本研究は食肉の電気インピーダンス特性と調理損失および破断特性との関係を明らかにすることで加熱工程の食肉の品質評価方法を確立することを目的としている。はじめに実験として,豚ひれ肉を間欠加熱し,加熱直後の試料の電気インピーダンスと調理損失を計測した。しかし,2者の間に直接的な相関関係は確認できなかった。次に,試料を加熱後,冷却した試料の電気インピーダンス(100 kHz ~1 MHz)は調理損失,変形率が50%となる荷重,破断変形率との間に相関が見られた(f =250 kHz の電気インピーダンスと各物性の相関係数は,調理損失0.913,50%荷重0.860,破断変形率−0.790であった)。また,加熱された試料の電気インピーダンス,電気インピーダンス計測時の試料温度,加熱前の生試料の電気インピーダンスの3変数より算出した電気インピーダンス Z
CL は調理損失と高い相関関係(相関係数0.851,サンプル数40)が確認できた。本研究により加熱工程で計測される豚ひれ肉の電気インピーダンスと中心温度から調理損失,破断特性を推定できることが示された。
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