1987年1月1日から12月31日までの1年間に, 全国の大学病院及び200床以上の病院の耳鼻咽喉科を対象として, 急性高度難聴の疫学調査を施行した。
第1次調査においては, 1) 突発性難聴, 2) 特発性両側性感音難聴, 3) 外リンパ瘻, 4) ムンプス難聴, 5) 一側聾, について年間の診療患者数の集計を行った。
その結度, 年間の全国受診患者の推計値は突難13,900-19,600人, 特難800-2,000人, 外リンパ瘻200-300人, ムンプス難聴200-400人, 一側聾2,000-3,100人と推計された。
第二次調査においては, 突難, 特難, 外リンパ瘻の3疾患について, その疾患の臨床疫学的特性を明らかにする目的から, 各症例の個人票を集計した。
その結果, 突難では15年前に比べて, 早期の受診率が極めて高くなった。 高度難聴のもの程予後は悪い。 めまいを有するものは, 約1/3にみられ, 軽度及び中等度の難聴ではめまいのないものの方が予後が良い結果が得られた。
特難では, 確実例の割合が少なく, 10-19歳, 及び40歳以上に多い傾向がみられた。
外リンパ瘻は, 確実な診断は手術により確認するしかなく, 確実例が極めて少なかった。
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