農業施設
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32 巻, 3 号
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  • 経営的収益性・窒素負荷量・投入化石エネルギーによる総合的評価
    干場 信司, 河上 博美, 森田 茂, 野田 哲治, 池口 厚男
    2001 年32 巻3 号 p. 129-134
    発行日: 2001/12/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    酪農生産システムは, これまで主に, 経営的収益性によって評価されることが多く, その結果種々の環境問題を引き起こしてきている。酪農生産システムを経営的収益性だけではなく, 環境調和的視点を含めて総合的に評価するため, 2つの複合的評価指標を提案した。1つは, [窒素負荷/所得] 比 [kg-N/千円] であり, これは, 農業所得1,000円を得るために環境に与えている窒素負荷量を表している。もう1つは, [投エネ/所得] 比 [MJ/千円] であり, これは, 農業所得1,000円を得るためにどれだけの化石エネルギー量を投入したかを表している。なお, 「投エネ」とは、「投入化石エネルギー」の略である。
    これまで, 農業生産システムを総合的に評価するための指標として, エネルギーの産出投入比 (宇田川, 1976) が用いられてきたが, この指標では, 複数種の農産物を生産する複合的農業生産システムの評価や, 異なった農産物を生産する農業生産システム間 (農家間) の比較を行うことはできなかった。ここで提案した複合的評価指標は, 算出に当たって, 分母に所得を用いるため, 複合的農業生産システムの評価や, 異なった農産物を生産する農業生産システム間の比較ができる可能性を有している。
    北海道東部の浜中町の197戸を対象とした調査事例では, 同額の所得を得ている酪農生産システム間に窒素負荷で非常に大きなバラツキがあり, これを [窒素負荷/所得] 比や [投エネ/所得] 比で表すことにより, 環境調和的視点を加味した酪農生産システムの評価ができる可能性を有している。
  • ハスブラ ロハニ, ストリスノ , 川崎 聖司, 小島 孝之, 秋永 孝義
    2001 年32 巻3 号 p. 135-145
    発行日: 2001/12/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    貯水蔵中の品質保持を目的としたMA包装を作り出すために通気管路の有効透過率の経験的な数学モデルと‘アーウィン’マンゴーの呼吸速度の酵素力学的原理に基づくモデルを研究した。内径3mmから9mmで長さ50mmから350mmの通気管路の有効透過率はO2については7.8×10-6m3/hから91.0×10-6m3/hでCO2については7.0×10-6m3/hから78.5×10-6m3/hであった。非線形変数増加モデルは有効透過率と管路の寸法の間の関係を良く表すことができた。その決定係数R2はO2とCO2についてそれぞれ0.956と0.959であった。12の異なったガス組成のもとでの呼吸速度の酵素モデルは実験値と大変良く適合していた。4.3×10-3m3のガラス瓶に1.2kgの試料 (3個のマンゴー) を入れて, 内径9mmと11mm、長さ50mmの管路を用いた場合, ガス組成はO2は8.3から11.4%, CO2については9.6から14.7%となり, 21日間の品質保持ができた。一方, 対照区では14日後には商品性が失われていた。モデル包装においては果実の目減り, 硬度, 糖度, 酸度の低下傾向, pHの上昇が目立って減少していた。外観は傷害が生じたことから両者に差がみとめられなかった。これらの結果から, 管路を用いることでマンゴーの最適なMA貯蔵が可能である。
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