熱線反射フィルムを利用した透明断熱壁体について, 基礎実験を行い, その熱的・光学的特性に関する基本的傾向を把握した。供試壁体の種類としては,「ガラス+熱線反射フィルム」タイプを11種類,「プラスチックフィルム+熱線反射フィルム」タイプを5種類夫々制作し, 主としてボックス法並びに放射収支計によって, その特性を計測し, これを放射成分と対流成分とに分けて評価した。
先ず, 熱線反射フィルムを設置したとき, 壁体内に於ける放射伝熱量を最少限とするのに好適な壁体構成を見出した。次に, 採光性, 断熱性 (冬向き), 遮熱性 (夏向き) 等, 総合的観点から評価した結果, 透明且つ静止体でありながら, 従来の可動二層カーテンよりも優れた壁体を実現した。更に, 層間に種々のガスを封入した実験を行い, 壁体内に於ける気体による伝熱量を大幅に低減するのに効果的なガス並びにその使用方法を見い出した。
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