人工内耳患者9名において, オドボール課題を用いて, 事象関連電位 (ERP) を測定した。 その結果, N100をはじめ, N200, P300などのERP成分の出現を認めることができ, ERP波形の構成においては健常者と差は認められなかった。 N100の平均振幅は2000Hz条件で-2.7μVであり, 平均潜時は121.5msであった。 P300の平均振幅は2000Hz条件で, 15.1μVであった。 潜時は2000Hz条件で, 351.3ms, 1500Hz条件で370msとなり, 潜時は有意に延長した (P<0.05, t-test)。 事象関連電位の測定は患者の認知能力の進歩を検出できる他覚的な測定であり, リハビリなどと平行して行えば患者の言語聴取能の向上に役立つものと思われた。
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