農業施設
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29 巻, 4 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 非定常から準定常運転時
    田中 史彦, 田中 俊一郎, 王 世清
    1999 年29 巻4 号 p. 175-180
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    農産物の長期低温貯蔵を目的に開発した二元調湿換気式低温貯蔵庫の起動から準定常時までの期間, すなわち, 非定常および準定常運転時における庫内温湿度の変化を, 構築した熱・物質移動モデルによる数値シミュレーションを行うことによって予測した。本計算では, 主に冷却装置であるユニットクーラの性能値と温湿度の初期値を解析に用いるのみで, 実測による初期値以外の一切の時系列データを必要としないため, 二元調湿換気式低温貯蔵庫の操作条件の設定, あるいは装置の設計が直接的な実験を経ないで可能となる。
  • 水分と試作コイルのインダクタンスとの関係
    李 再貴, 藤木 徳実, 内田 進, 稲葉 繁樹
    1999 年29 巻4 号 p. 181-186
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    本研究は, 穀物 (籾と小麦) 水分をリアルタイムに測定するシステムの開発を目的とする。電磁誘導法を用いたシステムを製作し, そのインダクタンスを高周波100~1000kHzの範囲で測定することにより, インダクタンスと比透磁率が穀物水分と密接な関係があることを明らかにした。コイルの三要素 (巻き回数, 直径, 長さ) および定数k (長岡係数) と周波数の要因を考慮し, 試作した8個のコイルの中から, 水分測定感度が高く, 安定性の良いコイルを選定した。試験の結果から, インダクタンスと水分の指数回帰式が得られた。また, 定温乾燥法による水分測定値と比較して, 穀物水分範囲15%~30%では相対誤差がおおよそ2%以下となった。検討の結果, 高周波コイルは穀物の水分センサーとして適用性があると判断した。
  • 沈 在道, 岡田 芳一, 槐島 芳徳
    1999 年29 巻4 号 p. 187-195
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    この論文は, 曝気槽の中で浮遊物質及び沈殿スラッジの連続除去法を利用すると共に, 汚泥を返送せずに好気性微生物の代謝作用を活性化させる反応槽の開発について報告したものである。今日まで, 畜産汚水のような高濃度BODの汚水処理には活性汚泥法の低負荷条件を満たすため, 希釈法が採用されて来た。特に、処理工程における酸素要求量の調節は大変難しいものとなっている。これら活性汚泥法の問題を解決するため, 著者らは曝気システムと関連した新しいモデル方式を提案した。このシステムは, 下部に流入口と上部に排出口を有する集中曝気バイプを用いることを特徴としている。また, 細菌成長に必要な酸素を供給するため, 集中曝気パイプの上部の多数の排出口から気液混合液が液面に強力に散布されるようになっている。一方, 集中曝気パイプから形成された泡沫は沈殿槽に移され, 泡沫中に含まれる固形物質の一部は沈殿・除去される。また, 可溶性の有機物に含んだ上澄液は曝気槽へ戻り好気的な条件下で再処理を行う。この方式において, 曝気槽の中で豚尿汚水のBOD濃度は急速に減少することが確認できた。
  • 小島 孝之, 劉 蛟艶, 藤田 修二, 稲葉 繁樹, 田中 宗浩, 多々良 泉
    1999 年29 巻4 号 p. 197-203
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    トラック輸送される青果物は消費地への輸送の間に各種の振動を受ける。その振動強度は道路の状況あるいは積荷の状態などにより変化する。これらの振動の影響を解明するため, 本研究は冷蔵トラック輸送中のイチゴが受ける佐賀から大阪市場まで高速道路上での振動状況を実測し, その影響を調査した。輸送中に記録した振動データは実験室内で振動制御装置により振動を再現し, イチゴに輸送振動として与えた。
    イチゴの糖度及びアスコルビン酸含量を振動前と振動12時間後に測定し, 振動処理によりこれらの品質低下速度が振動を与えなかったものより顕著であることを確認した。また, トラック荷台後部における輸送中の振動実測データを解析して, 道路の状態 (平坦平滑道路面, 坂道, つなぎ目, トンネル及び橋) によりパワースペクトルが異なることなどを明らかにした。平滑な道路の場合, パワースペクトルは3.35Hzの付近に振動ピークが現れること, 加速度レンジは0~2.0m/sec2であること等がわかった。
  • 桁行き方向への弾塑性地震応答解析
    小川 秀雄, 津下 一英
    1999 年29 巻4 号 p. 205-214
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    園芸用ガラスハウスは, 大規模化により桁行き方向へ長く続く工作物となる事例が増えてきている。鉄骨フレームの桁行き方向へ地震波が伝搬された場合の園芸用ガラスハウス屋根面や壁面の変形状況を把握する目的でS波を表面波と仮定した弾塑性地震応答解析を行った。パラメータは桁行き方向長さ, 間口方向スパン数, 屋根面ブレース使用鉄筋による剛性, 地震波の伝搬速度, 入力地震波の種類とした。最大応答結果は, 柱頭間変位は67.6mm (たわみ角1/44, TAFT波), 柱頭と柱脚間変位 (柱の倒れ) は68.9mm (たわみ角1/33, TAFT波) である。柱頭と柱脚間変位 (柱の倒れ) の最大応答値は園芸用施設安全構造基準の柱の倒れ制限の3倍程度の変形となるが, 鉄骨フレームの耐力には余裕があり, ハウスの安全1生は確保されている。
  • 豊田 裕道, 森山 英樹, 瀬能 誠之, 前川 孝昭
    1999 年29 巻4 号 p. 215-223
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    園芸用プラスチックハウス等に関する強風被害の調査事例をふまえて, コンクリート基礎に代わる簡易な杭基礎を利用した低コスト・省資源設計の可能性を検討した。ハウス構造材の一部にも使用されている細い角形鋼管を利用した長い杭の水平引張り実験を行い, 杭幅の小さい場合でも水平抵抗の解析に弾性地盤反力法を適用することが可能であることを明らかにした。また, 使用済みパイプも活用可能な井桁構造により補強した短い杭の引抜き実験を行い, この構造が杭の補強対策として有効であることを明ちかにした。以上により耐風設計のための簡易基礎構造の基礎資料が得られた。
  • 石川 勝美, 中村 博
    1999 年29 巻4 号 p. 225-229
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    培養液のpHは植物の生育や培養液の組成変化に影響を及ぼすことから, 養液栽培の安定性にとって大きな意味をもつが, 培養液pHの調節は容易ではない。そこで本研究では, 培養液自体にpH緩衝能を付与するため鉱物の有する陰荷電に着目し, pH緩衝能やイオン交換反応が期待できる石英斑岩の特性に基づき, 効率的な水処理システム (HITEC-型と称す) について検討した。その結果, アルカリの添加に対しても培養液pHの急激な変化は見られず, ほぼpH=7で安定した。またECの減少も認められなかった。
  • 施設の概要と製氷性能
    小綿 寿志, 佐藤 義和, 干場 信司, 高橋 進, 中井 威佐夫
    1999 年29 巻4 号 p. 231-238
    発行日: 1999/03/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    北海道の十勝において180tのバレイショを収穫翌年の7月まで貯蔵することを目的に設計・建設した, 容量1200m3の製氷池をもつアイスポンドシステムについて, 施設の概要および制御方法を解説した。また, この施設を用いて2か年にわたり行った実証実験の結果として, 製氷については一冬に厚さ約3.1m, 体積約970m3の氷を製造することができ, その体積熱的純度は0.76~0.78と良質であり, 氷製造の電力コストは1m3当たり約100円であることを示した。
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