冬期換気条件下の閉鎖型畜舎において, (1) 換気回数, (2) 入気流吹出方向, (3) 舎内外温度差等の換気方式による違いが空気汚染物質 (CO
2) 濃度の分布特性に与える影響を模型実験によって検討した。換気効率の指標としては, (1) 排出効率を表す室内平均濃度, (2) 汚染物質の室内への広がりの程度を表す平均拡散半径, (3) 換気空間の局所的な空気交換量に関する無次元濃度の3つを用いた。室内平均濃度に有意 (1%) に影響を与えたのは換気回数であり, 室内から汚染物質の排出には換気量が影響することを示した。また, 床面付近にCO
2が沈降していることが認められた。入気口のReと室内平均濃度との間には一次の相関が認められ, 本換気条件の換気量ではReの増加に伴い対象換気空間 (床より高さ0.36mの位置から天井まで) の室内平均濃度が増加した。これは, 流れの場のエネルギーが増加するにつれ舎外へのCO
2排出量も増加するが, 沈降したCO
2の床面から対象換気空間への拡散量が増加し, 結果的に対象換気空間の濃度が高くなったためと考えられた。
平均拡散半径は本条件の換気方式に影響を受けず, その平均は4.431mで室内に広く拡散したことを示した。
入気流吹出方向は有意 (5%) に無次元濃度の変動に影響を与え, 気流パターンが局所的な空気交換量に影響を与えることを示した。吹出方向が上向き148度の場合は他の吹出方向と比較し, 局所的な換気効率の変動が大きかった。どの吹出方向でも豚房内床面付近の無次元濃度は1.0より大きく, 本換気条件では気流パターンによって家畜に十分な空気交換を提供できず, 換気システムの改善が必要であると思われる。
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