農業施設
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42 巻, 1 号
第42巻第1号(通巻129号)
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
  • 須永 薫子, 本林 隆, 平沢 正, 大川 泰一郎, 帖佐 直, 東城 清秀
    2011 年42 巻1 号 p. 1-7
    発行日: 2011年
    公開日: 2023/08/07
    ジャーナル オープンアクセス
    本論文では,ホールクロップ用飼料イネである水稲品種リーフスターの穂,葉身,稈及び葉鞘(茎)を用い,バイオエタノール原料としての利用性を明らかにすることを目的にイネの粉砕特性,粉砕程度と可溶性糖およびデンプンの抽出量の関係,粉砕エネルギーとデンプン抽出率の関係を検討した。穂,葉身,茎の器官別および未分離(ホール)試料について粉砕特性を検討した結果,粗粉砕,微粉砕ともに器官別試料に比べホール試料において,より小さい粒径の相対粒子量が多かった。器官別に粉砕することに比べホールで粉砕することが,微小粒子形成に効果的であると考えられた。ホール試料の粉砕程度と可溶性糖およびデンプンの抽出量を検討した。可溶性糖抽出量は粉砕方法によらず同程度であり,デンプン抽出量は粒径50~100μm の相対粒子量との関係が認められた。可溶性糖とデンプンの合計抽出量は粉砕程度により異なり,平均粒径が100μm 以下の微粉砕試料を最大抽出可能量とした場合,平均粒径が232μm の粗粉砕試料で約88%の抽出率であった。可溶性糖およびデンプンの抽出エネルギー効率は粗粉砕のみを行う方法で最も高かった。
  • 谷 昌幸, 李 香珍, 加藤 拓, 宮竹 史仁, 藤嶽 暢英, 小池 正徳
    2011 年42 巻1 号 p. 8-17
    発行日: 2011年
    公開日: 2023/08/07
    ジャーナル オープンアクセス
    大規模堆肥化処理方式の違いが牛ふん尿堆肥の腐植化に及ぼす影響を調べるために,堆積方式と撹拌方式により製造された堆肥から抽出された腐植物質の化学的および光学的特性を比較した。いずれの方式についても,堆肥化に伴うC/N 比や易分解有機物量の減少,幼植物発芽試験における腐熟化の進行が認められた。一方,処理方式により,堆肥から抽出された腐植酸の光学的特性が著しく異なり,堆積方式では腐植酸の黒色化とカルボキシル基などの官能基構造の発達を伴う腐植化の進行が顕著であったのに対し,撹拌方式では堆肥化後も未熟でリグニン構造が残存した腐植酸であった。植物の生育に影響を及ぼす可能性がある動的な腐植物質を水抽出して比較したところ,堆積方式ではフルボ酸の増加と腐植化に伴う構造変化が認められたが,撹拌方式ではフルボ酸が減少した。処理方式が異なる堆肥の圃場還元においては,腐植化の違いを考慮した使い分けが必要である。
  • 宮竹 史仁, 久保田 峻野, 谷 昌幸, 加藤 拓, 岩渕 和則, 前田 武己, 前田 高輝
    2011 年42 巻1 号 p. 18-25
    発行日: 2011年
    公開日: 2023/08/07
    ジャーナル オープンアクセス
    約45~85%間の材料含水率が乳牛ふん堆肥化初期過程の温室効果ガス排出量に及ぼす影響を明らかにするために,堆肥化試験装置を用いて一酸化二窒素(N2O)およびメタン(CH4)排出速度を検討した。N2O 排出速度は,0~1日目の温度上昇時で約43~50℃と約56~68℃間に2つのピークが観測された。それらのピーク値は材料含水率が低下するほど高くなる傾向を示した。平均CH4排出速度は, 材料含水率が約45~74%間の試験区で0.009 ~ 0.043 mg・ h-1・ kg-dm-1と極めて低かったが,材料含水率85.1%の試験区では8.52 mg・ h-1・ kg-dm-1 と高いレベルで観測された。N2O とCH4排出量を二酸化炭素換算した温室効果ガス排出量は,材料含水率が55.1,60.8,65.4,73.4%の4 つの試験区で他の含水率と比べて少なかった。それゆえ,55~74%程度の材料含水率に調整することで,堆肥化初期過程の温室効果ガス排出量を抑制させる効果がある。
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