農業施設
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37 巻, 4 号
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  • 胡 耀華, 鈴木 孝範, 野口 剛, 李 永玉, 北村 豊, 佐竹 隆顕
    2007 年37 巻4 号 p. 173-182
    発行日: 2007/03/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    100頭の三元系統交雑豚を対象として, 主成分分析により豚の屠体成績と豚肉品質の総合評価を行った。はじめに屠体成績指標として屠体長, 背腰長, 背脂肪厚, 肩脂肪厚, ロース面積, 屠体幅, 枝肉重量, 生体重など10の評価項目を各供試豚毎に測定する一方, 豚肉品質指標としてロース肉色 (明度指数, 色相角, 彩度, 色度), 脂肪色, 水分, 肉粗脂肪率, マーブリング, pH, 保水性, 伸展率など14の評価項目を同じく各供試豚毎に測定した。
    屠体成績の総合評価においては, 第3主成分までを取り上げることにより約75%の累積寄与率が得られた。すなわち因子負荷量から第1主成分は背腰長I, IIおよび屠体長に由来すること, 第2主成分はロース面積, 第3主成分は肩脂肪厚などに関する因子であることが明らかとなった。一方, 肉品質の総合評価に対しては第5主成分までの選択が必要であり, その際の累積寄与率は約69%であった。すなわち同様に因子負荷量から第1主成分は肉色の色相角, 色度b*, 明度指数L*に由来し, 第2主成分は彩度および色度a*, 第3主成分は肉粗脂肪率, 水分, マーブリング, 第4主成分は保水性, 伸展率, 第5主成分はpHならびにドリップ量等に関する因子であることが明らかとなった。
    また, 豚屠体を豚枝肉取引規格指標である枝肉半丸重量と背脂肪厚に基づき4等級に区分する一方, 先の10の屠体成績評価指標に基づく主成分分析を行い, 4等級の規格との整合性を検証した結果, 現行の2つの規格指標に基づく等級区分に対して10の成績評価指標に基づく分類には等級間に交雑が認められ, 現行の取引規格指標の検討の必要性が示唆された。
  • 前川 孝昭, 雷 暁輝, 藤巻 晴行, 白 薇
    2007 年37 巻4 号 p. 183-192
    発行日: 2007/03/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    土壌処理システムの排水処理効果について多くの研究がなされ, その効果が確認されている。しかしながら, 土壌処理システム内の土壌温度, 土壌水分, 窒素濃度について, その分布を検討した研究は極めて少ない。本研究ではつくば市大角豆に設置されている土壌処理システムの窒素除去能力について土壌温度, 土壌水分分布を観測することでその評価を試みた。
    土壌表層 (10cm深さ) での温度は外気の雰囲気温度に影響を受けやや小さな変動があったけれども, 深部の土層においては外気の温度にほとんど影響を受けていなかった。土壌水分は, 降雨と蒸発散によって温度と同じ傾向の影響を受けていた。土壌層内窒素の分布は以前のシミュレーション結果と同じ分布を示した。アンモニア態窒素は土壌処理システムを使うことによってきわめて効率よく除去されていた。しかし, 硝酸態窒素は脱窒に必要な炭素源の不足が推定され, 脱窒が不十分になって排水中に残っていた。
  • 水口 聡, 渡辺 久, 川崎 哲郎
    2007 年37 巻4 号 p. 193-198
    発行日: 2007/03/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    蕾切りカーネーションを蕾開花促進法によって開花させると, ハウス内で自然生育させた自然生育個体と比較して花持ちが劣る (Minakuchi et al., 2004)。そこで, 花持ち向上を目的に, 蕾開花促進処理中の明暗周期が開花後の切り花品質に及ぼす影響について検討した。
    品種‘ノラ’を対象に蕾径が15mmのステージで採取し, 3%のスクロースを含有する処理液に生け, 25℃で開花促進処理を施した。処理中の明暗周期を連続照射, 12時間ずつ明暗をくり返す12時間周期, 6時間ずつ明暗をくり返す6時間周期, 3時間ずつ明暗をくり返す3時間周期および連続暗黒条件とし, 開花所要日数および切り花品質を調査した。
    その結果, 開花所要日数, 花のサイズ, 花弁色調, 葉の色調には顕著な明暗周期の影響は認められなかった。花持ち日数には顕著な差異が認められ, 連続照射や連続暗黒では花持ちが短かったが, 3時間周期, 6時間周期, 12時間周期の順に長くなり, 12時間周期では自然生育個体を有意に上回った。
    このように, カーネーションの蕾開花促進処理中の明暗周期を連続照射から12時間周期にすることで, 消費電力量の削減だけでなく, 花持ち向上にも有効であることが明らかとなった。
  • 乾燥条件と小麦粉品質
    金井 源太, 玉城 勝彦, 長崎 裕司, 佐竹 隆顕
    2007 年37 巻4 号 p. 199-206
    発行日: 2007/03/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    小麦の粒厚選別による水分別乾燥技術確立を目的とし, 粒厚選別後の乾燥条件を小麦粉品質の面から検討した。乾燥工程前の小麦を目開き3.2mmの篩を用いて粒厚選別し, 選別区ごとにそれぞれ乾燥した。乾燥条件は, 薄層条件で50℃および60℃, ビーカー充填による無通風条件で40℃, 50℃, 60℃の5条件を設定した。分析は, 製粉後, 分光測色計およびラピッドビスコアナライザーにて行った。
    粒厚選別については, 篩下区, 無選別区, 篩上区の順に粉色が好ましく, 澱粉品質は乾燥工程時に通風が少ない場合でも, 低水分の篩下区は劣化しにくく, 逆に高水分の篩上区は劣化し易い傾向が認められた。
    乾燥条件について, 薄層乾燥では乾燥温度の明確な影響は認められず, 無通風条件では乾燥温度40℃の場合には澱粉品質, 60℃の場合には粉色が大きく劣化したが, 50℃の場合は両品質とも大きな劣化は認められなかった。
    また, 通常安全とされる乾燥温度40℃であっても無通風となれば劣化し, 乾燥温度が60℃でも充分な通風があれば劣化しにくいとの知見を得た。
  • 奥島 里美, 岩崎 泰永, 古野 伸典, 佐瀬 勘紀, 石井 雅久, 内田 良宏, Bernard BAILEY
    2007 年37 巻4 号 p. 207-214
    発行日: 2007/03/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    Apache, HTML, PHP, PostgreSQL といったよく利用されているWeb技術を用いて, 施設園芸での栽培試験データ用のWebサービスシステムを作成した。Web上でなじみのある一般的なデータ蓄積サービスに準拠したので, 栽培試験データを共有するグループメンバーにとっても入力や出力が容易なシステムとなった。システムは, データ入力フォームのレイアウト機能やユーザーグループの管理機能を含む。データはユーザーがレイアウトしたフォームまたはcsvファイルから入力や修正できるようにした。また, Webページまたはcsvファイルでデータの取り出しができるようにした。一般的で単純なWebシステムのため, 入力されたデータを評価, 診断するWebサービスとして表示することも容易であった。そのひとつとして, 入力されたデータから温室の冷房性能を推定する例を示した。
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