食品産業廃棄物の中で植物性残渣の割合は高く,その中で野菜廃棄物は高い含水率と排出量の多さから,バイオガス化が望まれている。野菜廃棄物は Volatile Solids 濃度が低いことからメタン発酵において基盤投入原料として用いることを想定すると,ガス生成量を増加させるために副基質が必要である。そこで本研究は,食品バイオマスとの共発酵を行い基盤投入原料としての野菜残渣の可能性を検討した。野菜廃棄物のモデル物質として5種類の野菜と茹でたパスタを主基質とし,副基質としてチーズとチョコレートを用いて,バイオガスポテンシャル試験を実施した。野菜廃棄物の有機物負荷に対してチーズまたはチョコレートを60%追加したところ,バイオガス生成量は3.37 m
3/m
3 からそれぞれ4.76 m
3/m
3,5.89 m
3/m
3へと増加した。またバイオガス収率もわずかに向上した。有機物負荷一定の条件下において,野菜廃棄物とチョコレートの混合割合の影響を調べた。野菜廃棄物のみと比較してチョコレートを20~50%混合することによって,バイオガス生成量およびバイオガス収率は増加した。これらのことから,野菜廃棄物とチーズやチョコレートは嫌気性共発酵が可能であり,野菜廃棄物は食品バイオマスのメタン発酵の基盤的投入原料として活用できることが示された。
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