本研究の目的は,国内で市販されているバイオ炭(もみ殻くん炭・竹炭・粒状木炭)を混合した乳牛ふんの堆肥化反応特性を明らかにすることである。バイオ炭を 10 %(湿潤質量ベース)混合した乳牛ふんを小型堆肥化試験装置で 35 日間堆肥化し,堆肥温度や微生物活性および N
2O,CH
4 および NH
3 ガス排出を分析した。その結果,もみ殻くん炭区の NH
3 排出量は,対照区と比較して 59.8 %抑制されたが,竹炭区では 6.8 %の減少にとどまった。N
2O,CH
4 排出量は,すべてのバイオ炭区で減少し,その中でも竹炭が高い抑制効果を示した。一方,バイオ炭区の堆肥化初期における最高温度の上昇や 55 ℃以上の高温持続時間は対照区と同程度であり,かつ,微生物活性を表す CO
2 排出量および有機物分解率も顕著な変化は観測されなかったことから,バイオ炭の混合は堆肥化反応の促進には影響しなかった。試験に使用したバイオ炭は,乳牛ふんの堆肥化促進には影響しないものの,バイオ炭の種類によっては NH
3 や N
2O,CH
4 排出抑制に有効な資材であることが示された。
抄録全体を表示