農業施設
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40 巻, 4 号
第40巻第4号(通巻124号)
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 脱硫装置の設計要因の解明
    鈴木 崇司, 干場 信司, 小川 人士, 高崎 宏寿, 岡本 英竜, 天野 徹, 吉田 宗史, 森田 茂
    2010 年40 巻4 号 p. 219-227
    発行日: 2010年
    公開日: 2023/12/14
    ジャーナル オープンアクセス
    バイオガスを利用する際には,経済的で効率良い脱硫が求められる.中でも,消化液中の微生物の働きを利用した生物脱硫が有効であると考えられている.しかし,消化液の利用方法についての詳細な検討・比較はなされていない.本報では,小規模実験装置を用いて,脱硫性能が安定的に維持できる消化液の利用方法を反応筒内での気液接触方法(7方式)から検討した.実験装置には0.24 m3の塩化ビニル製の円筒を用い,内部に接触材を充填可能にした.消化液は,ポンプを用いてノズルから装置内に噴射する構造とした.硫化水素濃度は,脱硫前と脱硫後を濃度計により測定し,脱硫率で効果を評価した.接触材を充填した方法では高い脱硫率が得られ,スプレー方式を組み合わせることで効果が向上した.消化液の噴射によって発生するより細かいミストを利用することで,接触効率を高めるとともに,接触材表面に効果的な消化液の供給が可能になったことが要因と考えられる.
  • シャベーバン レアウングチビロジ, ピタヤコン ライムトン, シングジュー ピリヤリン, TAKENO Kenji, 佐々木 健
    2010 年40 巻4 号 p. 229-235
    発行日: 2010年
    公開日: 2023/12/14
    ジャーナル オープンアクセス
    タイ国における酸性低栄養土壌への種々の有機肥料の施布と,メタンガス放出および稲生育と米穀粒について検討した。化学肥料と混合した稲ワラおよび牛糞は,化学肥料単独の施布,化学肥料とコンポスト,グリーンコンポスト(Sesbania rostrata)を混合し施布したものなどに比較して,メタン放出を促進した。最大メタン放出量は,化学肥料と稲ワラを混合して施布したもので認められ,15.2 mg/(m2・h)であった。メタン放出の盛んな時期,白色根と稲の増殖は抑制されなかった。地上の稲バイオマス量および米穀粒量はメタン放出と正の相関を示した。加えて,土壌中の有機物やリン,カリウム,全窒素などの成分は,稲ワラや牛糞を化学肥料と混合施布したもので高く,メタン放出と正の相関を示した。
  • 千葉県の取組み事例から
    菱沼 竜男, 鈴木 一好, 玄地 裕
    2010 年40 巻4 号 p. 237-248
    発行日: 2010年
    公開日: 2023/12/14
    ジャーナル オープンアクセス
    稲発酵粗飼料(WCS)生産システムの環境側面を定量的に評価するために,ライフサイクルアセスメント手法を用いて温室効果ガス(GHG)排出量を推計するとともに米国産乾草を用いて同等量の可消化養分総量(TDN)を供給する場合のGHG排出量と比較した.千葉県内の生産事例を参考に,代表的な稲WCS生産システムとして移植栽培での作付管理作業および専用収穫機や中型汎用機,大型汎用機を用いた収穫調製作業からなる機械化体系を整理して評価対象システムとした.作付管理作業に伴うGHG排出量は作業機械の違いの影響は小さく,水田土壌の違いによる湛水由来のCH4の影響が大きかった.収穫調製作業では,作業機械の製造段階の影響が大きく,特に作業面積の少ない中型汎用機の事例ではGHG排出量が大きかった.また,米国産乾草を利用した場合に比べて,移植栽培と専用収穫機,大型汎用機を用いたシステムではGHG排出量が330-620kg-CO2eq/10a程度少ないと推計できた.ただし,泥炭土に分類される水田土壌で稲WCS生産に取組んだ場合や米国産乾草の生産地域や輸送条件が異なる場合には,稲WCS生産に伴うGHG排出量が米国産乾草利用と同程度になる可能性があった.
