農業施設
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39 巻, 4 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 迎 春, 梅津 一孝, 酒井 保蔵, 井原 一高, 山城 隆樹
    2009 年39 巻4 号 p. 243-248
    発行日: 2009/03/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    代表的な畜産廃水であるミルキングパーラ排水を対象に, 磁化活性汚泥法を応用した処理実験を行った。実験中には汚泥の引き抜き及び強磁性粉の再添加なしに, 150日間良好な処理を行うことが可能であった。排水の曝気槽内の滞留時間を3日, 2日, 1日になるように, CODcr容積負荷をそれぞれ527.7mg/l/dから852.0mg/l/d, 1541.9mg/l/dの3段階に分け実施した。実験期間中にCODcr除去率は平均93%を維持した。磁気力を用いた汚泥の高速分離により, 曝気槽中の汚泥濃度を高濃度に維持された。
  • イッサーザカリア アブドゥルスディ, 守田 和夫, 紙谷 喜則
    2009 年39 巻4 号 p. 249-258
    発行日: 2009/03/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    本研究は焼酎廃液に嫌気性発酵処理を適用する場合, その発酵特性および最適発酵効率を発生バイオガスおよび水質浄化度からシステム的に評価することを目的としている。評価のために収集したデータは水質浄化基準となるCODの除去効率, メタンガス発生率 (MPR) およびバイオガス発生率 (BPR) であり, これらの測定項目で評価を行った。焼酎廃液は高濃度の有機物が含まれ, 今回の供試材料のCODと浮遊物 (SS) はそれぞれ43,000mg/l, 36,800mg/lであった。嫌気性発酵処理によるCOD除去効率は98%で120時間後であった。バイオガス発生量は種汚泥と焼酎廃液の体積比率が1:4 (v/v) のとき最大となった。嫌気性発酵処理では, 高濃度有機物を含む焼酎廃液を希釈することなく処理が可能であり, 初期pH値が6.5~7.5の範囲でバイオガス発生量は最大となった。バイオガスのメタン含有量は初期のpH値にかかわらず平均65.5%であった。しかし, 初期pH値が5.5ではメタンガスの発生はほとんど見られなかった。種汚泥と無希釈の焼酎廃液の体積比率が1:4 (v/v) で, BRPは0.95l/l d, MPRは0.43l/l dとなり, 嫌気性発酵処理で高濃度有機物の効率的な分解処理が可能であることが判明した。
  • イッサーザカリア アブドゥルスディ, 守田 和夫, 紙谷 喜則
    2009 年39 巻4 号 p. 259-267
    発行日: 2009/03/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    微酸性電解水 (SAEW) の保存中の安定性に関する評価試験を行った。評価試験項目は, 酸化還元電位 (ORP), pH, 全有効塩素濃度とし, 微酸性電解水を生成後直ちに25℃下でサイズや遮光性の異なる容器に10日間保存し, その変化を調べた。その結果, 酸化還元電位は900から1,000mV, pHは5から6.5, 全有効塩素濃度は10から30mg/lの範囲で変動した。微酸性電解水の微生物に対する不活性効果を調べるため, ホウレンソウの好気性細菌での実験を行った。前処理として, ホウレンソウを水道水の流水に5分間さらしたものと無処理の試料を作り, 微酸性電解水 (pH5.5, ACC25mg/l) 中に5分間浸漬処理後に一般細菌数を調べた。比較のために次亜塩素酸ナトリウム (pH9.9, ACC103mg/l) を使って同様の殺菌処理を行った。その結果, 微酸性電解水は次亜塩素酸ナトリウムに比べ, 有意に細菌への不活性化の効果が高いことが明らかになった。特に, 前処理として水道水での流水洗浄を行った試験区は, 前処理なしに比べ, 微酸性電解水の微生物の不活性化効果は1.3logCFUから2logCFUに向上した。浸漬時間を5分以上長くしてもその効果に大きな変化は見られなかった。
  • 西村 安代, 楫本 智司, 福元 康文
    2009 年39 巻4 号 p. 269-277
    発行日: 2009/03/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    ニガウリ (Momordica charantia L.) の花芽の性分化をエチレンの観点から検証するため, 雌性花の発現特性の異なる‘あばし’および‘長福’(秋作のみ) の2品種を供試し, 硝酸銀およびエスレル処理を行った。‘長福’は硝酸銀処理により, 20節前後までの親蔓に両性花が誘起された。また高濃度, 反復処理ほど両性花の分化率は向上し, 硝酸銀による植物体内のエチレンの作用阻害が認められた。‘あばし’は, 処理による雌性花の分化への影響は春作では認められなかったが, 秋作では高濃度処理により雌花が増加し, 反復処理によりその効果は顕著となった。エスレル処理により‘あばし’の雌花の分化節位は, 低濃度処理で低下する傾向にあった。雌花の分化率は, 親蔓では低濃度反復処理で, 子蔓では低濃度1回処理で若干増加したが, 15節付近以上は低かった。
