本研究は, 畜舎から排出される空気に含まれている粉じんやアンモニアの定量的な把握を目的として行った。2001年7月から翌年の12月にかけ, 採卵鶏用の閉鎖型の実験鶏舎 (飼養羽数120羽) の粉じん, アンモニアを測定した。また, 鶏舎内温度, 換気量を一定にした同構造の鶏舎を対照区として, 換気量や温度の影響についても検討した。試験鶏舎の粉じん濃度は, 平均1.58mgDM/m
3であった。粉じん濃度に対し, 鶏舎内温度, 湿度, 鶏舎内温度を制御している換気量, 飼養日数などの影響は見られなかった。粉じん排出量は, 平均44.3gDM/日と推定され, 発生量が多い夏期には80gDM/日程度になる月もあると推定された。試験鶏舎のアンモニア濃度は, 平均2.4ppm, 最大4ppmであった。温度条件等がアンモニアの発生量に影響を与えると考えられた。アンモニア排出量は, 平均58.8g/日と推定され, 夏期には最大156.7g/日に達すると推定された。対象鶏舎との比較により, 鶏舎内を快適温度に維持し, 換気量を低くできるような鶏舎の設置条件や構造, 空調制御等により, 粉じん, アンモニアの発生は低下させることが可能であると考えられた。
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