農業施設
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36 巻, 4 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 古在 由春, 前川 孝昭
    2006 年36 巻4 号 p. 187-194
    発行日: 2006/03/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    中国・北京市で最大の青果物卸売市場である新発地市場に搬入される青果物の流通時温度管理を対象とし, その生産地から卸売市場に至るまでの青果物品温の経時変化を連続的に計測するとともに, 温度管理上の問題点について検討した。得られた温度データから, 生産地から卸売市場に至る流通は空荷, 積載, 輸送, 市場内の4段階に大別され, 特に積載段階において青果物品温の変動が激しいこと, 呼吸熱以外の進入熱があることがわかった。輸送段階における青果物の品温上昇は, 流通関係者が技術的な知識を身につけることによって回避することが可能であるものと考えられた。また, 品温経時変化データから呼吸速度を推算することによって荷姿ごとの品質低下を比較することで, 市場滞貨中における青果物の品温変動幅は荷姿によって大きく異なることが明らかとなった。以上の結果から, 青果物の品質保持技術の導入可能性を検討するための定量的指標としては青果物の品温経時変化データが実用的であり, また流通時の各段階における品質低下を回避するには流通関係者が温度管理に関する知識を習得することが必要なものと考えられた。
  • 物流ABCの手法による
    川西 啓文, 都 甲洙
    2006 年36 巻4 号 p. 195-207
    発行日: 2006/03/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    白ネギ調製選別施設を稼働していく上で年間にかかる費用, すなわち, 人件費, 償却費, 消耗品費, 光熱費, 税金等についての調査を行い, 物流ABCの手法を用い, 無駄な経費や不必要な経費を洗い出し, 運営コスト削減への対策を検討した。得られた結果は次の通りである。
    1. 白ネギ調製選別施設の年間コストに占める比率が最も大きかった費用は設備機器の償却費で大体45%前後であった。また, 作業別では荷受け作業と箱詰め作業が年間コストの44~60%を占め, その主たる経費は荷受け作業では人件費と設備機器の償却費, 箱詰め作業では人件費と資材・消耗品費であった。
    2. 機械による処理が適正に行われれば発生しない皮むき補正, 乗り移り補正, 根切り補正などのアクティビティに年間3,128千円~7,267千円を使用している。補正の作業がなくなれば有効なコスト削減になると判断される。
    3. 選別処理単価は617~1,206円/箱であったのに対し, 農協の施設利用農家への負担金は155~273円/箱であった。
    4. 3農協とも処理量が減少する月は1箱あたりにかかる人件費は高くなる。処理量の安定化と処理量が少ない月に対する作業者の人数, 配置等を再検討しておくべきと考えられた。
  • 可視分光分析による褐色卵の血卵検出
    臼井 善彦, 中野 和弘, 齋藤 麻奈
    2006 年36 巻4 号 p. 209-214
    発行日: 2006/03/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    現在, 目視でも透光型検卵装置でも判別が困難とされている褐色鶏卵の血卵について, 可視分光分析による判別法を検討した。供試卵 (正常卵120個, 血卵120個) のスペクトルデータを分光器により取得した。得られたスペクトルデータを説明変数とし, マハラノビスの汎距離による判別分析を行った。検量用試料120個を用いて判別関数を作成し, 検定用試料120個について正常卵または血卵の判別を行った。その結果, 判別的中率は正常卵で98.3%, 血卵で93.3%, 総合では95.8%となった。なお, あるGPセンター (鶏卵選別包装施設) の白色卵用の検卵装置を褐色卵の血卵判別に使用したところ, 血卵判別率は47.8%であった。このことから, 本研究で示した判別分析法は褐色卵の血卵判別に有効であることが示された。
  • 臼田 浩幸, 椎名 武夫, 石川 豊, 佐竹 隆顕
    2006 年36 巻4 号 p. 215-222
    発行日: 2006/03/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    青果物の輸送中の物理的損傷の解析を目的とした振動シミュレーションを行なうための基礎的知見を得るため, 実輸送時のサスペンションの違いによる振動特性, ならびに走行速度と振動特性との関係について, 10tトラックの荷台振動を対象として調査を行った。上下方向および進行方向に対して前後方向, 並びに左右方向の3方向に関して振動測定を行ない, PSD (パワースペクトル密度) 解析を行った。
    荷台床面の前部および後部位置での振動特性を比較した結果, 概して荷台前部に比べ後部での振動が大きかった。また, エアサスペンション車の上下方向の振動では, リーフサスペンション車で最も大きいピークである3Hz付近 (0.98~4.88Hz) の振動加速度が6割程度低減されていることが明らかになった。一方, 左右および前後方向の振動では, 振動低減効果は認められなかった。高速道路走行において速度ごとに分割した上下方向の振動におけるPSD波形は, 走行速度によってパターンが異なった。しかし, 違いが見られた周波数帯 (20~30Hz以上) の振動加速度は非常に小さく, 60~90km/hの範囲の走行速度の違いが損傷に及ぼす影響は小さいと考えられた。
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