農業施設
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53 巻, 4 号
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  • 小島 陽一郎, 阿部 佳之, 天羽 弘一, 岡本 壮一
    2022 年53 巻4 号 p. 90-99
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/09/28
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究の目的は,堆肥化施設において回収した堆肥発酵熱で水を加温し,冬季の乳牛に飲水として給与する飼養管理方法について,乳生産および経済性に与える効果を明らかにすることであった。ホルスタイン種搾乳牛100頭規模の酪農場において,堆肥発酵熱で加温した温水を搾乳牛群全体に給与した温水区および,無加温の水を給与した冷水区を冬季に1か月ずつ交互に設定して2年間の反復試験を行った。その結果,平均温度47.8 ℃の排気との熱交換により,温水区では水温22.8 ℃まで加温された。温水区は供給水温7.3 ℃の冷水区に比べ給与水量が7.6%,乳量が3.9%増加した(p<0.01)。温水給与システムの導入や運転のため年間73.4万円の固定費と月あたり1.8万円の電気料金がかかるのに対し,搾乳牛に給与された水の加温に利用できる堆肥発酵熱量は灯油換算で8.5万円 / 月(31.8 L/ 日),温水給与による増収効果は搾乳牛104頭で32.7万円 / 月と試算された。以上より,堆肥発酵熱を利用した温水給与システムは,経営規模が搾乳牛100頭規模であれば年間3か月以上の稼働で導入経費と運転経費以上の収益が得られると試算され,堆肥発酵熱の有効な利用方法であると結論付けられた。
  • ─実証試験におけるシステムの有効性と消費電力量の削減効果─
    宮竹 史仁
    2022 年53 巻4 号 p. 100-104
    発行日: 2022年
    公開日: 2023/09/28
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究の目的は,時間変動型の ON/OFF 制御による間欠通気式堆肥化システムの実用試作機を稼働中の堆肥化施設において適用し,温度や含水率といった堆肥化特性や送風機の消費電力の削減効果を明らかにすることである。実証試験の結果,本システムは慣行の連続通気や単純な間欠通気よりも60 ℃以上の高温期を持続させ,堆肥材料のより均一な発酵を促した。この高温期の持続は連続通気と同程度の含水率減少をもたらし,堆肥の乾燥にも寄与した。さらに,本システムを適用した場合,送風機の消費電力量は,連続通気と比べて81%,単純な間欠通気と比較しても60%減少した。これらの効果から,時間変動型の間欠通気システムの実際の生産現場への導入は,慣行の通気方法と比べても実用的利点は十分高いと考えられた。
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