農業施設
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45 巻, 2 号
第45巻第2号(通巻141号)
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  • 奥島 里美, ディビット R. ミアーズ, 佐瀬 勘紀, 髙倉 直, 森山 英樹, 古野 伸典, 石井 雅久
    2014 年45 巻2 号 p. 43-53
    発行日: 2014年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル オープンアクセス
    空気熱源-冷風供給型(A-A),水熱源-冷風供給型(W-A),水熱源-冷水供給型(W-W)のヒートポンプを用いた3種類の温室冷房システムについて簡単な熱収支モデルに基づく毎時計算により,日本における冷房運転性能を評価した。国内の 4地点において4種の代表的な温室規模について計算を行なった。設定気温の異なる2つの終日冷房および2つの夜間冷房条件を想定し,冷房負荷を求めた。昼間の最大冷房負荷はどの地点,どの温室規模でも同じような値を示したが,その量は大きすぎて換気せずにヒートポンプシステムだけで冷房するには困難な量であった。終日冷房負荷の半分程度をヒートポンプシステムで供給する程度が現実的と考えられた。この場合W-Wシステムでは冷水槽が有効に機能して,必要なヒートポンプ能力はA-AやW-Aヒートポンプのわずか1/6で済む。夜間冷房の場合は,暖房負荷量の90%を供給する能力のヒートポンプなら,ほぼ完全に夜間冷房に対応することができた。また,ヒートポンプを利用した冷房システムにより,巨大なヒートポンプ能力でなくても温室を閉鎖してCO2 施用できる時間数を延長できる可能性を示した。
  • 石川 志保, 岩渕 和則, 高野 準, 松田 從三
    2014 年45 巻2 号 p. 54-61
    発行日: 2014年
    公開日: 2023/09/07
    ジャーナル オープンアクセス
    畜舎にバイオガス発電施設が併設されているケースにおいて,バイオガス発電のみで家畜および畜舎管理に必要な電力を賄うエネルギー自給を行い,可能な限り多くの余剰電力を他へ供給(売電)するエネルギー自給・供給型畜舎の構築を検討した。酪農家の1日あたりの消費電力割合は,「換気扇」が37~76%(平均41%)と最も多く,次いで「バルククーラ」が4~ 37%(平均20%)であった。農場の消費電力は,各機器の定格消費電力の大きさよりも長時間に渡って使用する機器の影響が大きかった。したがって長時間使用する機器のうち,稼働が必ずしも厳格に求められていない機器の運用方法の見直しが,総消費電力および最大需要電力の低減に繋がると考えられた。また,設備容量の小さい換気扇やふん尿処理機器などを搾乳時間帯に同時使用しないことによって最大需要電力を抑えられた。バイオガス発電施設の発電量は1日をとおして安定しており,バイオガス発電施設の需要電力を賄うことはほとんど可能である。バイオガス発電施設併設型畜舎においても,搾乳時における稼動が必ずしも厳格に求められない機器の運用方法が,農場全体の需要電力をバイオガス発電で自給するうえでも重要であった。
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