農業施設
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27 巻, 2 号
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  • カタージェフ ティホミール, 渡辺 兼五, 東城 清秀, 内ヶ崎 万蔵, 藍 房和, ホワン バーニィ
    1996 年27 巻2 号 p. 47-56
    発行日: 1996/09/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    環境を保全しながら農地の生産性を改善する手法として, 樹木を利用するアグロフォレストリ (AGROFORESTRY) が注目されている。これは, 土壌浸食や汚染を受けることが多い農地の利用形態として, 作物だけでなく短期間に樹木を栽培するもので, 経済的な観点から積極的な普及が期待されている。樹木を農地に移植することは重労働であり, 樹木苗の全自動移植機の開発が急務となっている。
    本研究の目的は, 野菜移植のために開発されたエアプルーニング育苗方法を樹木の育苗に応用し, 生長に及ぼす影響および派生する問題点について検討することである。
    実験ではセル深さの異なる育苗トレイ (深さ40, 70, 140mm) を用いて, それぞれについてエアプルーニング, 部分エアプルーニング, エアプルーニングなしの条件で育苗を行った。ファイトトロンにおいて夜間と昼間の温度を17℃, 28℃そして湿度を95%, 65%に設定し, ユーカリと赤マツを育苗した。ユーカリは播種後20日で出芽して, 出芽率は85%であったが, 赤マツは播種後24日で出芽して, 出芽率95%であった。出芽に対してはエアプルーニング育苗の影響はセル深さ40mm以外の実験区ではみられなかった。これは40mmより深いセルでは根が底に届く前に発芽が行われたためと考えられた。
    ユーカリと赤マツの苗はエアプルーニングを施した全実験区で健苗となった。100mmの草丈に達したのはユーカリが4週間目で, 赤マツが24週間目であった。樹木の生長について統計処理を行った結果, 出芽で差が生じた深さ40mmトレイの実験区も, 移植時までに他の実験区とほぼ同様の生長となることが示された。
  • 試作乾燥装置の性能及び農産物の加熱特性
    毛利 建太郎, 劉 厚清
    1996 年27 巻2 号 p. 57-63
    発行日: 1996/09/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    遠赤外線を利用した農産物の乾燥技術を確立するために, 遠赤外線ヒータを備えた乾燥装置を試作し, 試作装置の性能及び遠赤外線による農産物の加熱特性について検討した。
    試作した遠赤外線乾燥装置は棒状の遠赤外線ヒータを持ち, 上方から加熱対象物に遠赤外線を照射するようにしたものである。
    乾燥室内で対象物に遠赤外線を照射した場合に, 乾燥室内の空気温度より対象物の表面温度と内部温度が高くなり, これは遠赤外線による加熱の一つの特徴と考えられた。
    遠赤外線で加熱する場合に農産物の種類及びヒータからの放射中心波長により, 加熱効率が異なる。これは被乾燥物の分子構造及び化学成分によって遠赤外線の吸収波長域が異なるためと考えられた。そこで, 供試ヒータの放射中心波長範囲内でいくつの農産物の吸収波長域を明らかにした。
  • 田尻 貴巳, 秋永 孝義, 川崎 聖司, 國府田 佳弘
    1996 年27 巻2 号 p. 65-70
    発行日: 1996/09/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    マンゴーは常温下での品質低下が速いため, 収穫後の迅速な低温処理が必要であるが, 低温感受性植物なので低温障害を受けやすいことが知られている。また, マンゴーは品種や熟度で品質が異なるので, 文献の貯蔵温度を沖縄県産のアーウィン種のマンゴーにそのまま適用することは困難である。そこで, 呼吸速度と温度の関係から熟度別の貯蔵温度を推定して貯蔵実験を試み, 貯蔵適温を検討した。その結果, アーウィン種のマンゴーの低温貯蔵は, 呼吸速度の抑制などの効果が認められ, 完熟果は5℃, 緑熟果は12℃が最も品質を保持できた。
  • 水, セルロースと糖に影響のある波長帯を用いて
    田邉 哲也, 秋永 孝義, 國府田 佳弘, 川崎 聖司, 河野 吉秀, 前田 弘, 水野 俊博, 青木 宏道
    1996 年27 巻2 号 p. 71-76
    発行日: 1996/09/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    沖縄県産のパイナップルとマンゴの糖度予測のため果実成分に影響のある波長帯を検量線に組み込んで検討した。パイナップルとマンゴの主成分は既知の分析結果で水, セルロース, 糖類の順である。そこで第1波長を水, 第2波長をセルロース, 第3波長を糖類にそれぞれ影響のある波長帯を指定して検量線を作成した。その結果, パイナップルの糖度予測は4波長 (958, 978, 918, 844nm) で92年のSEPが0.66, BIASが-0.26, 93年のSEPが0.55, BIASが-0.26, 94年のSEPが0.66, BIASが0.22, 95年のSEPが0.63, BIASが0.16となった。マンゴの場合は4波長 (958, 978, 918, 878nm) で92年のSEPが0.70, BIASが0.19, 93年のSEPが0.51, BIASが0.13, 94年のSEPが0.64, BIASが-0.16, 95年のSEPが0.47, BIASが0.16となった。果実成分に影響のある波長帯を組み込むことで安定した予測精度を持つ検量線を作成できた。
  • 太陽電池電源システムの構成と運用法の検討
    東城 清秀, 渡辺 兼五, 黒田 浩明, スリアージ マッタニー, 加藤 誠
    1996 年27 巻2 号 p. 77-84
    発行日: 1996/09/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    運転コストの低減, 燃料資源の節約や環境保全を推進する観点から, 太陽熱利用による汚泥乾燥装置の電源として太陽電池電源システムを導入した。この電源システムは太陽電池アレイ, 蓄電池および負荷等から構成されるが, 太陽電池の設備費が経済的負担を大きくすることから, 設置面積の合理的な設計手法について実験及びシミュレーションによる検討を行った。電源システムにおける発電量と消費電力量の需給バランスに注目して, ビール粕乾燥の実証試験データからシステムの運用シミュレーションモデルを作成した。シミュレーションの結果, 月平均の1日の太陽電池発電量は年間では約2倍の差が生ずること, 発電量が不足する場合には負荷の作動時間の抑制等によって対応すれば過剰な設備を避けられることなどが確認された。
  • 藤田 和男, 前川 孝昭
    1996 年27 巻2 号 p. 85-93
    発行日: 1996/09/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    藍藻 Spirulina platensis を供したフォトリアクタによるCO2固定を物質移動係数KLaにより評価した。また細胞表面積を画像処理装置により計測し, 細胞比表面積aの決定および粒径分布測定を行った。得られたaの値を用い, 細胞を触媒とみなしたときのCO2移動係数kCO2Lを検討した。細胞の表面積は約5.0 (m2/g-d.m.) であり, kCO2L値は0.8~1.0 (×10-4m/day) 程度であった。回分培養の実験結果から, 細胞増殖時の直線期におけるkCO2L値は最大値の1/5以下に低下すると算出された。培養後期 (14日目) での細胞表面積の分布はワイブル分布との相関が高く, 攪拌による細胞の破壊が生じていることが推察された。
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