積雪地域においても, 園芸用施設を導入する農家が増えている。しかし, 連棟ハウスは作業・暖房効率が高い反面, 屋根谷部の積雪荷重が構造上の問題点となるため, 導入例は少ない。そこで, 温風暖房機を用いて連棟ハウスの屋根谷部に温風を送風する融雪システムを試作し, 送風方式と融雪能力の関係について調査・検討を行った。
その結果, 試験を行った3種の送風方式とも, 送風ダクトの風速および気温の低下の影響により送風方向に対して下流で融雪の遅れがみられるものの, 融雪システムが停止するまでには屋根谷部の積雪を融雪することができた。
一方, 本システムが示した融雪量の最大値は1.6kg/m
2/hあり, 1日あたりの融雪量に換算すると約38kg/m
2となる。この値は, 山形における15年再現期間の新積雪重量と一致する。しかし, 融雪量は調査時刻により大きく変動しているため, 融雪能力を評価する場合には, 降雪量を考慮する必要がある。
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