AUDIOLOGY JAPAN
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35 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 1992 年 35 巻 1 号 p. 1-40
    発行日: 1992/02/29
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 竹沢 裕之, 小島 正, 児玉 広幸, 形浦 昭克, 渡部 香, 佐久間 和子
    1992 年 35 巻 1 号 p. 41-45
    発行日: 1992/02/29
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    7歳から16歳までの脳性麻痺小児55例について, レシーバ法および条件詮索反応 (COR) によって聴力検査をおこなった。 55例のうち15例で難聴が認められた。 そのうち2例で補聴器の装用が必要であった。 脳性麻痺の病型としては9例がアテトーゼ型で, 18例が四肢麻痺, 19例が両麻痺, 3例が片麻痺, 4例が混合型, ならびに1例が失調型であった。 病型不明が1例認められた。 難聴は四肢麻痺およびアテトーゼ型の33.3%に認められた。 両麻痺および片麻痺症例では13.3%であり, 有意に四肢麻痺およびアテトーゼ型で難聴の頻度が高かった。 精神発達遅滞が高度な症例ではレシーバ法によって正確な結果が得られずCORが必要であったが, 四肢麻痺症例では知能が正常であってもレシーバ法不能な例が認められた。 CORは精神発達遅滞児ばかりでなく, 障害児で自発的な反応を必要とする検査が困難な症例にも有効であつた。
  • 大山 健二, 和田 仁, 高坂 知節
    1992 年 35 巻 1 号 p. 46-55
    発行日: 1992/02/29
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    Distortion product otoacoustic emissions (DPOAE) の計測による蝸牛機能の評価の臨床的な有用性について検討を行った。 正常の聴力を有し中耳機能に問題がないと考えられた例では, f2/f1=1.2とした場合, 10kHzから500Hzまでのf2に対して2f1-f2の周波数において雑音レベル上10-35dBの安定したDPOAEが検出された。 感音性難聴耳では, その聴力に応じてDPOAEレベルの正常値からの偏倚が認められた。 DPOAEは誘発耳音響放射と比較すると, 反応の蝸牛内の場所への特異性がはるかに高いと考えられ, その測定値をDP audiogramとして記録すると聴力図と極めて良く一致するものが得られた。 いくつかの問題もあるが, 本法が今後外有毛細胞機能低下の蝸牛内分布に関する客観的な情報を得るための臨床的検査法として, 盛んに利用されていくことが予想される。
  • 和田 仁, 大山 健二, 高坂 知節
    1992 年 35 巻 1 号 p. 56-63
    発行日: 1992/02/29
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    入力刺激音と同一な周波数を有する出力成分の音圧と位相を高精度に測定できるsynchronous evoked otoacoustic emission (se-OAE) 自動計測システムを構築し, 正常耳を測定した。 その後, 測定結果にベクトルの関係を仮定し, se-OAEの抽出を試みた。 そして, se-OAEにナイキスト表示を適用し, se-OAEの特徴について考察を行った。 その結果, 以下のことが明らかとなった。
    (1) 測定出力の周期的変動は, 低周波領域 (f<1.2kHz) で顕著であった。
    (2) Spontaneous OAE (s-OAE) の周波数前後で測定出力レベルおよび位相が大きく変化したが, s-OAE以外の周波数でもそれらが大きく変化することがあった。
    (3) ナイキスト表示によると, se-OAEのレベルが大きいほど, その回転速度も大きい。
    (4) ナイキスト表示の1周に要する周波数間隔は, se-OAEのレベルの大小およびs-OAEの有無に関係なく, ほぼ70Hzであった。
    (5) 測定出力レベルに, dipとpeakを有する2相性の変化, peakのみの変化およびdipのみの変化が認められたが, いずれも基本的性質は同じであり, 異なるのはse-OAEの位相だけである。
  • 柳田 則之, 中島 務, 設楽 哲也, 神崎 仁, 大野 良之
    1992 年 35 巻 1 号 p. 64-76
    発行日: 1992/02/29
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1987年1月1日から12月31日までの1年間に, 全国の大学病院及び200床以上の病院の耳鼻咽喉科を対象として, 急性高度難聴の疫学調査を施行した。
    第1次調査においては, 1) 突発性難聴, 2) 特発性両側性感音難聴, 3) 外リンパ瘻, 4) ムンプス難聴, 5) 一側聾, について年間の診療患者数の集計を行った。
    その結度, 年間の全国受診患者の推計値は突難13,900-19,600人, 特難800-2,000人, 外リンパ瘻200-300人, ムンプス難聴200-400人, 一側聾2,000-3,100人と推計された。
    第二次調査においては, 突難, 特難, 外リンパ瘻の3疾患について, その疾患の臨床疫学的特性を明らかにする目的から, 各症例の個人票を集計した。
    その結果, 突難では15年前に比べて, 早期の受診率が極めて高くなった。 高度難聴のもの程予後は悪い。 めまいを有するものは, 約1/3にみられ, 軽度及び中等度の難聴ではめまいのないものの方が予後が良い結果が得られた。
    特難では, 確実例の割合が少なく, 10-19歳, 及び40歳以上に多い傾向がみられた。
    外リンパ瘻は, 確実な診断は手術により確認するしかなく, 確実例が極めて少なかった。
  • 大草 方子, 白石 孝之, 久保 武, 松永 亨, 杉本 和彦, 玉城 晶子
    1992 年 35 巻 1 号 p. 77-82
    発行日: 1992/02/29
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    我々は岬角電気刺激により耳鳴を抑制することを試みた。 対象は59例, 62耳であり, 男性34名, 女性25名で, 聴力レベルは, 軽度感音性難聴より聾型までを含む。 岬角電気刺激装置としてはコクレア社製promontory stimulatorを用い, 刺激波として2相性のパルスバーストを用いた。 耳鳴の抑制率は, 原因不明の感音性難聴76.9%, 突発性難聴85.7%, 耳毒性薬物, 騒音などの原因による内耳性難聴80.0%, メニエール病83.3%, 中耳炎などの原因による内耳炎71.4%, 聴神経腫瘍8.3%, 平均66.1%であった。 以上より, 内耳性の耳鳴には抑制率が高く, 後迷路性のものについては低い結果となり, 耳鳴の病巣部位の推定に岬角電気刺激検査が有用であると思われた。
  • 深谷 卓, 野村 恭也
    1992 年 35 巻 1 号 p. 83-86
    発行日: 1992/02/29
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    耳鳴がはたして脳幹障害で生じるのかを検討する目的で, 病変の限局した血管障害14症例でその聴覚機能を検査した。 この14症例は脳幹外側部を栄養するRecurrent Perforating Artery (RPA) をstretchした症例である。 全例に可逆性低音障害型の難聴を認めたが, 耳鳴を自覚したのは4例で, その全てがRPAが第七, 八脳神経のroot entry zoneに入るものであった。 この症例にHorner症候群を認めたことと考え合わせると, 耳鳴は蝸牛神経核とオリーブ核の腹外側の障害までには認められるが, より高位の障害では認められないと考えられた。
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