    以上より, 硝酸銀に対する感受性は供試した品種や季節により異なること, また花芽の性分化へのエスレル処理の影響は他のウリ科果菜に比べて小さく, ニガウリのエチレン感受性は低いことが示唆された。
  • 野呂瀬 幸政, 岩渕 和則, 池田 喜雄, 倉島 太一, 宮竹 史仁
    2009 年39 巻4 号 p. 279-284
    発行日: 2009/03/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    本研究は食品廃棄物のコンポスト化反応特性を明らかにすることを目的に, 中温域および高温域における材料pHの影響を検討した。その結果, 酸性材料では反応が停滞した。一方, アルカリ性材料では反応は停滞せず, 70℃付近まで速やかな昇温が確認され, 高い分解率を示した。このプロセスの違いは, 中温菌はアルカリ性および酸性下のどちらでも増殖可能であるのに対し, 高温菌は酸性下では増殖が困難であり, 中温菌から高温菌への菌相遷移が妨げられるためである。また, 酸性かつ55℃で増殖可能な耐酸性高温菌が見い出されたが, アルカリ性材料で出現する高温菌ほどの有機物分解は期待できない。
  • 野呂瀬 政, 岩渕 和則, Ronaldo B. SALUDES
    2009 年39 巻4 号 p. 285-294
    発行日: 2009/03/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    食品廃棄物のコンポスト化における適正含水率の検討を行なった。大学の食堂から得られた厨芥は休日を除いてほぼ毎日市販の家庭用厨芥リサイクラ (生ごみ処理機) に投入された。コンポスト化材料の含水率は反応槽内に投入された厨芥の量によって20, 25, 30, 35および40%, w. b. に管理した。その結果, 含水率40%, w. b. におけるコンポスト化は最も高い有機物分解率を示した。しかしながら含水率40%, w. b. を超えた場合は材料が粘性のある塑性状態となり, 機械攪拌によって団塊が形成され易くコンポスト化は困難であったため実用的には35~40%, w. b. に維持する必要がある。また同じ含水率であっても攪拌方式によって材料性状が異なる傾向にあり, 水平シャフト型攪拌は鉛直シャフト型に比べて団塊発生を抑制することが分かった。
  • 宮竹 史仁, 阿部 佳之, 本田 善文, 岩渕 和則
    2009 年39 巻4 号 p. 295-302
    発行日: 2009/03/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    堆肥の発酵過程で発生する分解熱および炭酸ガスを園芸施設等の加温用の熱源や炭酸ガス補給に利用するために, 実規模の吸引通気式堆肥化システムを用いて取得可能な熱量および炭酸ガス濃度を明らかにするとともに, 材料の切り返し頻度が発酵排気中の熱量や炭酸ガス濃度に及ぼす影響を調査した。実験は, 切り返し頻度を週1回と週2回に設定して行った。その結果, 切り返し頻度を週1回から週2回に増やすことで, 取得可能な熱量が141W・m-3から216W・m-3, 炭酸ガス濃度は1.5%から1.8%に増加した。また週2回の切り返しは, 熱量および炭酸ガス濃度の変動を抑制し, 安定した回収利用が可能となった。さらに, 週2回の切り返しは, 堆肥材料への通気量を増加させ, 硫化水素の生成を抑制させるなど, 好気的な堆肥化反応の維持改善に効果があった。
  • 向 弘之, 古原 洋, 水田 康雄, 松田 周, 大下 泰生
    2009 年39 巻4 号 p. 303-309
    発行日: 2009/03/25
    公開日: 2011/09/05
    ジャーナル フリー
    北海道空知地域のパイプハウスを利用した夏季の施設園芸に, 暑熱対策としてフルオープンハウスを導入した場合の効果を確認することを目的に, フルオープンハウスと慣行型ハウスの環境を比較した。フルオープンハウス内の気温は慣行型ハウスに比べ, 5℃以上低く抑えられる場合があった。フルオープンハウス内の気温が30℃を超える延べ時間は, 慣行型ハウスのおよそ1/3に短縮された。熱中症予防の指標として用いられるWGBT (湿球黒球温度) で比較しても, 厚生労働省が果実・野菜を摘む等の作業について熱に順化している人を対象に示す基準値28℃を超える延べ時間がおよそ1/3に短縮された。
    フルオープンハウスは既存のハウスを自家施工により改造することで低コストな導入が可能であり, 導入に要する材料費は奥行50mのハウス1棟あたり約20万円であった。
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