  • 稲わら収集における輸送エネルギー試算方法
    金井 源太, 竹倉 憲弘, 加藤 仁, 小林 有一
    2010 年40 巻4 号 p. 249-258
    発行日: 2010年
    公開日: 2023/12/14
    ジャーナル オープンアクセス
    稲わらからのバイオエタノール生産を念頭に置き,圃場から変換施設に併設される収集拠点までの輸送を想定し,変換効率,稲わら収集量,収集圏に占める圃場の割合が,輸送に要する燃料量や輸送に必要なトラック台数等に与える影響について試算式を基に検討した.標準的な条件下での試算として,エタノール生産量を15 000kL/年,稲わら1 t(乾物重)当りからのエタノール生産量を0.3 kL,作業日数を53.6日/年,トラックの積載量を2.7 t,収集圏での圃場割合を0.128とした場合,稲わら収集量は50 000t(乾物重),稲わら1 t(乾物重)当りの輸送に要する燃料量は2.78 L,必要なトラック台数は109.5台,収集圏の半径は19.1 kmとの結果を得た.トラックの総走行距離は稲わら収集量の1.5乗に比例し,圃場割合の0.5乗に反比例するとの結果を得た.また,稲わら1 t当りの燃料量は,稲わら収集量の0.5乗に比例し,圃場割合の0.5乗に反比例するとの結果を得た.トラック台数は,圃場割合が下がると,稲わら収集量が同じ割合だけ増えた場合でも,より多く必要となるとの結果を得た.
  • 李 永玉, 周 興祥, 佐竹 隆顕
    2010 年40 巻4 号 p. 259-264
    発行日: 2010年
    公開日: 2023/12/14
    ジャーナル オープンアクセス
    本論文では,日本産ジャポニカ種米の需要拡大に向け,ジャポニカ種米「きらら397」を主原料とし,高アミロース米「夢十色」を副材料として得られたブレンド米粉により試作した米麺の品質変化について比較検討を行った.その結果,高アミロース米の「夢十色」を部分的に併用したブレンド茹で麺の破断応力と破断ひずみは,ジャポニカ種100%の「きらら397」の茹で麺より有意に高い値を示す一方,損失正接は「きらら397」の茹で麺より低い値を示した.即ち,高アミロース米とのブレンド茹で麺は「きらら397」の茹で麺より強固なゲルネットワーク構造を形成しており,その茹で麺物性は大きく改善されることが明らかとなった.また,ブレンド茹で麺の貯蔵弾性率と損失弾性率の上昇速度は,「きらら397」の茹で麺より顕著であり,ブレンド茹で麺は「きらら397」茹で麺より老化が早いことが示された.なお,官能評価において,高アミロースの「夢十色」を部分的に併用したブレンド茹で麺はジャポニカ種100%の「きらら397」より官能的に好まれることが明らかとなった.
  • 小川 幸春, 上田 理華子, 田川 彰男, 野田 崇啓, 日高 靖之
    2010 年40 巻4 号 p. 265-271
    発行日: 2010年
    公開日: 2023/12/14
    ジャーナル オープンアクセス
    籾殻を粉砕し,その粉砕時間や粉砕前含水率の違いによる粒度分布変化を数値評価する方法について検討した.粉砕時間の経過に伴う粉砕産物の粒度分布変化を図示した結果,時間の経過とともにその分布状態がより粒子径の小さい方向に移動していた.そこで,測定値をRosin-Rammler分布に近似してパラメータを算出,比較したが,分布状態を示すパラメータと粉砕時間との間に規則的な関係は見られなかった.その原因を検討するため100µmより小さな範囲に残る粉末の微細構造を観察したところ,63~100µmの範囲に円柱状の微細構造体が多数存在していることが確認された.それらがRosin-Rammler分布への近似を阻害する一因と思われたため,新たに粉砕産物の重量百分率とふるい網目大きさの積を総和することによる粒度分布評価法を試みた.その結果,粉砕時間の経過に伴う分布状態の変化が数値として包括的に評価可能であることが示された.また,含水率の異なる試料を粉砕した場合,粉砕時間が同じであっても乾燥の進行とともにより細かく粉砕されることが数値的に示された.
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