農業施設
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52 巻, 4 号
第52巻第4号(通巻171号)
選択された号の論文の2件中1~2を表示しています
  • 吉田 弦, 井原 一高
    2021 年52 巻4 号 p. 116-122
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/09/28
    ジャーナル オープンアクセス
    食品産業廃棄物の中で植物性残渣の割合は高く,その中で野菜廃棄物は高い含水率と排出量の多さから,バイオガス化が望まれている。野菜廃棄物は Volatile Solids 濃度が低いことからメタン発酵において基盤投入原料として用いることを想定すると,ガス生成量を増加させるために副基質が必要である。そこで本研究は,食品バイオマスとの共発酵を行い基盤投入原料としての野菜残渣の可能性を検討した。野菜廃棄物のモデル物質として5種類の野菜と茹でたパスタを主基質とし,副基質としてチーズとチョコレートを用いて,バイオガスポテンシャル試験を実施した。野菜廃棄物の有機物負荷に対してチーズまたはチョコレートを60%追加したところ,バイオガス生成量は3.37 m3/m3 からそれぞれ4.76 m3/m3,5.89 m3/m3へと増加した。またバイオガス収率もわずかに向上した。有機物負荷一定の条件下において,野菜廃棄物とチョコレートの混合割合の影響を調べた。野菜廃棄物のみと比較してチョコレートを20~50%混合することによって,バイオガス生成量およびバイオガス収率は増加した。これらのことから,野菜廃棄物とチーズやチョコレートは嫌気性共発酵が可能であり,野菜廃棄物は食品バイオマスのメタン発酵の基盤的投入原料として活用できることが示された。
  • 前田 武己, 齋藤 雅貴, 小島 陽一郎, 阿部 佳之
    2021 年52 巻4 号 p. 123-131
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/09/28
    ジャーナル オープンアクセス
    家畜排せつ物の堆肥化に利用される副資材について,小容積の荷重試験の沈下量からその堆積状態における質量とかさ密度を推定した。堆積高さが2 m のときの質量を推定すると,おが粉では既往値に対して約6割,籾殻では同様に約8割の値となった。豚ふん戻し堆肥では水分が異なるもののその推定質量は既往値の約2倍となり,乳牛ふん戻し堆肥で得られた値は豚ふん戻し堆肥の4割程度であった。かさ密度の値は,同じ副資材においても堆積高さが高くなるほど大きくなると推定された。この変化は籾殻が最も小さく,おが粉や乳牛ふん戻し堆肥では籾殻より大きくなり,豚ふん戻し堆肥が最も大きくなった。このため,副資材として籾殻を利用するときは堆積高さが高くなっても下部が圧縮の影響を受けにくいと考えられる。その一方で,豚ふん戻し堆肥ではもともとかさ密度が大きいことに加え,圧縮の影響を受けやすい。このため副資材として利用するときには水分調整の効果はあるものの,かさ密度の低下すなわち空隙の増加にはつながりにくいことが予測される。
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