微酸性電解水 (SAEW) の保存中の安定性に関する評価試験を行った。評価試験項目は, 酸化還元電位 (ORP), pH, 全有効塩素濃度とし, 微酸性電解水を生成後直ちに25℃下でサイズや遮光性の異なる容器に10日間保存し, その変化を調べた。その結果, 酸化還元電位は900から1,000mV, pHは5から6.5, 全有効塩素濃度は10から30mg/lの範囲で変動した。微酸性電解水の微生物に対する不活性効果を調べるため, ホウレンソウの好気性細菌での実験を行った。前処理として, ホウレンソウを水道水の流水に5分間さらしたものと無処理の試料を作り, 微酸性電解水 (pH5.5, ACC25mg/l) 中に5分間浸漬処理後に一般細菌数を調べた。比較のために次亜塩素酸ナトリウム (pH9.9, ACC103mg/l) を使って同様の殺菌処理を行った。その結果, 微酸性電解水は次亜塩素酸ナトリウムに比べ, 有意に細菌への不活性化の効果が高いことが明らかになった。特に, 前処理として水道水での流水洗浄を行った試験区は, 前処理なしに比べ, 微酸性電解水の微生物の不活性化効果は1.3logCFUから2logCFUに向上した。浸漬時間を5分以上長くしてもその効果に大きな変化は見られなかった。
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