AUDIOLOGY JAPAN
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35 巻 , 5 号
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  • 平田 恵啓, 伊福部 達, 坂尻 正次, 松島 純一
    1992 年 35 巻 5 号 p. 541-547
    発行日: 1992/10/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    従来, 人工内耳においては体外から体内への信号伝送は耳朶後部の頭骨に受信器と信号処理用の電子回路を埋め込む方式がとられていた。 このため大がかりな手術を必要とし, 頭骨の成長期である幼児には適用が難しいという問題があった。 我々は, 送信用のコイルをイヤーモールド内に設置し, 受信用のコイルを外耳道皮下に埋め込む方法を提案し, 上記の問題をできるだけ軽減するように工夫した。 受信用には超小型コイルを利用し, 過大な電流を防ぐために超小型電界効果トランジスタによる電流制限装置を組み込んだ。 実際に装着した状況を想定し2つのコイル間の距離を2mmに保ち伝送特性を調べた結果, 1次コイルにピーク値0.8Aの電流を流すと2次コイルに2kΩの抵抗を接続した状態で300μAの電流が得られることが分かった。 また外耳道皮下に埋め込まれる2次側コイルを医療用のシリコーンでコーティングし生理食塩中で半年間通電試験を行ったところ, その電気的特性はきわめて安定していることが分かった。 さらに, モルモットの蝸牛電気刺激によって聴神経束に発生する複合電位を観測した結果から本伝送方式の有効性を確認した。
  • 中山 博之
    1992 年 35 巻 5 号 p. 548-556
    発行日: 1992/10/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    3歳以上の幼児から成人までの359名を対象に, 絵指示による囁語法聴力検査と純音聴力検査の結果を比較検討し, 以下の結果を得た。
    1) 2つの異なる周波数選択性を有する単語群を用いた精密囁語検査は, 3歳以上の幼児から成人まで適用でき, 1・2・4kHzの聴力レベルが, すべて30dB以下か否かの選別検査として, 極めて優れていた。
    2) 囁語でも聴取しやすい単語群を用いた簡易囁語検査は, 3歳児健診対象児や, 言語発達遅滞児など傾聴態度が不安定な幼児に適しており, 言語発達に支障をきたす程度の難聴 (1・2・4kHzの平均聴力レベルが約40dB以上) か否かの選別検査として, 十分有効であった。
  • 能登谷 晶子, 鈴木 重忠, 高田 実, 瀧口 哲也, 古川 仭
    1992 年 35 巻 5 号 p. 557-561
    発行日: 1992/10/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    色素性乾皮症A群の1例の聴力悪化の経過と言語機能検査成績について報告した。 7歳2ヵ月頃までは右耳の聴力は34dBでほぼ正常範囲にあったが, 同時期の左耳はすでに60dBの難聴であった。 7歳5ヵ月には右耳も70dB台の難聴となり, 補聴器装用を開始した。 補聴効果は比較的良好であった。 本例における難聴の進行が左右同時でなかった点で, 既報告例と異なっていた。 また, 難聴の性質は末梢性と中枢性の混在が示唆された。 難聴と精神遅滞との関係は1側がほぼ正常範囲の聴力レベルであった時期にすでにIQ 45以下であったことより, 両側の聴力が悪化する前にすでに精神遅滞が進行していたと考察した。 したがって, 本例の言語発達遅滞は難聴によるものより精神遅滞に伴うものと考えた。 また, 本疾患は早期からの関連領域とのチームアプローチが重要な症例であることを強調した。
  • 青柳 優, 喜連 照夫, 金 慶訓, 鈴木 豊, 小池 吉郎
    1992 年 35 巻 5 号 p. 562-571
