農業施設
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38 巻, 4 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 森山 英樹, 佐瀬 勘紀, 植松 康, 山口 智治
    2008 年 38 巻 4 号 p. 237-248
    発行日: 2008/03/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    一般建築物に比べて複雑な形状を有するパイプハウスの風圧係数を求めるために, 乱流境界層中に設置した縮尺1:20の模型に関する風洞実験を行った。模型の間口に対する桁行長さの比は8.3であり, これは従来の風洞実験で使用されてきた模型に比べて大きい。風圧係数の分布は, 風向0°(間口方向) から90°(桁行方向) まで, 5°間隔の風向において測定した。風向0°に関する風圧係数を, 従来の設計基準における両屋根型温室および円弧屋根温室の風圧係数と比較し, 両者における風圧係数分布の違いを明らかにした。また, 風圧係数の分布は風向に大きな影響を受け, 風圧係数の最小値-3.5は, 風向25°における妻面近傍の屋根上で生じた。外圧係数および内圧係数に対する妻面開口部の影響も調べた。その結果, 妻面開口部は, 外圧係数に殆ど影響を与えない一方で, 内圧係数に対する影響は大きかった。風向0°の時, 内圧係数の最小値は-0.9であり, 風力係数を正の値に大きく移行させた。内圧係数は風向にも影響を受けた。風向が90°の時に, 内圧係数は, 風下側の開口部がある場合の-0.2から風上側に開口部がある場合の+0.5まで分布した。
  • 吸引通気式堆肥化処理技術の実証
    阿部 佳之, 伊吹 俊彦, 宮竹 史仁, 本田 善文
    2008 年 38 巻 4 号 p. 249-262
    発行日: 2008/03/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    リニアクレーンによる切り返し装置にアンモニア回収装置を装備した吸引通気式堆肥化処理施設において, 堆肥化過程におけるアンモニア揮散の低減化とアンモニアの回収効果について検討した。
    木質チップが充填された直径300mmの通気口 (吸引口) を堆肥原料底部に1.5m間隔でスポット的に配置する配管方法であれば, 通気口は閉塞しにくく, 堆肥原料の有機物分解や水分蒸発が促進された。この配管方法を採用した吸引通気式堆肥化処理では, 堆肥原料表面からのアンモニア揮散量が低減された。すなわち, 圧送通気方式では堆肥原料表面から堆肥原料中全窒素量の9.6%がアンモニアとして揮散したが, 吸引通気方式では, この揮散量の9割をアンモニア回収装置で回収でき, 残りの1割はれき汁やドレイン中に含まれていた。
  • 森山 英樹, David R. MEARS, 佐瀬 勘紀, 池口 厚男, 山口 智治
    2008 年 38 巻 4 号 p. 263-274
    発行日: 2008/03/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    積雪荷重に対するパイプハウスの低コストな最適設計を求めるために, パイプハウスに関する7組の有限要素モデルを用い, 応力解析手法および座屈解析手法によって解析した。各モデルに関して, 補強用ブレースの最適位置を決定した。また, 許容積雪荷重の上限値に対するパイプハウスの間口, 棟高およびアーチパイプ断面係数の影響について求めた。さらに, 合理的なパイプハウス設計とアーチパイプの関係について調べた。棟高の63~70%の高さに2本の引張ブレースを追加することで, 許容積雪荷重が増加した。特に間口の広いパイプハウスにおいて補強効果が著しかった。応力解析では, 許容積雪荷重に対するパイプハウス棟高の影響は殆どなかった。しかし, 座屈解析によって求めた許容積雪荷重の最大値は, 棟高の増加に従って54%減少した。地盤の緩みによる支持条件の変化を考慮すると, パイプハウスの設計に関して, 座屈解析が重要であることが明らかとなった。アーチパイプ断面係数の増加によって, 同一の設計積雪荷重に対して, パイプ間隔を増加でき, 構造に使用する鋼材重量と日射遮蔽を減少できることがわかった。一般的なパイプハウスでは, アーチパイプを直径19.1mm, 肉厚1.1mmから直径42.7mm, 肉厚2.0mmに変更することで、鋼材重量が58%, 日射遮蔽が77%減少した。
