農業施設
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25 巻, 2 号
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  • 池口 厚男
    1994 年25 巻2 号 p. 59-69
    発行日: 1994/09/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    冬期換気条件下の閉鎖型畜舎において, (1) 換気回数, (2) 入気流吹出方向, (3) 舎内外温度差等の換気方式による違いが空気汚染物質 (CO2) 濃度の分布特性に与える影響を模型実験によって検討した。換気効率の指標としては, (1) 排出効率を表す室内平均濃度, (2) 汚染物質の室内への広がりの程度を表す平均拡散半径, (3) 換気空間の局所的な空気交換量に関する無次元濃度の3つを用いた。室内平均濃度に有意 (1%) に影響を与えたのは換気回数であり, 室内から汚染物質の排出には換気量が影響することを示した。また, 床面付近にCO2が沈降していることが認められた。入気口のReと室内平均濃度との間には一次の相関が認められ, 本換気条件の換気量ではReの増加に伴い対象換気空間 (床より高さ0.36mの位置から天井まで) の室内平均濃度が増加した。これは, 流れの場のエネルギーが増加するにつれ舎外へのCO2排出量も増加するが, 沈降したCO2の床面から対象換気空間への拡散量が増加し, 結果的に対象換気空間の濃度が高くなったためと考えられた。
    平均拡散半径は本条件の換気方式に影響を受けず, その平均は4.431mで室内に広く拡散したことを示した。
    入気流吹出方向は有意 (5%) に無次元濃度の変動に影響を与え, 気流パターンが局所的な空気交換量に影響を与えることを示した。吹出方向が上向き148度の場合は他の吹出方向と比較し, 局所的な換気効率の変動が大きかった。どの吹出方向でも豚房内床面付近の無次元濃度は1.0より大きく, 本換気条件では気流パターンによって家畜に十分な空気交換を提供できず, 換気システムの改善が必要であると思われる。
  • 除糞作業と生体負担
    青野 忠勝, 鶴崎 孝, 渡部 憲幸
    1994 年25 巻2 号 p. 71-78
    発行日: 1994/09/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    鶏舎では, 糞からの有害ガスの発生があり, 特に, 高床式鶏舎においては, 鶏糞の堆積量が多くなるため, 糞の除去 (糞棚からの掻き落し) の必要性は高い。
    前報 (青野ら, 1994) において, 高床式開放鶏舎における除糞機を開発し, 無人走行を主たる改良点とする除糞機を試作し, 特にそのけん引性能と除糞効率について報告した。今回は, 既存の鶏舎の作業通路において, 試作除糞機, 従来型除糞機, 鍬 (人力) による除糞作業を行い, 作業者の作業時間と心拍数を調査測定し, 作業能率と作業者の生体負担について検討した。
    その結果, 作業能率は試作除糞機の方が従来型除糞機より, 約1.4倍大きいことが判明した。また, 除糞作業時の心拍数変化より, 安静, 作業, 回復の過程が明確になり作業負荷に応じた数値を提示した。作業者の心拍数増加指数は, 試作除糞機では1.12で従来型除糞機 (1.45) に比して, 小さいことがわかった。
  • 梅津 一孝, 高畑 英彦, 干場 秀雄, 佐藤 哲也
    1994 年25 巻2 号 p. 79-84
    発行日: 1994/09/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    乳牛糞尿スラリーを対象とした中温嫌気発酵を行うにあたり, 発酵槽の設計や運転操作方法の確立に重要な動力学的パラメーターの検討を目的として, 連続投入発酵試験を種々の条件下で行った。実験値からメタンガス生成速度と投入原料の有機物濃度, 滞留時間の関係について, Chen-Hashimoto モデルのK値を適用して検討した。K値と固形分濃度Soの関係は次式で表された。
    K=0.614exp0.021So
    また, Chen-Hashimoto モデルは発酵槽有効容積当りのメタンガス生成速度 (νv) を高精度で予測できた。予測値と実験値の比は平均で0.99, 標準偏差が0.11であった。
  • 荷受け要素による稼働特性の分析
    後藤 清和, 三輪 精博, 服部 利充
    1994 年25 巻2 号 p. 85-92
    発行日: 1994/09/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    穀物乾燥施設における荷受け部は, 農家と施設との接点であり, 農家の持ち分を決定するための重要な部署である。通常は, 計量機の稼働効率が70%として, 荷受け機器の能力が決定されているが, 所期の荷受け能率を達成しないことが多い。そこで, 各機器の能力や運転の時間設定に関連して荷受け能率に影響を与える要素をあげ, それらの値を用いた稼働効率の式を求めて各要素の効果を検討した。また, 最近開発されたバッファタンクを複数として稼働効率を向上させる方法についても考察を加え, 今後, 荷受けの最適システムを構築するための基礎資料を得た。その結果, 一荷口重量と粗選機能力が大きな影響を持つことが明らかとなった。また, バッファタンクの個数により稼働特性がかなり異なるので, 今後, コスト面も含めて詳細な検討が必要となった。
  • 坂井 直樹, 米川 智司, 松崎 昭夫, 森嶋 博
    1994 年25 巻2 号 p. 93-99
    発行日: 1994/09/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    画像計測手法を用いて, コシヒカリ・日本晴の玄米・精米の2次元形状解析を行った。形状因子の測定項目としては面積・周囲長・円形度・最大長・最大幅・長幅比・千粒重を取り上げたが, とくにこれらの項目に関する生産年度 (16年間で14データ) と産地間 (コシヒカリでは5データ, 日本晴では8データ) の変動を調べた。その結果, 同一品種においては年度・産地間ともに最大の項目で7%以内の変動 (CV) がみられた。さらに, 形状因子の違いを利用して2つの品種の判別を玄米と精米レベルで試みたが, 製品収率とニュートン効率でみると今後に期待できる良好な結果が得られた。
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