農業施設
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47 巻, 2 号
第47巻第2号(通巻149号)
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
  • 𡈽方 享, 中谷 紘志, 松田 昌万, 佐竹 隆顕
    2016 年47 巻2 号 p. 59-67
    発行日: 2016年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル オープンアクセス
    国内で稼動している穀類共同乾燥調製(貯蔵)施設の多くは設置年数が15年以上経過し,施設の機能を維持することとそのコストのバランスをとることが課題となっている。近年,こうした共乾施設の運営実態に対応させるべく海外製の遠赤外線乾燥機が国内メーカー扱いで導入されている。この乾燥機は燃料消費量の低減効果に優れている遠赤外線加熱方式をとっていることに加え,OEM 品を利用することで設置導入にかかわるコストを低減させている。これによって既存施設への入れ替え・改修の際の建設コストおよび導入後のランニングコストの削減が期待されている。乾燥機は共乾施設の中心的な機能を担う設備であることから,実用化が進みつつある OEM 遠赤外線乾燥機の基本性能の検証試験を行った。その結果,実稼動時に張込み量を満量にして行った際の張込み質量は20.2 t, 乾減率は0.6 %/h となり仕様能力が確認された。乾燥中の穀温は基準である35 ℃を概ね下回り,品質評価の指標である乾燥前後の重胴割れ率の増加は認められなかった。また,除去水分1 kg に対する投入エネルギ量は4.2~4.8 MJ/kg- 水であり,これまで国内で生産された遠赤外線を用いない従来の穀類乾燥装置報告例(5.7 MJ/kg- 水等)に比較して低く抑えられていた。これらの結果により乾燥機の基本性能と省エネルギ,低コスト化を両立させ,実利用上問題のないことが確認された。
  • 金井 源太, 小綿 寿志
    2016 年47 巻2 号 p. 68-75
    発行日: 2016年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル オープンアクセス
    薪ボイラーでのペレット燃料の汎用利用を目的に,木質ペレットおよびジャイアントミスカンサスペレットを供試燃料とし,試作した薪ボイラーを熱源に利用する循環式乾燥機を燃焼装置として検討した。ペレット燃料の安定燃焼をはかるため,着火位置,燃料調整板および燃焼制御シートの炉内への設置について検討を行った。ペレット燃料への着火位置を炉内の空気の下流側とすると,上流側に着火するより燃焼時間が長くなる傾向が認められた。ペレット燃料は炉内の隅など燃焼空気が供給されない部分に燃え残るため,燃料が隅に残らないよう燃料調整板を設置することで,運転時間,出力,効率の向上が認められた。薪と比較して燃焼速度が速いペレット燃料の表面積を制限し,熱利用可能な燃焼時間を延長させることを意図し,燃料上に燃焼制御シートとして高温用断熱材を設置した結果,燃焼時間には明確な効果はなかったが,煙の発生する時間を短縮する効果が認められた。ジャイアントミスカンサスペレットは,木質ペレットと比較して,煙の発生時間が長い傾向が認められたが,薪ボイラーでの燃料利用に際して大きな問題点は無かった。
  • 𡈽方 享, 和田 聡一, 中谷 紘志, 松田 昌万, 佐竹 隆顕
    2016 年47 巻2 号 p. 76-83
    発行日: 2016年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル オープンアクセス
    共乾施設に搬入される米麦の品種変更や有利販売のために,外気温が高い夏場での刈取り・乾燥が行われる事例が散見されるようになった。火力乾燥方式の乾燥機を有する共乾施設の課題の一つに,これらを背景にした外気温が高い環境下における乾燥・貯蔵への対応がある。すなわち,穀類を乾燥するために外気を加温する必要があるものの,穀類の品質保持の観点から加温には限界があること,貯蔵に入る前の通風による冷却は外気温以下には下げることができないこと,などである。貯蔵におけるこれら課題に対する対策の一つにサイロ冷却システムがある。サイロ冷却システムの導入は,貯蔵開始時に穀温が高い米麦の貯蔵や,外気温が高い状態におけるサイロ壁面からの侵入熱の影響を低減する効果が期待される。サイロはカントリーエレベータの中心的な機能である貯蔵を担う設備であることから,実用化が進みつつあるサイロ冷却システムの基本性能について実機での検証試験を行い以下の結果を得た。サイロ(貯蔵容量300 t)の冷却時間を17~44時間とした調査における供試サイロに通風した冷却空気の温度は16~18 ℃,湿度が平均75% RH 程度となった。乾燥機の冷却工程を省略し,250 t を張込んだ試験区では,初期穀温36 ℃程度であった籾が33時間程度で目標の穀温20 ℃となった。その際の排気湿度は80~100 %RH となった。また,冷却に伴う供試籾の水分の変化は見られなかった。以上の諸試験の結果より,本システムのサイロ冷却効果が確認できた。一方で,冷却時間やサイロ内壁での結露発生に留意すべきことが明らかとなった。
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