約45~85%間の材料含水率が乳牛ふん堆肥化初期過程の温室効果ガス排出量に及ぼす影響を明らかにするために,堆肥化試験装置を用いて一酸化二窒素(N
2O)およびメタン(CH
4)排出速度を検討した。N
2O 排出速度は,0~1日目の温度上昇時で約43~50℃と約56~68℃間に2つのピークが観測された。それらのピーク値は材料含水率が低下するほど高くなる傾向を示した。平均CH
4排出速度は, 材料含水率が約45~74%間の試験区で0.009 ~ 0.043 mg・ h
-1・ kg-dm
-1と極めて低かったが,材料含水率85.1%の試験区では8.52 mg・ h
-1・ kg-dm
-1 と高いレベルで観測された。N
2O とCH
4排出量を二酸化炭素換算した温室効果ガス排出量は,材料含水率が55.1,60.8,65.4,73.4%の4 つの試験区で他の含水率と比べて少なかった。それゆえ,55~74%程度の材料含水率に調整することで,堆肥化初期過程の温室効果ガス排出量を抑制させる効果がある。
抄録全体を表示