農業施設
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50 巻, 2 号
第50巻第2号(通巻161号)
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • ─環境計測─
    梅田 大樹
    2019 年50 巻2 号 p. 51-56
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル オープンアクセス
  • 石田 恭弘, 高橋 圭二
    2019 年50 巻2 号 p. 57-63
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル オープンアクセス
    乳牛ふん尿のメタン発酵消化液の固液分離固分(以下:分離固分)を原料とした敷料は,ふん尿由来であるため乳房炎発症の危惧といった衛生面の課題がある。本研究では,分離固分を敷料利用している酪農場において,敷料調製過程の分離固分と敷料利用時の衛生状態を,大腸菌を指標に調査した。 分離固分は,2日分堆積し,これを2日ごとに移動・再堆積(切り返し)し計4回切り返した後,敷料として利用された。 2日ごとの切り返しにより分離固分の温度は夏期45~80 ℃,冬期40~70 ℃で推移し,年間を通して4回目の切り返し前までに55 ℃以上を延べ100 h 以上持続した。分離固分の大腸菌数は,分離直後の102 ~103 CFU/g-wet から牛床投入前には試料の9割以上が検出限界以下まで減少した。以上から,分離固分の好気性発酵は大腸菌除去に有効であった。 敷料の大腸菌数は牛床投入前の検出限界以下から投入後2~3 h で102 ~104 CFU/g-wet まで急増し,投入後22~23 h では104 ~105 CFU/g-wet となった。また,調査開始時に除去しなかったブリスケット部材前に堆積した未利用敷料の大腸菌数は投入後約12 h で103 ~104 CFU/g-wet まで増加した。以上から,短期間の発酵処理をした分離固分敷料の大腸菌に対する増殖抑制効果は確認されなかった。 敷料利用時の牛舎内平均気温と新しい敷料が投入される前の敷料平均大腸菌数の関係は,牛舎内平均気温1.6~23.7 ℃の範囲で高い正の相関があり(r =0.918),22.7 ℃以上では大腸菌性乳房炎が発生するとされる106 CFU/g-wet 以上になると推定された。 分離固分敷料には,①投入時の水分が約78 %と高い,このことにより,②水分が高いほど大腸菌数が少ない傾向がある, ③牛舎内気温が低いと水分が高く大腸菌数が少ない,④牛舎内気温が高いと水分が低く大腸菌数は多い傾向がある,という特徴が明らかとなった。
  • 小島 陽一郎, 中久保 亮, 松岡 英紀, 見城 貴志, 浅野 智孝, 石田 三佳
    2019 年50 巻2 号 p. 64-72
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は,養豚農家の密閉縦型堆肥化装置を対象に,発生する排気中のアンモニア(NH3)を回収装置によって除去したときの,通年の NH3 回収能力および回収後の NH3 を含む溶液(回収液)の利用について検討することを目的とした。福島県の養豚農家(S 農場;母豚200頭規模)の密閉縦型堆肥化装置にリン酸溶液を充填した容積600 L の NH3 回収装置を接続し,2017年11月,2018年1月,4月および7月の4期間において10日間の連続稼働実験を実施した。その結果,回収装置前後で排気中の NH3 濃度は1833~3222 ppm から117~149 ppm に低減し,平均の NH3 除去率は94.7 %であった。回収液は,窒素が6.08~6.60 %,リン酸が18.6~20.5 %含まれた。回収液の交換ごとに150 kg 程度のリン酸を用いて,約30 kg の窒素が回収された。気温の高い夏季には窒素と結露水からなる回収時の液増加分が少なく,条件によっては高濃度になる可能性が示唆された。また,肥料取締法における液状複合肥料としてみなした場合の有害成分はいずれも検出されず,幼植物の生育についても対照肥料と同等の効果が示された。そのため,回収液については単独での肥料利用もしくは混合堆肥複合肥料の原料として利用可能であることが示された。
  • ─京都府および岐阜県における被災実態調査─
    森山 英樹, 石井 雅久, 土屋 遼太, 奥島 里美
    2019 年50 巻2 号 p. 73-86
    発行日: 2019年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル オープンアクセス
    2018年9月4日に四国および近畿地方を縦断した平成30年台風第21号によって,農業用ハウスは200億円以上の被害を受けた。平地および中山間地に建設されたパイプハウスの被災実態を把握するために,京都府および岐阜県において,被災したパイプハウスの現地調査を行った。推定したパイプハウスの被災要因は多様であった。風圧力に関しては,パイプハウスの側面に作用する正圧,剥離流による負圧および再付着による正圧,開口部の発生に伴う内圧の変化,高所からの不定常流,地形および構造物に起因する気流の収束および突風が挙げられる。構造上の要因としては,地盤支持力の低下,筋交いの不足,発錆による構造部材の断面欠損,接合部強度の低下があった。その他,飛散物の衝突による破壊がみられた。
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