国内で稼動している穀類共同乾燥調製(貯蔵)施設の多くは設置年数が15年以上経過し,施設の機能を維持することとそのコストのバランスをとることが課題となっている。近年,こうした共乾施設の運営実態に対応させるべく海外製の遠赤外線乾燥機が国内メーカー扱いで導入されている。この乾燥機は燃料消費量の低減効果に優れている遠赤外線加熱方式をとっていることに加え,OEM 品を利用することで設置導入にかかわるコストを低減させている。これによって既存施設への入れ替え・改修の際の建設コストおよび導入後のランニングコストの削減が期待されている。乾燥機は共乾施設の中心的な機能を担う設備であることから,実用化が進みつつある OEM 遠赤外線乾燥機の基本性能の検証試験を行った。その結果,実稼動時に張込み量を満量にして行った際の張込み質量は20.2 t, 乾減率は0.6 %/h となり仕様能力が確認された。乾燥中の穀温は基準である35 ℃を概ね下回り,品質評価の指標である乾燥前後の重胴割れ率の増加は認められなかった。また,除去水分1 kg に対する投入エネルギ量は4.2~4.8 MJ/kg- 水であり,これまで国内で生産された遠赤外線を用いない従来の穀類乾燥装置報告例(5.7 MJ/kg- 水等)に比較して低く抑えられていた。これらの結果により乾燥機の基本性能と省エネルギ,低コスト化を両立させ,実利用上問題のないことが確認された。
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