    発行日: 1992/10/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    正弦波的振幅変調音による聴性定常反応について, 幼児 (睡眠時) における最適な変調周波数 (MF) を決定する目的で, 正常成人3名 (覚醒時と睡眠時) と正常幼児3名 (睡眠時) について搬送周波数を1000Hz, 変調度を95%, 音圧を50dBnHLに固定し, MFを20-200Hzに変化させて, 反応を位相スペクトル解析法, 及び各変調周波数成分波形の振幅と雑音レベルの比較により検討した。 成人覚醒時では従来の報告どおりMF 40Hzで明確な反応が得られたが, 他のMFでは反応は不明瞭であった。 成人睡眠時ではMF 40Hzの反応は不明瞭な反応となったが, MF 80-100Hzではより安定した反応が得られた。 また, 幼児睡眠時ではMF 40Hzに対する反応は不明確で, MF 80Hz以上で非常に安定した反応が得られた。 以上の結果から幼児 (睡眠時) の正弦波的振幅変調音による聴性定常反応においてはMFは80-100Hzが最適であると結論した。
  • 井沢 浩昭, 芳川 洋, 桜井 淳, 石川 正治
    1992 年 35 巻 5 号 p. 572-581
    発行日: 1992/10/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    成人に対して行われたABRのうち陽性成分のI-IIIあるいはI-V IPLが延長を示した211耳, および陰性成分のI-IIIあるいはI-V IPLが延長を示した219耳より得られたABR波形について, 相対するIPLの動態を検討した。 また, 正常波形を含むABR 500例についてI・III・V波の陽性ピークと陰性ピークおよびそれらのIPLが測定可能かどうかを検討した。
    1. 陽性波のIPLが延長した波形において, 相対する陰性波のIPLが正常であるものがI-IIIでは36.3%, I-Vでは32.0%あった。
    2. 陰性波のIPLが延長した波形においても, 相対する陽性波のIPLが正常であるものがI-IIIでは23.1%, I-Vでは16.8%あった。
    3. 陽性波が同定できないABR波形の中に, 陰性波により判読が可能となるものがあった。
    4. ABRの判読においては陰性波の動態をも考慮に入れることが望ましいと考えられた。
  • 小寺 一興, 赤井 貞康, 出水 みゆき, 廣田 栄子, 三浦 雅美, 矢部 進
    1992 年 35 巻 5 号 p. 582-587
    発行日: 1992/10/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    180例の感音性難聴を対象に語音明瞭度検査結果を検討した。 検査語表は, 57Sテープとした。 被検者の全体の語音明瞭度は, 88%から30%であった。 子音を群別して検討した結果は以下の通りであった。 有声子音と鼻音の明瞭度は, 全体明瞭度より低い値を示し, 無声子音と弾音と半母音の明瞭度は, 全体明瞭度よりも高い値を示した。 無声子音, 有声子音および鼻音の中で, もっとも誤りやすい子音群は, 症例によって異なっていた。 明瞭度の悪い子音群が異なる症例の間で, 聴力図を比較すると, 明確な差を認めなかった。 以上の結果より, 語音明瞭度を改善するための補聴器フィッティングのためには, 子音の異聴にもとずいて, 感音性難聴の患者を分類する必要があると結論した。
  • 佐藤 直子, 堀 富美子, 沖津 卓二, 金子 豊
    1992 年 35 巻 5 号 p. 588-594
    発行日: 1992/10/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1990年10月より, 三歳児健診に聴力検査も加わることになった。 健診にあたり言語の発達に影響を与えるような中等度難聴の検出に有効な聴覚スクリーニング法について, 遊戯聴力検査との比較により検討を加え, 以下の結論を得た。
    (1) 3歳児において, 囁語法聴力検査と遊戯聴力検査の結果はほぼ一致した。
    (2) 囁語法聴力検査の検査語として, 3歳児においても中山等の周波数特性を考慮した単語が, 囁語法聴力検査で看過されやすい低音障害型の難聴の検出に有効であった。
    (3) 3歳児において, 囁語法聴力検査が両側中等度難聴の検出には有効であった。 しかし, 行動観察聴力検査は不適当であった。
