農業施設
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31 巻, 4 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 朴 宗洙, 石井 耕太, 寺尾 日出男
    2001 年31 巻4 号 p. 197-204
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は家畜糞尿・生ゴミのような有機廃棄物の嫌気性発酵から発生するバイオガスをエネルギーとして有効利用する技術で, バイオガスと軽油のデュアルフューエルでコージェネレーションシステム (以下CGS) を運転する場合, CGSの基礎運転特性とエネルギー効率を検証することである。バイオガスをディーゼル機関の燃料として利用する場合, バイオガス供給量, 機関負荷, 機関回転数をパラメータとした実験により, CGSの熱勘定の傾向と性能特性の資料を蓄積した。また, CGSの運転においてバイオガスの供給によって排気ガスから排出されるNOxと煙濃度の減少が認められた。CGSの回収熱効率は35~50%に達して, 機関の正味熱効率と合わせた総熱効率は50~80%になった。しかし低負荷の場合 (正味平均有効圧0.45以下) は供給メタンの未燃焼が発生し, これはCGS性能悪化の原因になると共に, CO2より数十倍強力な温暖化ガスの放出を意味するので, 今後未燃メタンの低減対策が必要である。
  • 趙 書雲, 張 振亜, Chris P. NORMAN, 前川 孝昭
    2001 年31 巻4 号 p. 205-213
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    Enterobacter aerogenes 水素生成菌の増殖と水素生成に対する6種類の微量金属化合物の影響を調べた。まず, 実験1ではそれぞれ1種類微量金属塩の添加の影響を調べた。そして実験2では6種類微量金属塩の中1種類のみを除いた5種類の微量金属塩を含む培地 (1種類を添加しない) を用いて行った。水素生成が, 対照実験よりCoCl2の添加によって改善された。また, CuSO4の添加により水素生成は減少した。一方, 実験2では, CoCl2あるいはCuSO4を添加しない条件下においては顕著な影響が観察されなかった。さらに, 水素生成速度がMnCl2, FeCl2の添加によって改善された。H3BO3とNaWO4については, 実験1ではそれぞれの添加によって, また実験2ではそれぞれの欠乏によって水素生成に同様の阻害的な影響を観察された。このことから, H3BO3とNaWO4は促進と阻害の2つの影響を持つと考えられる。対照実験と比べ, 実験1では微量金属の添加によって, 最大の水素生成速度はおよそ20%の促進, あるいはおよそ40%の減少が観察された。他方, 実験2ではそれぞれの微量金属塩を添加しないことによって, 最大水素生成速度はおよそ40%促進, あるいは12%減少した。さらに, 水素生成の間に微量金属によるpHと細胞密度に与える影響が観察された。pHと細胞密度ともに水素生成速度と同様の影響を受けた。
  • 井原 一高, 前川 孝昭
    2001 年31 巻4 号 p. 215-224
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    メタン発酵リアクタの安定性は, リアクタ内の微生物, とりわけメタン生成菌に強く依存する。リアクタの破綻を避けるためには, 微生物群の活性状態を反映する直接的なパラメータが必要である。メタン生成菌の代謝経路に関与しているとされるNAD(P)Hに着目し, 蛍光プローブを用いてオンライン測定を行った。メタン生成速度と比較し, その有効性を考察した。基質を酢酸とする合成培地を用いて運転を行ったところ, メタン生成速度が低くリアクタが安定していないスタートアップ時では, NAD(P)H濃度は高く, その変動は大きかった。スタートアップ後32日後にメタン生成速度が安定し, リアクタが定常状態に達したと考えられるときには, NAD(P)H濃度は低く, その値は安定していた。有機物負荷を増大し, リアクタを過負荷の状態にさせたところ, メタン生成速度が低下し, その後にNAD(P)H濃度の上昇がみられ, 値の変動が大きくなった。NAD(P)Hによる蛍光モニタリングはリアクタ内に存在する微生物の状態を反映する能力があることが示唆された。
  • 吉野 智之, 五十部 誠一郎, 前川 孝昭
    2001 年31 巻4 号 p. 225-231
    発行日: 2001/03/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    トウモロコシ種子蛋白質ゼイン (zein) を含水有機溶媒 (80%エタノール溶媒もしくは70%アセトン溶媒) に加温溶解し, 種々の乾燥条件において, キャスティング法を用いてゼインフィルムを作製した。ゼインフィルムは透明性が高く, 作製条件により, 膜厚が30~70μmの範囲で制御が可能であった。ゼインフィルムの酸素と二酸化炭素の透過係数を測定し, その結果, 酸素透過係数は, エタノール系ゼインフィルムの 6.5pmol・m/(s・m2kPa) が最も低く, アセトン系ゼインフィルムの 303.3pmol・m/(s・m2kPa) が最も高かった。一方, 二酸化炭素透過係数は, エタノール系ゼインフィルムの 1.0pmol・m/(s・m2kPa) で最も低く, アセトン系ゼインフィルムの 1541.0pmol・m/(s・m2kPa) で最も高かった。また, アセトン系ゼインフィルムにおいて, 作製時の乾燥湿度を変化させることにより, 酸素透過係数 303.3pmol・m/(s・m2kPa), 二酸化炭素透過係数 30.6pmol・m/(s・m2kPa) というように, 酸素・二酸化炭素の選択ガス透過性のあることが認められた。この選択ガス透過性は, 測定温度5~35℃の範囲において, 維持されることがわかった。以上より, ゼインフィルムの作製条件を制御することで, 種々の透過係数のゼインフィルムが作製でき, 特に, 選択ガス透過性という特殊機能を有する生分解性ゼインフィルムが容易に得られることが明らかになった。
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