  • 原田 泰弘, 道宗 直昭, 小竹 雅人
    2008 年 38 巻 4 号 p. 275-283
    発行日: 2008/03/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    本研究は, 畜舎から排出される空気に含まれている粉じんやアンモニアの定量的な把握を目的として行った。2001年7月から翌年の12月にかけ, 採卵鶏用の閉鎖型の実験鶏舎 (飼養羽数120羽) の粉じん, アンモニアを測定した。また, 鶏舎内温度, 換気量を一定にした同構造の鶏舎を対照区として, 換気量や温度の影響についても検討した。試験鶏舎の粉じん濃度は, 平均1.58mgDM/m3であった。粉じん濃度に対し, 鶏舎内温度, 湿度, 鶏舎内温度を制御している換気量, 飼養日数などの影響は見られなかった。粉じん排出量は, 平均44.3gDM/日と推定され, 発生量が多い夏期には80gDM/日程度になる月もあると推定された。試験鶏舎のアンモニア濃度は, 平均2.4ppm, 最大4ppmであった。温度条件等がアンモニアの発生量に影響を与えると考えられた。アンモニア排出量は, 平均58.8g/日と推定され, 夏期には最大156.7g/日に達すると推定された。対象鶏舎との比較により, 鶏舎内を快適温度に維持し, 換気量を低くできるような鶏舎の設置条件や構造, 空調制御等により, 粉じん, アンモニアの発生は低下させることが可能であると考えられた。
  • 李 俊, 院多本 華夫, 石川 豊, 北村 豊, 橋本 光, 佐竹 隆顕
    2008 年 38 巻 4 号 p. 285-292
    発行日: 2008/03/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    生分解性プラスチックの一種であり, フィルム以外の用途が期待されるポリ乳酸 (PLA) の力学特性・耐熱性・土壌生分解性および結晶化等の改善を目的とし, 微粉砕バガスを副材料として添加したPLA/バガス複合材を試作した。PLAの力学特性・耐熱性・土壌生分解性ならびに結晶化に対するバガス添加の影響ならびにコストダウンの可能性の一端を検討した。
    バガスを添加した複合材料の見込み素材単価はPLA単体に比べて削減が可能であり, さらに力学特性の曲げ弾性率・曲げ強度は向上した。また, PLA/バガス複合材料の耐熱性も向上し, 石油系プラスチックのアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン (ABS) に近いレベルであった。土壌生分解性については30日を経過したPLA/バガス複合材料の質量損失率はPLA単体に比べて高く, 土中において一層容易に生分解することが明らかになった。さらに, 結晶化については, バガスの配合割合の増加とともにPLA/バガス複合材料の結晶化度が増加する傾向を示し, 単体に比べて結晶化の改善が認められた。
  • 李 永玉, 鈴木 啓太郎, 胡 耀華, 大坪 研一, 院多本 華夫, 佐竹 隆顕
    2008 年 38 巻 4 号 p. 293-299
    発行日: 2008/03/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    アミロース含量の類似する日本産の高アミロース米夢十色と中国産の高アミロース米中早22号 (インディカ) を原料とし, 両品種の米粉の示差走査熱量計による吸熱特性およびそれらの米粉により試作した米麺の動的粘弾性の経時変化・茹で損失と茹で上がり倍率などについて比較検討を行った。その結果, 夢十色の米粉の糊化ピーク温度は中早22号より約16℃低温側にシフトしており, 中早22号の方が強固な結晶構造を作っていると推察された。一方, 茹で麺の貯蔵弾性率と損失弾性率の経時変化から, 夢十色の茹で麺は中早22号より老化が遅く, 硬くなり難いことが明らかになった。また夢十色の茹で麺の損失正接は中早22号より小さい値を示し, 夢十色の茹で麺のほうが中早22号の茹で麺に比べ弾性の寄与率が大きいことが明らかとなった。夢十色の米麺の茹で損失は中早22号より有意に高く, 茹で過程においては中早22号が夢十色より米麺素材として好ましいと考えられた。
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