    (4) 囁語法聴力検査で, 片耳難聴を検出するのは困難であった。
  • 大内 利昭, 小形 章, 増野 博康, 吉原 重光, 佐藤 靖夫, 神崎 仁
    1992 年 35 巻 5 号 p. 595-604
    発行日: 1992/10/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    一企業の定期健康診断の選別聴力検査で有所見者と判定された147名 (男性124名, 女性23名) を対象として, 選別聴力検査の結果と標準純音聴力検査の結果を比較することにより選別聴力検査の精度につき検討し, 以下の結果を得た。 1) 選別聴力検査の結果と標準純音聴力検査の結果が左右両耳の4検査周波数で完全に一致した者は147名中91名 (61.9%) であった。 2) 選別聴力検査の結果と標準純音聴力検査の結果が1kHz及び4kHzの両検査周波数で完全に一致した耳は147名294耳中224耳 (76.2%) であった。 3) 選別聴力検査の精度は1kHz: 89.1%, 4kHz: 82.0%であった。 4) 女性より男性で精度が高かった。 5) 年齢により精度に明らかな差を認めなかった。 6) 検査側により精度に明らかな差を認めなかった。 7) 有所見検査周波数の数が多いほど精度は低下していた。 8) 無所見検査周波数における偽陰性率は1kHz: 0.5%, 4kHz: 8.5%であった。 9) 有所見検査周波数における偽陽性率は1kHz: 27.7%, 4kHz: 25.5%であった。 10) 選別聴力検査の精度を劣化させる原因は, 無所見検査周波数における偽陰性率ではなく, 有所見検査周波数における偽陽性率であると考えられた。
  • 細田 泰男, 土井 直, 牛呂 公一, 投石 保広
    1992 年 35 巻 5 号 p. 605-613
    発行日: 1992/10/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    難聴を伴った耳鳴患者において, 2dBステップでCNV (随伴陰性変動) を用いた聴力検査 (以下CNV聴検) を行い, その信頼性を検討した。
    15名の耳鳴患者で, 1) CNV聴検, 2) 純音聴検 (極限法) の2つの方法で閾値を決定した。 検討項目は, 1) CNV聴検を3回連続して行った場合の測定されたCNV閾値の再現性, 2) CNV聴検と純音聴検との閾値の差の2点である。
    15名中12名で安定したCNV波形が得られたので, この12名について以下の検討を行った。 12名中10名でCNV聴検により3回連続して同一値を得た。 残りの2名では変動はあったものの±2dB以内であった。 また, CNV閾値の純音閾値との差は+0.76±1.35dBであり, 高い相関関係が認められた。
    以上の結果より, ±2dBの誤差範囲内でCNV聴検は信頼性があると言え, CNV聴検が精密な他覚的聴力検査に適していることが分かった。
  • 細田 泰男, 牛呂 公一, 土井 直
    1992 年 35 巻 5 号 p. 614-620
    発行日: 1992/10/31
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    耳鳴をキシロカインにより変動させ, この時耳鳴周波数域で起こるCNV閾値の変化を2dBステップで測定した。 CNV閾値の測定誤差は±2dBと考えられるため, ±4dB以上の閾値変化を有意とした。
    耳鳴不変群ではCNV閾値はほとんど変わらなかった (28/30耳) のに対して, 耳鳴軽減群でCNV閾値が低下したものが認められた (11/49耳) こと, またこのようなCNV閾値の低下は, 耳鳴周波数に認められその他の周波数帯域では少なかった。
    この事実を過去の文献的考察より次のように解釈した。 耳鳴が聴覚路における異常な自発放電の増大と考えられることから, キシロカインが聴覚系の音応答性を変えることなく異常に増大した自発放電のみを抑制し, これによるSN比の改善により僅かに聴力閾値の低下が起こるものという機序を考えた。
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