは8時間であった。
  • 花粉管の生長に及ぼすコンポスト水抽出液添加の影響
    任 順栄, 院多本 華夫, 張 振亜, 前川 孝昭
    1997 年28 巻3 号 p. 149-153
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    コンポストの水抽出液を培地として培養した花粉管の生長状況からそのコンポストの腐熟度を検定するにあたって, 必要なコンポストの水抽出液の抽出方法, 抽出された被検液における希釈濃度の影響を検討した。さらに, コンポスト腐熟度と種の発芽率との関係についても調べた。
    コンポスト液の最も効果的な抽出方法として, コンポストを60℃の一定量の温湯で数時間振盪し, その液を遠心分離した上澄液とする方法である。この方法で抽出されたコンポスト液を花粉管培地に添加したところ, 添加量の多少によってナスの花粉管長も増減した。コンポストの水抽出液の成分分析の結果, 未腐熟コンポストではアンモニア態窒素および揮発性有機酸濃度が高く, 反対に粗灰分とフミン酸の含有量は少なかった。さらに, 未腐熟コンポストの抽出液は明らかにナス, ナツツバキともに花粉管の生長を抑制した。コマツナの発芽および根の生長の観察でも, 花粉管培養と同様に, 未腐熟コンポストの水抽出液がコマツナの発芽および根の生育を抑制した。
  • 奥島 里美, 佐瀬 勘紀, 池口 厚男
    1997 年28 巻3 号 p. 155-163
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    任意形状の近似が可能な Interpolating Matrix Method (IMM) をk-ε型3次元乱流モデルの差分計算に導入し, これを単棟両屋根式および半楕円型温室の壁面風圧係数の予測に適用した。その結果, 気流の複雑な変化を伴う温室周辺の3次元流れ場についてIMMによる計算が可能であった。特に, 単棟両屋根式温室において, IMMにより求めた温室中央鉛直断面の壁面風圧係数は-0.8~0.6と, 従来の矩形メッシュによる計算値に比べて, 風洞実験に近づいた値となった。単棟半楕円型温室においても, IMMによる計算では温室中央断面における壁面風圧係数-0.8~0.5となり, 従来の矩形メッシュ法による計算値に比べて, 風洞実験に近づいた。特に, 風上, 風下両側壁での風圧は風洞実験とほぼ等しい値となり, 任意境界の簡易近似法の導入の有効性が示された。なお, 単棟両屋根式温室の平均風速分布では風洞実験結果で見られる風下側屋根付近の逆流が極く一部の領域に限られる点, あるいは, 単棟半楕円型温室の風上側屋根の1/4の部分では風圧の低下が依然として小さめである点など, 任意境界の近似法の導入だけでは改善されない問題があることも示唆された。
  • 実用化に向けての実験的検討
    斉藤 一功, 三木 孝史, 林 征治
    1997 年28 巻3 号 p. 165-173
    発行日: 1997/12/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    本研究では, NMRを用いた西瓜の空洞および糖度検査装置の実用性を実験データに基づいて検討した。これまでに, NMRを用いた西瓜の空洞および糖度測定の可能性は原理的には示されていたが, それらは西瓜を固定した状態での測定に基づくものであった。本研究では, 搬送用コンベアをNMR分光計にとりつけて, 西瓜を搬送しながら測定をおこなった。
    空洞測定においては, 西瓜を350mm/秒の速度で搬送しながら測定したところ, 信号強度は約30%低下するものの, 固定した状態と同じ精度で測定が行えることが判明した。
    また糖度測定に関しては, まず最適な測定部位を決めるため西瓜の糖度分布の測定を行った。その結果, 測定部位として中心部が適していることが判明した。次に西瓜中心部のNMR緩和時間を測定した。この測定を行う際にはコンベアによって搬送されてきた西瓜をマグネットの中心部に6秒間停止させた。こうして得られた緩和時間と, 緩和時間測定後に試料を破壊して得た糖度との相関を調べ, 検量線の作成および評価を行った。その結果SEPが0.49Brix%, Biasが0.02Brix%という結果が得られNMRを用いた糖度測定の実用性が示された。
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