聴性定常反応 (ASSR) について, その歴史, 刺激音, 記録法, 解析法, arousal level による影響について解説した。また, 臨床応用に関して, 正常者と難聴者におけるASSR閾値の差, 報告ごとの差, 500Hzにおける聴覚閾値レベルの推定における問題点, 乳幼児における反応振幅の発達, 骨導ASSRにおける問題点について述べ, 将来の展望として電気刺激SSR, 及び母音によるASSR測定の可能性について述べた。
臨床的に最も重要な点は, ASSRによって周波数ごとの正確な聴力を推定できるということであるが, そのほか有用な点には, multiple simultaneous technique によってABRより短時間に聴力評価が可能なこと, クリック音や振幅変調した白色雑音によるASSRは新生児聴覚スクリーニングにも利用できること, sweep technique や語音によるASSRは閾値上の聴力評価にも有用であり, 乳幼児や幼児における補聴器のフィッティングにも有用なこと, などが挙げられる。将来的には, 電気刺激を用いたESSRは幼児における人工内耳のマッピングに寄与する可能性があり, 母音によるASSRは失読症, 失語症などの診断に応用が可能である。
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