農業施設
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27 巻, 4 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 秋元 浩一, 前澤 重禮
    1997 年27 巻4 号 p. 195-198
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    予冷青果物が変温環境で流通することは多く, 現実的な温度管理の指標化が必要とされる. 軟弱野菜の一つであるホウレンソウに関し定温と変温のもとでの品質変化を検討したところ, 呼吸は環境温度に敏感に反応し, 鮮度維持には低温での定温管理が望ましいが, 変温する場合, 短期的には12時間周期に対し短い6時間周期の鮮度低下が大きいことがわかった。
  • 播種時期別の生育と果実収量
    小林 尚司
    1997 年27 巻4 号 p. 199-206
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    ‘桃太郎’,‘ハウス桃太郎’および‘マルチファースト’の3品種を, 年間のさまざまな時期にロックウールキューブを培地として一段栽培した。いずれの品種とも良く生育し, およそ90%の高い正常果率を示した。播種から開花まで, 開花から収穫開始まで, 収穫開始から終了までの所要日数は栽培時期によってかなり異なったが, 開花から収穫終了までの期間は,‘桃太郎’で年間平均68.6日となったことから, 開花時に定植すれば年間5作が可能と判断された。これらの結果をもとに年間収量を試算すると,‘桃太郎’(1~9月播種) と‘ハウス桃太郎’(10~12月播種) を組み合わせた完熟系品種では, 36t/10a,‘マルチファースト’では50t/10a以上の高い収量が得られる可能性が示された。
  • 王 世清, 田中 俊一郎, 守田 和夫, 田中 史彦
    1997 年27 巻4 号 p. 207-215
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    イチゴ果実の貯蔵技術を確立するために, イチゴ果実の冷却特性, 貯蔵条件が品質に及ぼす影響およびフィルム包装貯蔵の有効性について実験的研究を行った。その結果, イチゴ果実の冷却過程における内部温度分布の変化が推定可能となった。また, 貯蔵温度-1℃, 相対湿度90%以上の貯蔵条件がイチゴ果実の外観および内部品質保持に適することが示された。さらに, 低温とフィルム包装を組み合わせた貯蔵実験においては, 0℃および-1℃の貯蔵条件で40日間もの比較的長い期間の貯蔵が可能であった。このフィルム包装貯蔵では, フィルムのガス透過性が品質に及ぼす影響は大きく, 水蒸気透過性が高く, 酸素および炭酸ガス透過性の低い二軸延伸ポリスチレンフィルム包装の有効性が示された。
  • 田中 宗浩, 小島 孝之
    1997 年27 巻4 号 p. 217-224
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    本研究は, 近赤外分光分析法による日本ナシ果実の生育診断へPLS回帰分析を適用する際の基礎的な知見を得るために, 生育過程における日本ナシの果汁中の構成糖含有率測定における解析法としてPLS回帰分析を用い, 説明変数となる潜在因子の帰属性を負荷量ベクトルにより検討した。
    PLS回帰分析の結果, 5~11個の潜在因子からなる検量モデルを得た。これらの相関係数 (R) は, 蔗糖: 0.96, ブドウ糖: 0.90, 果糖: 0.99, ソルビトール: 0.99であった。また検量モデル評価時の標準誤差は, 蔗糖: 0.21, ブドウ糖: 0.17, 果糖: 0.19, ソルビトール: 0.31であった。
    各検量モデルにおいて1番目に使用される潜在因子には, 水に関する情報が集約された。2番目以降の潜在因子の負荷量ベクトルには, 糖類の吸収帯に多くの重みが確認されることから, これらには糖類に由来する情報が集約されたことが示唆された。これより, 近赤外法によるナシ果実の生育診断には, PLS回帰分析が有効な解析手法であることが確認された。
  • 搾乳廃水の希薄化
    内田 博康, 白土 博康, 手塚 正博, 松田 従三, 樋元 淳一
    1997 年27 巻4 号 p. 225-230
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    凍結濃縮技術は, 食品の濃縮などに用いられているが, これを廃水処理に用いた例はほとんどない。本研究は寒冷外気を利用した凍結濃縮・希薄化技術によって搾乳廃水の希薄化を目指したものであり, 低温恒温室内で基礎実験を行った。その結果, 凍結により氷層の溶質濃度は希薄化され, 未凍結の液層の溶質は濃縮されることが確認された。また凍結速度が速いほど, 氷層に含まれる溶質濃度は高くなり, 希薄度 (原液のCOD濃度/氷層のCOD濃度) は減少する。また氷層が厚くなるにしたがって, 深い位置の氷層ほど溶質濃度は高くなり, 希薄度が減少することが明らかになった。これらにより, 凍結希薄化された氷層の溶質濃度と凍結速度との関係式が得られた。
  • 前川 孝昭, 張 振亜
    1997 年27 巻4 号 p. 231-236
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    硫酸還元菌だけに阻害を及ぼす抗生物質を添加することによって, CO2とH2を基質とする馴養メタン菌及びこれに共生している硫酸還元菌の挙動を調べた。抗生物質を添加しない場合, 1日間の試験管培養における硫酸還元菌の計数値CFCs (colony-forming-curves) は7.2×106個/mLから4.4×107個/mLまで6倍以上増加した。一方, メタン菌の初期のCFCs増殖は非常に遅く, 2日目に対数増殖期に入った後, 2日間で1.6×109個/mLから2.2×1010個/mLまで増殖した。これに対し, 抗生物質を添加した場合, 硫酸還元菌のCFCsが増加せず, 4日間で0になり, MPBの増殖は貧弱であった。つまり, これは抗生物質の添加により, 硫酸還元菌の生育が阻害され, 硫酸塩の還元ができなくなったことを示した。また, メタン菌は硫酸塩の還元力を持たないため, 硫酸還元菌が阻害されていない場合と比べ, メタン菌の増殖及びメタン生成は著しい減少を示した。この結果から嫌気性メタン発酵における硫酸還元菌とメタン生成菌との共生関係, 硫酸還元菌によるCOD除去, メタンガスの生成に与える影響に関し, これまでと異なった事実が観察された。硫酸塩は共生している硫酸還元菌によって還元され, 生成した硫化物はメタン生成菌の硫黄源となる。これによって, 硫酸還元菌は硫酸塩を硫黄源とするH2資化性の馴養メタン菌培養に必要不可欠な菌であると考えられる。
  • 戸次 英二
    1997 年27 巻4 号 p. 237-244
    発行日: 1997/03/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    オーストラリアにおける米の乾燥・貯蔵は Ambient Ai Aeration System である。すなわち, 大容量の乾燥・貯蔵用ビンに荷受けした高水分の生籾を積み上げつつ, 周囲空気の通風により徐々に乾燥を進め, 貯蔵水分まで乾減した後は通風を止めて, そのまま貯蔵に入る方式をとっている。このビンの形態や投入・搬出の機構に特有のものが見られ, また効率的な乾燥と安全な貯蔵を確実にする温度・水分監視システムやコンピュータによる機器操作・監視システムなど, わが国における施設の設計や運営に今後役立つと思われるものが含まれている。それらを資料としてここに紹介した。
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